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ヨルム様の独り言日記  作者: 斎藤 怜
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1話

この作品は、原案、著、添削の3人による作成されたものです。

1話という事もあり拙い文章ですが、書く方もより面白い、読みやすい文章になるようにしているはずです。

どうか、この1人の言い出しっぺから始まった作品が色んな人の目に触れるよう心からお願い申し上げます。



遺跡鉱山。


本来、鉱石採掘の為に開発された山から古き神達が生きていたとされる時代の遺跡が発見された山。


この場合通常の採掘は全て禁止とされ、聖導師様より遣わされた聖徒により調査と封印がなされる。


その為、この遺跡鉱山の谷には本来の鉱山として開発された際の寂れた廃村が残り、人は住んでいない、はずなのだが。




遺跡鉱山廃村内。廃酒場


「良い情報と悪い情報がある」


馴染みの情報屋がそんな事を言った。


中身のわからない酒をしこたまに呑み、既にでろんでろんに溶け泥酔状態となってテーブルに突っ伏している。


いつ折れるともわからないテーブルから自分の分の飯とジョッキを持ち上げる。


「そうか、なら間に合ってる」


嫌な予感というか、この熊の様にデカくて汚くて臭い、馴染みの情報屋がそんな出だしを口にするとロクな事がないのはよく知っている。


ここははぐらかして寝落ちするまで逃げるのが正解だ。


「おい、人としてよぉ、ヒ、ク、こんな情報を聞かないってのはどうかと思うぜ?それでも人間か!」


「こんな廃村で、おめえみてえな熊男からの情報でなければな」


情報屋、もとい熊男は俺にその胡散臭い顔を向けてぷりぷり怒り出す。


年頃の娘の仕草であれば俺もやぶさかではないが、熊みてえな図体の45歳、しかも妻に契りを一方的に切られた離婚歴のあるおっさんが出していい仕草ではない。


こんな奴のぶりっ子顔なんて誰得なんだと思うが、口には出さない。


人との付き合いを円滑にするには黙るもんだ、と誰かが言ってたはず。うん。まぁこいつだが。


「いや俺も裏社会の人間だからなこれでも。半分くらい人間じゃないな」


と、半ば冗談に返してみる。


すると、この熊男は興が乗ったのかテーブルから図体を上げ、今度は両肘をつき両手に顎を乗せ顔を支えた。


正直、息も、絵面もキツい。


「裏社会の人間名乗るならぁアウトローならよぉ?お約束というやつがあるだろ?お約束わかるかぁ?そう、お約束だ!礼儀も秩序もクソ以下の価値もないこの裏社会でも守らなきゃいけない事がある。それは裏社会の住人としての誇り!掟!そしてお約束!こいつを守ることだわかってんのかクソ野郎!?」


唾をこっちに飛ばしながら怒鳴り散らす様は全方位に迷惑だが、あいにくとここでそれを気にする奴は今は俺しかいない。


「はいはいお約束お約束。最後に『クソ野郎』をつけるのもお約束だったか?」


「なんだよわかってるじゃねえか。えへ、おじさんうれしいぞぉぐへへ」


「で、悪い情報、とは?」


あまりの気持ち悪さにイラっときて堪忍袋の緒が切れそうになるが、切れないよう堪忍袋の緒を縛る。


ここでこれ以上かまうと面倒で胡散臭く、だが金払いと情報の精度は確かな情報屋の機嫌を損ねるのはよくない。


俺は適当に相槌をうち、さっさと本題を振ることにした。


情報屋は嬉しそうにするが、情報を出すのではなく、肘をついていた手を前に出しいつものマークを作る。


どうやら金が必要な情報らしい。


「おい。まさか悪い情報で金取るのかよ」


「そりゃお前こちとら情報屋、情報で商売でしてるんだ。良いも悪いも金は必要だ。娘にもよ、おまんま喰わせてやらねえといけねぇからな。俺の娘は俺に似てかわいいところがあるんだぜ。お約束についてもソッコーで理解してるのが好ポイントだ。もし町娘として出会っていたなら口説いてる。うん口説いてるな。若さってのは時に残酷なもんよ。今俺が口説こうとしてもわかってくれないだろうよぉ。ああ残酷だ」


そもそも離婚したてめえじゃ娘になんか会えるわけないだろ、と言うとまた話が戻りそうだから言わない。


「いくらだ」


このくそつまらん話が金を払って止まるなら悪い情報だろうと買うに限る。不本意ではあるが。


いくらだ、と聞いた途端、情報屋としての根性が戻って来たのかニンマリと笑い、手のひらを広げる。


「銀貨5枚か」


俺は財布の紐をほどいて銀貨5枚を投げ渡す。へへ毎度、と言って情報屋はさっと手で掬い、銀貨をしまう。


そして話が本題に戻ろうかとなり、気を引き締める為再び堪忍袋の緒を締め直す。


「悪いねー、こっちも商売だからなー。で、悪い情報てのは俺の口車に乗せられてお前の財布から銀貨5枚も取られる、てえ事だ。ぐへへへどうだ?まさに、悪い情報だろ?え?」


