第二話~迷い犬と妖のマスター~
こんにちは、藤ヶ谷 秋子です。こちら、『隠れ家バーシンデレラ』シリーズの第二話になります。前作から読んでいただけると嬉しいです。
俺は谷本 雫。今、絶賛迷い中です。実は...
電話の後、店主から、店への地図が送られてきた。家からは割と近く、徒歩でも行ける距離だったため、運動がてらに歩いて行くことにした。
しかし、どれだけ歩いても歩いても、一向に店に辿り着くことができないのだ。店主とは常に通話状態になっており、何度も道や目標物を尋ねたが、返事が返って来ることはなく、店主のブツブツという独り言しか聞こえてこない。それで、こんな状況になってしまったのだ。
もう諦めて帰るか、そう思った時、店主の独り言が、やけに耳に入った。ずっと
『アプリコットフィズ』
と呟いているようだ。アプリコットフィズ、アプリコットフィズ...
はっ!そうか、それは暗号!アプリコットフィズのカクテル言葉は、『振り向いてください』だ...!!
キッと振り返ると、そこには、さっきまで無かったはずの、路地裏の風景と木造の一軒家、そしてその前には
気味の悪い笑みを浮かべた男が立っていた。そして両手を広げて言い放った。
「よく暗号の意味が分かったね。ようこそ、隠れ家バーシンデレラへ!!」
今の状況についていけず、俺は口をぽかーんと開けたまま、固まってしまった。
~続く~
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