第1話 少年ディーン
「おまえは生かしてはおけぬ」
暗闇が震える、体中が震える声だ。
目の前の大きな何かが、俺に語りかける。
怖い...怖い...怖い...
これは殺気だ、殺されるんだ。
頬がピリピリと痛む
「こいつの、、、記憶を、、、」
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「っ...はぁっ、はぁっ、」
まただ、またこの夢だ、なんなんだこの恐怖は。
仰向けのまま天井を見つめていた。
なんなんだ。暗闇のあいつは俺の何を知っているんだ。
夢の中の自分は幼い、その頃の記憶が俺にはなかった。恐怖が、あいつの恐怖が俺をベッドに沈めていく。
「なんなんだァお前は!!!」
思わず叫び出していた。
鋭い光が一日の始まりを告げていた。
ガチャッ
「ディーン!またなのね」
俺の部屋のドアが勢いよく開き、心配そうな表情を浮かべた華奢な少女(?)が入ってきた。
「はぁ、、、はぁ、、、」
荒い呼吸を続けながら上体を起こした。
「ルイ、、、さん」
黒いロングコートを着た少女は名をルイナと言う。ルイナはゆっくりと歩み寄り、ベッドにちょこんと腰掛けた。
「・・・」
「・・・」
俺の呼吸が落ち着いたところでルイナさんはゆっくりと口を開いた。
「とりあえず、シャワーでも浴びてきたら?」
シャツが体にべっとり張り付いていた。
そんなこと、どうでもいいくらいに頭の中はいっぱいいっぱいだったが、言われるがままシャワーを浴びることにした。