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もっともな戦隊はごもっともな変態!?  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第1章

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第7話(2)広報からの早速の提案

「早速の呼び出しとは……」

 正高が生徒会室に隣接する会議室の椅子に腰を下ろす。

「ちょっとばかり遅せえんじゃねえの?」

 速人が笑みを浮かべつつ、正高に視線を向ける。

「この場合、貴方が速すぎるのですよ……それに諸々、こなさなければならない仕事があったんですよ……暇過ぎる貴方とは違います」

「暇過ぎるだあ? 庶務を舐めてんのか?」

 速人が顔をしかめる。

「おほん……全員揃いましたよ」

 愛一郎が咳払いをひとつ入れてから声をかける。美蘭が立ち上がって、五人を見渡せる位置に移動して、口を開く。

「皆様、お忙しいところ、お時間をとって頂いて恐縮です」

「あ、いえいえ……」

 軽く頭を下げる美蘭につられて、雄大も頭を下げる。

「まったくだ、忙しいんだぜ?」

 強平が両手を大げさに広げてみせる。正高が呟く。

「貴方は暇そのものでしょう……」

「ああん?」

 強平が正高を睨みつける。

「ああ、強平くん、怒らない、怒らない……正高くんも気持ちは分からないでもないけれど、そうやっていちいち挑発しないで……」

 愛一郎が苦笑を浮かべつつ、強平をなだめ、正高を注意する。

「けっ……」

「失礼……」

「どうぞ、続けて」

 愛一郎が美蘭を促す。

「はい、本日は生徒会広報として、広報活動の提案をさせて頂こうと思いまして……」

「活動の提案?」

「ええ」

 正高に向かって美蘭が頷く。

「……伺いましょう」

「はい……まずは前提においてなのですが……この生徒会が抱える重大な問題について皆さんと認識を共有しておきたいのです」

「重大な問題?」

 雄大が首を傾げる。強平が腕を組んで尋ねる。

「なんだよそれは? 俺の生徒会に問題があるとは思えねえんだが……」

「……この生徒会は必要以上にリスペクトされ過ぎています」

「なんだと?」

「もはや尊敬の念を通り越して畏敬、いえ、畏怖の域に達していると感じています」

「畏怖ですか……」

 正高が顎をさする。

「はい、一般生徒はこの生徒会について詳しいことを何ひとつ知っていません」

「ふむ……」

「これは生徒の代表たる生徒会としてはマズいことなのではないでしょうか?」

「……では、どうすれば?」

 正高が眼鏡の縁を触りながら問う。

「『開かれた生徒会』を目指していくべきです」

「……例えば?」

「一般生徒にもう少し寄り添っていくべきです」

「寄り添っていくべき?」

「ええ、交流の機会を持つなど……」

「交流の機会……具体的には?」

「皆さんが一般生徒とやってみたいことはありませんか?」

 美蘭が問いかける。

「う~ん……大食い対決とか?」

「却下」

「は、早っ! 否定が早すぎるよ、速人くん~」

「そりゃあ、おめえだけがやりたいことだろうが」

「そ、そんな~」

「いえ……案外アリだと思います」

「ええっ⁉」

「ほらね~」

 美蘭の言葉に速人が驚き、雄大が得意顔になる。

「皆さんは何かありませんか?」

 美蘭が再度問いかける。

「う~ん、ボクたちのことを発信していった方が良いってことだよね?」

「そうですね」

 美蘭が愛一郎の言葉に頷く。

「それなら……配信とか?」

「ああ、それも良いかと思います」

「配信……フリートークとかはオイラ苦手だな~」

「雄大くん、そんなに構えなくても……ゲーム実況とかでも良いんじゃない?」

「ゲーム実況……RTAとかか?」

「速人くん……なんでわざわざニッチな方に行くのさ……」

「何事も速いに越したことはねえだろう?」

「はあ、まあ、君はそれでいいか……」

 速人の言葉に愛一郎は苦笑気味に頷く。

「……配信についてはこちらも考えていました。実は既にYouBroadのチャンネルアカウントも作成済みです」

「ほう、随分と手際が良いですね……」

 正高がやや驚いたように呟く。

「善は急げと言いますから」

「ふむ、配信ですか……」

 正高が顔を僅かに俯かせる。美蘭が尋ねる。

「……やはり、学院側の、教職員方の許可が要りますか?」

「いいえ、そんなものはどうとでもなります」

 正高が顔を上げて答える。美蘭がやや面食らう。

「そ、そうですか……では?」

「現代の流行に即しているとは言えますね……」

「ええ」

「動画配信によって、もたらされるメリットは何ですか?」

「メリット……一般生徒たちに親しみを持ってもらえるかと思います」

「ふむ……それは良いことですね……」

「……いかがでしょう?」

「しかし……」

「はい?」

「配信内容……いわゆるネタは決まっているのですか?」

 正高の問いに対して、美蘭は口許に笑みを浮かべたが、すぐにそれを打ち消して、答える。

「……主題歌製作などどうでしょうか?」

「主題歌製作ですか?」

「ええ、この最上学院のヒーローである『最上戦隊ベストセイバーズ』の主題歌です。やはり最初の動画はインパクトが欲しい所……学外でも話題を呼ぶことは間違いないです!」

「「「「「……」」」」」

 美蘭の提案に五人は黙り込む。美蘭は内心舌打ちする。

(ちっ、踏み込み過ぎたか? 自分たちで宣伝行為など……流石にバカではないか)

「……うん、いいな、それで行こうぜ!」

(バカだった!)

 強平の言葉に美蘭は内心ホッとするのであった。

お読み頂いてありがとうございます。

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