第7話 ウィン・ロード
ウィンのスキルは、そして、隠された秘密
ウィーウッドで朝を迎えるのも今日で2日目だ。
すっかり元気にったルイナさんと朝食を食べながら、ウィンという人物について話を聞いていた。
「ウィンはな、スキルコード:アイって言って、目に関する事なら魔法界一の男だ。
でもスキルコード:アイ、目に関するスキル自体が魔法界でもかなりのレアもので七人しか使えるものがいない。」
それについては、昨日ウィンの家に行って聞いていた。
ルイナにそう伝えると食事の手を止め驚いていた。
「ウィンに会ったのか直接!?あの男が人と話しをするなんて。」
どうやらウィンは、人と関わるのを避けていたと言う、上級魔道士以上が招集される集会など大事な集まりですら顔を出さない男で有名だそうだ。
酷く冷たい態度で、孤独を好み、ウィンの眼差しに人々は恐怖すら覚えるという。
だが、昨日俺が会ったウィンは、初めて会った時こそは冷たい目をしていたが、気さくで、ユーモアに溢れ、非常に優しさに溢れた人物だった。
「ほんとか?目のスキルが使えるであろうおまえは、なにか特別なのか?」
頭の中にハテナマークを浮かべるルイナさんに無理やり支度をさせ、一緒にウィンのもとへ向かった。
スキルを使いたい
現実世界では厨二病じみたセリフに聞こえるかもしれない。しかし、今やスキルが使えて当たり前の世の中だ。
スキルが使えないという事実は、ディーンを“自分はふつうじゃないのかもしれない”
という不安で、心を満たすには十分すぎた。
その莫大な不安を消すであろう存在、ウィンの存在はディーンの何かを掻き立てていた。
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「どーれ、この本の内容分かるか?」
テーブルの上に置かれた一冊の本、スキルで内容を読みとれというスキル診察のやり方なのだが、、、
「ううー、わからん」
「はい、つぎぃ!」
ツリーハウスからは村の周りの山々がよく見えた。
ツリーハウスの下では、ルイナさんが気持ちよさそうに眠っている。
「目の前の山にぽつんと祠があるだろう、そこにあるお供え物の饅頭の数はいくつだ、ぼうず」
祠の場所すら分からなかった。
目の前に広がる景色は、一面を緑におおわれた、山々が連なっていた。
「祠の場所すら分かりません」
ほんじゃぁ次!とウィンが持ってきたのは、小さなサイコロ、三つ
「これをな、目で見て動かしてみろ」
ふぅーーーーー
今度こそはと、目の前のサイコロに集中し、ぐっと睨みつけた。
カタッ...カタカタ......カタ
小刻みにサイコロが震え出した。
「おお~」
ウィンもその様子をじっくりと見ていた。
喜びと興奮で、集中を切らさないように!
「ちと、力が安定してないなぁ、目の奥から力を絞り出すように見つめてみろ。」
ぐーっと、ぐーっとなんて、擬音で説明されても何も分からないが、目に思いっきり力を込めてみた。
集中!!
すると、目の奥がじんわりと熱を帯び、サイコロがすっと三センチほど滑って行った。
「ディーン、おまえの能力は“物体移動”だな」
ま、現世では遠隔操作魔法は禁止されてるがな、なんていって、ウィンは笑っていた。
これ、どうやって戦うのさ
ウィンに俺の心の中などお見通しだった。
「ディーン、おまえの可能性ってのは、無限だ。これから更に成長していくさ、その中でスキルも進化を遂げるだろうな」
ウィンは、ポケットから金の腕輪のようなものを取り出した。目の柄の装飾の入った綺麗な金細工だ。
ウィンがコートを脱いで見せてくれた。右腕の肩のすぐ下に同じ腕輪をしていた。
「おまえさんに、くれてやる」
俺の腕よりも遥かに太い腕輪は、するすると脇の下まできて。キュッと大きさを変えて俺の腕をキツく締め付けた。程なくして、腕輪が緩み、肩の下のところでぴったりはまる大きさになった。
不思議と、付けている違和感はなかった。
これは?と、聞こうとすると
「これはな、装着者のステータスを可視化できる優れもんだ。スキルコード:アイによる、世紀の大発明よ!」
ほれ、ステータス確認してみろ、装着者にしか見えないようにしてるからな
体力値を初めとした。様々な値がとてつもない長さの一覧になっていた。
ウィンと、一緒に確認していき、気づいたらあたりは暗くなっていた。
まずい、ウィンに酷い態度を取られたあげく、夜まで放置されたら、、、
「あの女が怒ってるってか?」
それじゃぁ、と今日のところは帰ることにした。
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その晩...ウィンのツリーハウスにて
「長老様、聞こえますでしょうか」
「うむ、ウィンよあの子はやっぱり...」
「あのぼうず、間違いない“覚醒者”だ。しかも後天性ときた、こりゃどうゆう事だ長老様!?」
「うむ、、、盗聴されてちゃまずい、消耗が激しいが、通信手段を変えよう」
「分かりました。」
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