「このやろう…」


「おいおいそんな物騒な顔するなよお茶目な冗談だ。冗談。お分かり?人付き合いを円滑にするには冗談というのは欠かせねえそうだろ?その代わりサービスだ良い情報の代金はいらねえ」


「で、まさか良い情報は無料だから金をとられなくて良いだろ~、とか口にしてみろ。そのジョッキ1杯分の血溜まりにしてぶちまけてやろうか?」


「おまえが言うと冗談にもならねえ。ま、本題には冗談を入れないのが俺の主義だ。いつものごとく仕事の話だがな。額は保証するぜ」


「その前に銀貨5枚、返せよ」


「いや返すも何ももう財布の中に入っちまってるからな。どれかおまえのなんてわからんから無理」


「クソが」


「まあ聞け。お前、聖女降臨の儀って聞いた事あっか?」


「あぁなんか毎回聖女候補が何人か出て、1人しか辿り着けない厳しい試練だって聞いた事がある」


「なんだ、おまえにしては物知りだな。女か?」


「っ、酒場の話で聞いただけだ。賭け事に向いてるじゃねえか」


「まぁまさにその通り。ちなみにだが、毎回1人しか辿り着けないのはその賭け事を成立させる為に他の聖女候補を殺してるからだぞ」


「まじかよ。本当に裏社会の人間て人間じゃねえのな」


「お前もだがな。でだ、その聖女候補の1人が平民から出た、て話は聞いたか?」


「ああ。少し前に聞いた。確か聖導都にある孤児院の孤児に聖印が出た、とか」


聖女候補。この世界には聖導師様に仕える聖女がる。


その聖女というのは生まれの段階で聖抜せいばつされており、その印として体に聖印をもって生まれるという。


とはいえ選ばれるのは大抵熱心な信仰と金と権力を持つ貴族や聖導都の裕福な連中から生まれる、とはよく聞く話だ。


いや、それ以外に聞いた事がない。


孤児、という事は高貴な血筋でもない女が後ろ盾もないまま聖女候補となってしまったわけか。


なるほど、信仰の分厚い貴族連中には目障りなわけか。


「悪いがいくら裏社会の人間とはいえ大義名分のない殺しは出来ない。ましてや相手が孤児でも聖女候補ととなればな。制約に触れる」


「おいおい早合点はいけねえな。誰が孤児の暗殺、て言った。違う違う。ところがよ、その孤児、平民生まれの聖女様はとてもとても清らかな乙女でな、既に高貴な聖導貴族6人を見事篭絡し、後ろ盾を得た、て話」


「篭絡って手が早いなそれ、清らか《きよらか》ていうより強か《したたか》、の間違いじゃ?」


「いやあもうそれはきっと信仰に分厚い連中だ。神の導きがあったんだろうよ。ま、かなり可愛らしいとは聞いている。そんなこんなで只の孤児が今やこの国1番人気の聖女候補だってな」


ここで一息つき、ぐびっとジョッキをあおる。


「で、困ったことになったのは今までいた高貴な血筋の出の方でな。こっちの聖女候補様は逆に後ろ盾を失っちまってよ。それもぽっと出の孤児で清らかな乙女に取られちまったのさ。というか6人の聖導貴族が祭り上げてるんだから乗り換えられたのかもな。で、文字通り荒野を彷徨うことになった羊が1匹」


「そしてその羊を狙う狼がいるんだな」


「そういうこと。で、お前さんには狼から無事羊を守って欲しいという仕事だ。にしても聖女候補様ねえ今まで汚ねえ仕事はやったがついぞ候補とはいえ聖女様にお目にかかれるなんてなあ。あぁヤりてえな。ナニとはいわねえが」


「そういえば聖導貴族は7人いたはずだ。最後の1人は?」


聖導貴族はこの国の中心である聖導都、そこに住む貴族の中でも最上級の位である。


彼らは7人は聖導師からそれぞれの役割を与えられ、この世の平和や幸せやらに貢献している、大層金をもらっている連中である。


「死んだとさ」


「なんで」


「んな金にもならねえ情報をいちいち教えるか。自分で調べろ」


情報屋のくせに、価値がない情報に関しては相変わらず教える気がない。


ま、こいつがこんな言い方とするという事はどっかですぐ手に入る情報なんだろう。


「で、報酬と期間は?暗殺者からその聖女候補様をどれくらい守ればいい?というより取り分は」


「前で50。んで期間は女神降臨の儀までに守り切れば更に300払う」


「後ろ盾が無くなったからっていっても低くないか?その額じゃ護衛なんてやれない」


「それが金貨なんだよなあ」


「は?」


「金貨で50、依頼が無事達成できれば金貨300だ」


どうする、と情報屋が別の意味で汚い笑顔を俺に向ける。

もとより、俺には拒否する意思も、権利もない。


「わかった、受けよう」


読んでいただきありがとうございました。

1話という事もあり、色々ぶれている所もございますが、連載していきますので温かい目で見て頂ければ。

現在続きは鋭意製作中で、間隔をあけずに投稿できると思います。

気に入っていただけたら続きを読んでいただけると幸いです。


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