序章:夏祭り
「ご飯できたわよ~」
ん、もうこんな時間か。スマホを見るともう6時を示している。
俺の名前は空花 幽。現在高校二年生で今日友達と地元の夏祭りに行く予定だ。7時に集合する予定であれこれ準備をしていると遅れてしまう。俺は急いでご飯を食べ、会場に向かった。
「おそいよぅ」
「すまん、すまん」
結局遅れてしまった。
「まぁいつものことだしな」
と笑いながら友達の内山 次郎が言う。
「じゃあ今日は勉強のことなんか忘れてあそぼぅぜ!」
屋台でチョコバナナや焼きそばを買った。ご飯を食べて間もないのになぜか屋台の飯は別腹だ。一方内山はエビチリを10パック買っている。どんだけエビチリが好きなんだよ...
夏祭りを楽しんでいると8時をまわっていた。
「夜空が綺麗だな。」
ふいに内山が言う。
俺もなんて返せばいいかわからず
「そうだな。」
と適当に返した。
すこしの沈黙が続いた後、内山がもう一度口を開く。
「今日の夏祭り..3人で来たかったなあ。」
..!
俺達はそのまま無言になって、夜空を眺めた。
そう、あれは1年前のちょうど同じ夏祭りの日だった。
俺達には白詰 黒葉という幼なじみがいた。そいつとは二人とも仲がよく幼稚園から高校まで一緒で、いつも遊んでいた。1年前も今日と同じように夏祭りに一緒に遊ぶ約束をしていたが、黒葉はいつまでたっても来ることはなかった。後日テレビをつけると「交差点で浴衣を着ていた女子高生死亡、飲酒運転による事故か」というニュースが流れていた。俺は信じられなかった。しかし現実は冷たく、学校に登校するのも、遊ぶのも二人になった...
気づけばもう10時になっていた。
「俺、もう遅いし帰るわ。夏休み開けてからまた会おう!」
と内山。
「そうだな。俺も帰らなきゃな。」
黒葉のことが頭の隅に残りながらも帰ることにした。
「&#'sl..」
!?
「 ん?内山、何か聞こえたか?」
内山はもう帰っているようで後ろを振り向いてもそこにはいなかった。屋台はもう閉まっていて俺以外に人手はいなかった。
「コッチニ..K#%dj」
山の方から何か聞こえて来る気がする。
近づくとはっきりと聞こえた。
「コッチニキテ」
おいおい、そんな怖いセリフホラー映画でしか聞いたことねぇぞ。
でも、何だろう。なぜか安心感がある。声に引き寄せられるように俺は山の中に入っていく。しばらく歩くと奥に祠があるのが見えた。おかしいな。俺は小さい頃から山で遊んでいるが、こんなところに祠があるとは見たことも聞いたこともない。祠に近寄って見てみると、何か置いてあるのを見つけた。
「ゆび、わ...?」
そこには針金を曲げただけの小指にとおるくらいの小さな輪があった。すこし錆びているようだ。
不思議に思いながらもとりあえずはめることにしてみた。
!!!!!
俺は閃光とともに気を失った。