第11話 イエローゲート
ディーン、、、
生きよ
「ほうほう」
「それで目を開けた時には、ぐしゃっと、、、」
ハンター登録をした次の日、討伐は普通パーティで挑むとの事で、ハンターが集うギルドに足を運んでいた。
右も左も分からずキョロキョロしている所をこのおじさんが声をかけてくれた。
「スキルコード:アイか、凄いなおまえ!」
あの、オオカミのような次元獣を倒した時の話をしていた。
歳は40代くらいだろうか、ハンターランクCのカミラだ。そう自己紹介してくれた。
カミラさんは怪我からハンターを辞めようとしていたが、初心者ハンターを見つけては、討伐に出向き、ハンターについての知識を教えているそうだ。
俺の他にも、二人のハンターがいた。
「ハンターランクDのソフィアよ、ヒラーをやっているわ」
「は、ハンターランクEのカイです!ハンター歴はちょうど一週間です!」
少し控えめな性格のソフィア、めちゃめちゃ緊張している新人ハンターカイ
それぞれのステータスを確認してみた。
ソフィア スキルコード:ヒール
カイ スキルコード:レッグ 瞬足
カミラ スキルコード:魔 雷
おっと、いつの間にかスキル確認ができるようになっていたようだ。
「では早速だが初心ゲートグリーンを探しに行くか」
道中は、カミラのハンター教室となる
「今探しているのは最低ランクのグリーンゲートだ。色でゲートから出てくるキラーの強さが判断できる。下から、グリーン、イエロー、レッド、ブラック、ホワイトだ。レッド以上のゲートは、政府からの“特任”を貰ったBランク以上のハンターしか討伐を行うことが出来ない。」
「カミラさん!でも、でももし目の前にレッドゲートが出てきちまったらどうするんだ??」
「カイ、そんなにビビらなくてもいいぞ」
カミラはポケットからカードを取りだした。
「ハンターカード、みんなも持ってるだろ?こいつは様々な物を感知できる、ゲートの出現も膨大なエネルギーを要す。カードがそれを感知してギルドや政府のゲートマップにタイムラグなしに速攻で反映させて、もしレッドゲート以上なら高ランクのハンターが派遣されるって仕組みだ。」
「カミラさん、そうしたら人がいない所でのゲート出現は感知できないってこと?」
「ご名答、さすがソフィア優秀だな」
えへへ、とソフィアは嬉しそうだ。
「ディーン、スキルコード:アイでゲートの出現を予測してみろ」
え?そんなことが出来るんですか?と俺は驚いた。
それは、ソフィアも、カイも同じ反応だった。
「カードは出現したゲートしか感知できない。まず、ゲートは次元の裂け目だ。裂ける前には大きな負荷がかかる。それを、おまえさんのスキルで見抜くんだ。ほら、試してみろ」
スキルコード:アイ、そんな事までできるのか。呼吸を整え、目を薄めて集中した。
「ねぇ、ディーン?」
「ソフィア、今ディーンは集中してるんだ。」
カミラさん達の会話がだんだん遠のいていく、、、
ん、、、
左足の付け根がじんわりと熱い、、、
!?!?!?
「来る!!!!!!!」
ばっ!っと左を見ると
ピキッ
目と鼻の先のわずか数センチの空中にヒビが入った。
その途端、体をがしっと捕まれ後方に一気に引っ張られた。
「ディーン!ぼさっとするな!」
バリバリッ ドーンッ!!
間一髪のところだった。カミラさんに助けて貰えなければ、いまごろ、、、
自分が先程までいたアスファルトの地面は、大きな獣の足で粉々に砕かれていた。
それも見覚えのある岩肌に亀裂が入っていて鋭い爪が生え揃っていた。
「で、デカい...」
ゲートの裂け目がみるみるうちに大きくなり、中から出てきたのはあの時倒したオオカミの姿の次元獣そのものだった。
あの時のオオカミ型の次元獣は全長三メートル程だったが、今回の次元獣は全長五メートルをゆうに越している。
「イエローゲートにしてはデカイなぁ」
カミラさんも驚きのサイズだ。
デカいだけではない、亀裂からは赤々と炎を上げている。
「ゲートカラーイエロー!討伐を開始する!」
カイが持ち前の俊足を生かし先陣を切る、目にも止まらぬ速さだ。軽量化された短剣で斬撃を与えていく。
だが、まるでダメージが入っていない様子だ。すると、キラーが咆哮をあげた。殺気に満ちた。恐ろしい咆哮にビビリなカイは、縮み上がってしまった。
「カイ!攻撃をかわし続けて気を引いていてくれ!」
「は、はい!やってみます!」
キラーの注意は完全にカイに向いている。
華麗な身のこなしだ。ディーンは、この速さに慣れ、目で追えるようになっていた。
「ディーン、出番だ。あの時のことを思い出してコイツにもやってみろ」
「わかりました!」
「ソフィアは、カイの体力を尽きさせないように注意しろ!」
「はい!」
俺は、目の前のキラーに集中した。鋭く睨みつけると次第に目の奥が熱くなってくる、
きた、この感触
「うっ、」
熱い、
ゲートを探している時、左足の付け根が熱かったのはポケットに入れていたカードが発熱しているのだと気づく。
そんな事は気にはしていられない、カイが注意を引いているうちに!
そのまま目をつぶり...ドクン!
目の奥が波打つ
はずだった。
波打ったのは俺の体だった。
恐る恐る目を開けると、次元獣の目は真っ直ぐ俺を見つめていた。
これは...恐怖だ。
この瞬間、俺は悟った。俺があの時倒した次元獣はこんな気持ちだったのだと
いい気味だ
「ディーン!今のうちだ!」
「!!、っは!っはぁ、はぁ、」
カミラさんの声で気がついた。なんだ、今の感覚は、あの時倒した次元獣が感じた恐怖を手に取るように理解出来た。
そして、その恐怖を感じる様子に、喜びをかんじた、、、
「ディーーンどうした!!」
カミラさんが次元獣に雷撃を与え、四肢を麻痺させ動けなくしていた。
集中!!
目の奥が熱を帯び始める
「うっ」
ドクッ ドクッ
目の奥の脈が強くなる...目をつぶり...
ピキッ───
目の奥が大きく波打つ直前!次元獣が咆哮をあげる
「熱っ!」
パリン!左のポケットの中、割れる音がした。
目と左足の付け根に熱さから激痛が走った。
目が開けられない、
次元獣は、あのまま行けば粉々に砕け散っていたはずだ。
力負けした!?
キラーは抵抗したというのか!?
「カイ!離れろ!
雷王の斬撃!!!!!!!」
カミラさんの声の後、強大な殺気は消え
俺はそのまま、痛みに耐えきれず気を失った。
読んでいただきありがとうございます!
次回をお楽しみに!
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