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ヨルム様の独り言日記  作者: 斎藤 怜
13/22

12話

続きです。

アサルトタイムしてたら投稿遅れました。


ジリョー、ここ小ジリョーの中は活気に満ち溢れていた。


元々小ジリョーはその土地の特性上、人が集まりやすい。まず、聖導都と聖抜都である大ジリョーと


の連絡役。これによって双方の重要な人やモノのやり取りが盛んである。それに加え、小ジリョーに


ある湖。魚は勿論、湖の資源が豊富な為それを専門とした商人が毎日のように行き来している。そし


て、街の近くに聳え立つ山脈、デス・フジャン。これを乗り越える者にとっての最後の休息となるの


が小ジリョーだ。山越えの準備をする者の為に案内人や食料、道具等どんな物でも揃うようそこら中


に物が溢れている。


とまあ、糸目の商人から聞いた話をまとめるとこんな感じだ。


「てなわけでここ小ジリョーはこれだけ栄えていると思うんだよなあ。まあそれ以外にも色んな連中は集まってるとは思いますけどねえ」


「へーやっぱすごいな。アリシアも祈ってばっかじゃなくて景色みとけよ」


アリシアは案の定、小ジリョーに入ってからも祈りをし続けていた。ようやく終わったのかアリシア


はこちらに近寄ってきてこの人と物に溢れた景色を眺める。


「わあ!すごいですね!これがジリョーの街の中」


「俺もここまで活気と人に溢れた街に来たのは初めてだな。見ろよあの湖。でか過ぎる。向こう側があんなにちっちゃく見えるぞ」


「ほんとだ。山脈デス・フジャンが後ろにあるせいで余計に小さく見えます」


「道も整備されてるから馬車も揺れないから楽なんだよなあジリョー。そういえば教会には寄っていかなくていいのかい」


「ああ今日はいいや。また明日また明日」


「駄目ですよ。街に到着したのであればまずは寄らないと」


「えー明日でいいだろう」


「駄目です」


「せめて宿を取ろう。それからでも良いだろう?こんな街だ。宿もあっという間に埋まっちまうぞ?そうしたらせっかく良い宿がある中、この堅い整備された道の上で野宿するのか…」


「それは…」


「おいらもそれには賛成だな。ジリョーなら宿が無くなる可能性はなくはないと思うけどなあ。まあおいらも宿取るしここにはそんなに用事はないから。同じ宿にするかなあ」


「マジか」


「これも何かの縁、ていうのかなあ。もし予定があえば街の中一緒に移動してもいいぞお」


「マジか!お前良い奴だなあ。そうと決まればさっさと宿帳に名前書いて休もうぜ」


「あ、名前。そういえば、あの、なm」


「みつけたぞ!!!!!そこの馬車!!!!!!とまれええええぇぇぇい!!!!!」


突如、おそらく小ジリョー全体に響いたであろうとてつもない怒号が鳴り響いた。中には耳を塞いだ


者すらいた。うるさすぎてどこから聞こえてんのかわからないが、後ろから人々の悲鳴と騒がしい馬


車の騒音が聞こえて俺を含めその場にいた全員が振り向いた。


まず見えたのは馬2頭。ジリョーは広い街だ。その分通りの道も当然広いはずだが、その通りのほと


んどを埋めんばかりの巨大さだ。それに繋がれたのがその馬に劣らない程立派な戦車だ。戦車。ただ


の馬車とは違う、馬が引く戦場を駆ける大車輪の乗り物だ。あんな大きいのか。そしてその戦車に大


男が乗ってる。


「間違いないんだな!!おお!!確かに女子(おなご)と貧相な男が乗っておるわい!!!なに?ガハハッ!!!!我が目は例え千里先の敵ですら見逃さないのだ!!この程度の距離、見逃すはずがない!!」


ガハハハハハッ!!!!!!!!


とにかくうるせえ声が周りの人間お構いなしに通りのあらゆるモノを吹き飛ばしながらこちらへ突っ


込んでくる。距離はあるはずだが、馬の巨大さのせいですごく近くに感じる。


「な、なんだあれはあ」


「お、おい速度を上げて逃げるぞ」


「へえ?なんで?」


「あれが見えないのか!こんなとこ馬車で走ってたらあの戦車に挽かれてバラバラになるぞ!」


いいから出せ!と俺は糸目の商人に怒鳴る。状況は飲み込めてないだろうが、ここにいるとやばいの


は伝わったのか、馬を叩き、馬車を走らせた。


「今の声、聞きましたか」


「今のが聞こえなかったらそいつの耳はいかれてる!なんだあいつは?」


今も、待てええええ!!!と大声をあげながらこちらを追ってる。明らかにこちらを追ってきてる!


