心のなかみ
黒幕が、動き出す
カイが突然口を開いた。
「僕には家族がいない」
「家族を守れなかった」
「強く、ならなくちゃ」
目の前の何も無い空間をじっと見つめて、ゆっくり、自分に言い聞かせるように言った。
カイの悲しみを直接言葉にしたような重たい口調だ。
カイはまだ幼い頃、何気ない日常を人外種に奪われた。戦闘向きでないカイの御両親は、抵抗も虚しく、、、
その惨劇を見ていたカイは、まだ成熟しきっていない体でありながらスキルを発祥させ、この瞬足を手に入れた。当時の小さなカイは、助けることも愚か、人外種に立ち向かうことすら出来なかった。
逃げる、それで精一杯だった。
俺は今、どんな顔をして話を聞いているのだろう。
なんと声をかけるべきか、
再び沈黙が訪れるがそれもまたすぐ、引き裂かれた。
ヴゥゥーーーー
低いうめき声がする。耳障りなこの声は、静かな街の沈黙にはうるさすぎた。
殺気...
次の瞬間には、街灯で照らされた細い道の先。
その暗闇の中にカイが飛び込んだ。
鈍い音が連続して続く。
人外種は複数体、人間の血肉を求め殺気を剥き出しにしている。
しばらく、カイの打撃やら、短剣の鋭い音が続く、
街頭に照らされたアスファルトがみるみるうちに赤く染まっていく。
カイからは、殺気だけでは無い
人外種に対する怒り、憎しみがカイを突き動かしていた。
感情...
感じる...
手に取るように...
俺の右手に力がこもる
追記スキル:思想制御
次の瞬間、カイから感じる、怒り、憎しみが消えた。
「ひぃっ!」
人外種に怯えるカイの声、
!?
カイの感情を消した、、、
急いでカイの元へ向かう
!?!?!?
驚きと混乱が目の前にあった。
ごろごろと無惨にやられている人外種の死体、元は俺たちのようにハンターとして戦っていた人間
プロテクトコアの暴走でゾンビ化してしまった人間
カイが思わず吐き出す。
驚きと混乱
その大量の死体のど真ん中、
返り血を大量に浴び、口の周りに付いた血を綺麗に舐めまわしている
ミカだった。
“種:人外種”
エネルギーを感じない、確かにコアは死んでいる。
「カイ、もう家に帰るんだ。」
そう言った俺の声は、震えていた。
普通の女の子だと思っていたのに、
また会えないか少し楽しみにしていたのに、
あの時、頬の傷を舐められたのは、彼女が人外種だから?
じゃぁ、なぜあの時俺は喰われなかった?
そして今も、カイを守った
「ディーン、久しぶりだね」
その声を聞いた途端、全身の力が緩み少しふらついた。
「気づいちゃったのね、」
悲しげに彼女は言った。
「私は、だいぶ人間寄りの人外種なの、そ、そんなに怯えなくて大丈夫よ!人を食べたことは無いから」
「なぜ、同種を殺った」
そんな事はどうでもいいと言わんばかりに強く言い放った。俺には、どうしても気になることがあった。
「あなたのお友達でしょ?守っただけよ」
凄まじい腐敗臭の中、俺らは話をしていた。
どうやら彼女は、“ほぼ”人間らしかった。
プロテクトコアの超過使用による暴走、コアの破損、ここまでは普通の人外種と変わらなかった。
違うのはここから、何故か外観的な変化も、思考の変化もほとんど無いという。
ただ、血は食べたい
俺は、、、安心した。
彼女は、会った時からどこか寂しい感じがした。守れるものなら守りたいと思った。その彼女が、今人外種と分かり目を疑った。
だが、彼女の話を聞きとても、気の毒に思った。
苦しかったろうな、寂しかったろうな、一人でずっと耐えて、耐えて、、、
「あっ」
「ん、あれっ」
俺は、何故か涙を溢れさせていた。
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???「殺せ、殺せ、殺せ、殺せ!!!」
???「落ち着いてください、どうされまし
た?」
???「奴が、忌々しき奴がぁ、いる!
力を、解放しかけている、」
???「まさか、15年前に別次元に捨てたはずじ
ゃぁ?」
???「送れ!送れ!送れ!キラー共を大量に次元に
送り込めェ!!」
???「あの悲劇を消してみせ
ます。死鬼獣を放ちまし
ょうあの四体ならやってくれますよ
“アベタージ様”」
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