帳面
そんなちっぽけな帳面に書き切れんばかりの
つかみ得ない雲のようなものを消えぬ前にと
書き記した時代
今はそんな帳面がなくとも幾何かの動力と
都市鉱山から採掘されるレアメタルがあれば
雲のようなものもつかめたかのように
書き記せる時代
長年鎖国をとった私の書き記した時代は
わたしにしかわからないが
わたしは書き記した時代が良い
だが他愛もない感情のみで書き殴られた帳面からは
難解な字がこちらを難解な表情で頭を撫でる
そしてやがてそれは脳に強く回る
私は気づかされた
過去に拘った猫は、勇敢とも言えぬ鼠に
手加減なく噛まれるということを