「まさかとは思うが俺達を追ってきたのか?あんなふざけた奴が?」


「馬車って言ってましたし明らかに私達2人を見てた気がします」


「あの人混み離れた場所からか?嘘だろ」


「気のせいかな今追われてるって聞こえた様な気がしたんだけどなあ?!」


「気のせいだ!!さっさと逃げろ!というか追いつかれてきてるぞ!!」


「そうは言ってもこの()は早馬じゃないんだけどなあ!」


「来たぞ!!」


さっきまであんな離れていたのにもう近づいてきた。というか改めてみるとでかい!!


馬だけでもかなり威圧感があるのにその後ろで戦車で手綱を握ってる大男もでかい!普通は2人乗りだ


ろう場所を1人で圧迫している程だ。


「追いついたぞこの賊が!!!!我は三賢者に仕えし勇者が1人!!!『戦車』のケアノス!!である!!!!!」


そんなでけえ声で名乗んな。これでも離れているのに耳が痛い。


「弓の!!!そして槍の!!!お前らも名乗りを上げるが良い!!!」


「阿呆が!!!誰が貴様の許しなぞ乞うて名乗るか!!だが、オレの名を知らんというのであればいいだろう!オレの名は『黄金』のキングル、黄金の勇者キングルである!」


戦車の後ろに更に荷車を引いていたのか中から2人出てきた。1人は半裸の男。片腕に黄金の籠手を着


けているだけで、上半身は何も身に着けていない。普通の体格だが話すその声は戦車のケアノス、と


かいう奴に劣らずでかい。もう1人は暗めの男で帽子を目深に被っている。こちらは名乗る気はないの


か、既に武器らしき物を構えている。


「弓の!!その自称黄金と名乗るのは分かりづらいではないか!!貴様は一応弓、の勇者であろうが!!」


「何度言わす阿呆が!!オレにふさわしいのは黄金以外ありえないと!言っておくが貴様がいくら総領様直々の配下だからと言って一番偉いわけではないのだぞ!」


「まあ良いわい!それにしても槍の!!名乗りすら上げんとは!!ほんと貴様はノリが悪いのお!!!!」


戦車、弓、いや黄金?、槍。名乗ってない奴もいたが、勇者を名乗る三人組は明らかに俺達に敵意を


見せ、戦闘態勢に入った。


「なんか三賢者に仕えし、て聞こえたが聞いた事あるか」


「確か魔導に携わる三賢者の方々に仕える戦士の方が名乗る称号だと聞いた事があります。ただその御名前位でどの様な活躍をした人達なのかはよくわかりません」


「という事は追手には間違いないんだろうが。はあ、これならあの脳筋騎士の方がまだましだな。まあでも馬車の上だ。追いつかれなければ大丈夫だろ。おい!絶対追いつかれるなよおわっ!!」


糸目の商人に声を掛けると同時に、馬車全体が跳ねた。


「うお、なんだ今の」


「ひいい!攻撃!攻撃されてるよお!」


後ろを見れば地面が抉られた跡が過ぎ去っていき、荷台から身を乗り出して弓を構える半裸の姿が


あった。身を乗り出しているというか、どういう姿勢なのか、寝そべってるのか、体が真横を向いて


いる。


「まさか弓で射ってきたのか。地面を抉る程の矢で!くそ、あいつ見た目に反してあの大男並みに怪力なのか」


既に半裸の男は真横の姿勢で矢をつがえ弓を引き絞っている。矢じりは贅沢にも黄金色でアリシアの


頭程に大きい。


それを再びなのか、俺達めがけて放った。


「避けろ!」


「そうは言われても精一杯なんだけどなあ!」


糸目の商人がなんとか馬車を左に避けさせ、弓は外れた。落ちた弓はやはり地面を抉り刺さった。そ


れ相応の重さがある事を証明しやがった。


「くそ、あんな重てえ矢をしかも黄金の矢を使い捨てるなんて相当金も、ち」


矢は地面を抉って刺さった。間違いなく見た。きっと最初の一撃も地面を抉ったのだろう。だが、矢


は刺さっていなかった。どこかに転がった?


