一日目:再会
...?
俺は気がつくと自分の部屋のベッドにいた。
「夢..?」
やはり夢か。スマホを見てみる。朝の8時15分だ。
「は!!!???」
つい叫んでしまった。
スマホの日付は一年前の夏祭りの一週間前を示していた。
...
思考が停止してしまった。
何度見返しても日付は変わらなかった。
...
ん?一週間前?
「あっ!!」
また俺は叫んだ。
やばい、学校に遅刻してしまう。
「はぁっ、はあっ..」
なんとか間に合った。校門についた瞬間にチャイムが鳴り始めたから本当終わったと思った..とりあえず一安心..
終業式が終わり、家に帰ろうと校門を出たとき、後ろから名前を呼ばれた。
「幽君。」
俺は振り返った。
「なんで..泣いてるの...?」
「え?」
気がつくと大粒の涙で地面のコンクリートは濡れていた。
そこにはもう会えなかったはずの黒葉がいた。
そうだよな。今は一年前なんだ。黒葉は生きているはずなんだ。
俺はパニックになりながらもすぐに冷静になった。
黒葉は不思議そうにこちらを見ている。
「いいや、なんでもない。ちょっと最近花粉がひどくてねぇ。」
さすがに無理ある言い訳だろうか。
「そうなんだ。でも幽君、花粉症だったけ?」
ごまかせれた..のか?それより幽君呼びやめろ。
黒葉はちっちゃい頃から俺のことを幽君呼びしてくる。もう高校生になるのによ。
「それより明日から、夏休みだね!」
黒葉はいつもよりテンション高めに言う。
「それな!」
と俺もテンション高めに返す。まぁ高校生になれば自由にできることも増えるし、夏休みが楽しみになるのも無理はないだろう。遊園地にも行けるし、プール..
そして、夏祭り。
一瞬脳裏をよぎった。
ダメだ。吐き気がしてきた。
俺は必死に抑え、今日は帰ってすぐに寝ることにした。
寝ている途中で目が覚めた。
はっとしたように今日のことを思い出す。スマホを見てみる。11時を示していて、日付はもちろん今日のままだ。どちらが夢なのか分からなくなってきた。そもそも夢なのかどうかも分からない。そして、指輪の意味はなんだったのかーーー
そうこう思考を張り巡らしている内に俺はまたすぐに寝た。