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宇宙の海の底

作者: 秋葉竹


 


ゆうたりと揺れている

バスタブの湯のなかに

ひとつの固形物を

ポチャンッ!

と入れる


おそらく

手首を切った腕を

湯のなかに入れると

こんな風に儚い美しさを

紡ぎだしてくれる


みたいな

さらさら

という音まで聴こえてきそうな

広がり方をする入浴剤


お湯をかき混ぜて

からだをそのなかに沈めてゆく


白昼の森林の木影で微睡んでいる快感

目を瞑ればかすかに聴こえる

水滴がどこかで落ちている音


目を開けないまま心地よさに身を委ねている


心が洗われると感じたとき

突然

君を抱きたいと目眩のように

クラクラとした幻惑

病的に熱に浮かされたような

浮遊感のなかただ君を抱きたいと


目を閉じたまま空想していた


とても浅くて狭いバスタブのなかは

まるで宇宙の孤独のような寂しさを

全身に感じさせてくれた


宇宙の海の底に向かって落ちてゆく

ひとりひっそりとまるで消え入るように


目を開くとそこは

宇宙の海の底から顔を出したわたしが

ブルーのタイルに囲まれた浴室で

すべてを終えたように

さざなみに揺蕩っていた




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