いや、あれが答えかよ。


見れば、半裸の男が邪悪な笑みを浮かべながら姿勢を戻し、籠手のついた左腕を伸ばしている。そこ


へ後方から先程放ったであろう、地面を抉っていたであろう黄金の矢がきらめきながら飛んで来た。


そしてその黄金の籠手にがっちり収まったのだ。


「ガハハハハハ!!!見ろ弓の!!!あの貧相な男!お前のその奇天烈な弓を見て間抜け面をさらしておるわい!!!」


「この阿呆が!オレの弓を侮辱するとは即ち我が主をも侮辱したも同然!貴様、事が済んだらタダではすまんぞ」


「応!!!望むところだわい!!一度その矢と我が戦車!競い合ってみたものだわい!!!」


「ふん!ただの商人風情の馬車に追いつけん時点で結果は見えてるがな」


「そうは言ってもなあ!こちとら2頭とはいえ都より休まず走っておる。我が愛馬サイデーレンスとジーゴアイも疲れとる。慣れない蹄でよく走っているものだ!」


「知るか!とっとと追いつけよ!それと槍の貴様もさっさと仕掛けぬか!よもや鎖が届かん、というわけではあるまいな」


今度は槍、と呼ばれた無口の男が構える仕草をする。此方からだと手元は見えないが外に飛び出して


いるのはトゲ鉄球。まさかあれをこちらに投げる気か。


さすがに見てるだけにはいかず、俺も胸の首飾りから魔槍「フェンルルの牙」を取り出した。


「また攻撃が飛んでくる!迎撃するからあんまり揺らすなよ!それと速度は絶対落とすなよ!」


「それは無茶な要求なんだけどなあ!」


もうこっちも大声を張っていないと会話できない。


「アリシアはとにかく荷台から落ちるなよ!捕まってろ!」


「はい!」


槍と呼ばれた無口の男が体を乗り出す。ついに来るか。トゲ鉄球の繋がった鎖が揺れ、鉄球が回る。


回る。やがて高速で回りだし、目では残像が見える程度程に回転していた。


「んなわけあるか!」


思わず叫んでしまった。別に無口の男が思いっきり振ってるわけじゃない。ただ、柄を握っているだ


けだ。


なのに、明らかに人の限界を超える速度で回転している。と、回転が止み、厳密にはその高速の勢い


で、鉄球がこちらに飛んで来た。鉄球は矢に劣らない速度でこちらに飛んできて、真上に伸びた。


てっきり俺に飛んでくるものと思って魔槍を構えていただけに気が抜けてしまった。


「な、な、な、なんなんだなあれはあ!!」


糸目の商人の声で上を見上げると、そこには馬車を潰すに十分な大きさになった巨大なトゲ鉄球を浮


いていた。無論、鉄球なのでいつまでも浮いているわけではない。その巨大さを維持したままこちら


に落ちてきた。


「ああああああああ!!!!」


俺はもう叫ぶことしかできなかった。幸いというか、鉄球は垂直に落ちたらしく、馬車の速度に追い


つけず舗装された地面を台無しにしただけだった。いや、それだけじゃない。


「良し!あいつら自滅しやがった!」


落ちた鉄球は地面を粉砕し、かつ道を塞いだ。当然あの大きい戦車が通れる隙間などない。仕組みは


まるっきり分からないが、あの速度だ。あいつらの乗っていた戦車はぶつかって自滅、運よく言って


も止まって立ち往生したに違いない。ならば、


「ならば飛び越えるまでよ!!!」


バカでかい声が俺の思考を遮る。


馬2頭、戦車、そして荷車を繋いだ姿は跳んでいた。いや、飛んでいた。巨大な鉄球を飛び越え、まさ


しく、酒場でよく聞く陳腐な冒険譚に出てくる英雄の様に。いやなんでだよ!!


見えたのは馬の蹄が銀に輝き、戦車の銀車輪もまるで稲妻を纏っているかのように光っていた。が、


それも続くわけではなく、派手な音を立てて、再び地面を蹂躙しだした。


「槍の!そういうものは使う前に事前に言っておくものだぞ!!!我が戦車でなければこちらがそれにつぶされていたわい!!!まあ良いわ!!ここから追いつくぞ!!」


「なんなんだよあいつら!なんだ、俺は何を見せられてるんだ?いきなり追手の次元が変わりすぎだろ!!」


「多分、魔導具だと思います!」


「あれが………?」


アリシアよ、まじで言ってるのか。


「はい!三賢者様の直接の配下の方であれば、まだ希少である魔導を取り入れた武器、魔導具を所持していてもおかしくはありません!」


「まどうのちからってすげー!!!」


俺は腹いせに皮肉っぽく叫んでみたが、どうやら聞こえたのかガハハハハッ!!!とバカみたいな笑


い声だけが返って来た。


「ふざけんなよ!あんなのとまともにやってられるか!」


「勘弁してほしいのはこっちの方なんだけどなあ!これ、明らかに巻き込まれてる!!巻き込まれただけだよねえ!?」


「うっせえ!!今更止まった所であれに曳き潰されるだけだぞ!とにかく道が続くまで逃げ続けろ!」


こうして小ジリョー到着早々にして、三勇者を名乗る追手との追いかけっこが始まった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


バスケのアプリも出てなかなかおもしろそうなの見つけました。

ただリアルでもゲームの中でもシュートって入んないよねえ

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