7話 生徒会全員集合
『お前、それでいいんだな?』
いいえ、を選択した。
そして、はい、を選ぶ。
僕ははい、を選択した。
けど、先にいいえ、を選んだ。だから、全部の声を奪うのは勘弁して欲しい。
『面白れぇ!お前!いいぜ!時々貸してくれればいい!それを了承するなら、助けてやる』
分かった。了承する。
僕達を助けてくれ。
昨日の事を堂々先輩に説明した。
そして、燐火には内緒にして欲しいと頼む。
「寺師羽根君はそれでいいのかい?」
「はい」
「除霊が出来る人を探すしかないな」
「・・・」
可能性は低い。
いや、無いに等しいだろう。
だが、何もしないのは諦める事と同じ。
おじいちゃんに相談して、お祓いが出来る人を探してもらおう。
「寺師羽根君、宛はあるのかい?」
「………おじいちゃんに頼んでみます」
「そうか。俺も何か出来ないか調べてみる」
「ありがとうございます」
そう言って、僕は生徒会室から出た。
ふと、顔を上げると燐火が居る。
「どうしたんだ?」
「奏介、堂々先輩に呼び出されたの?」
「あ、ああ。昨日のお礼を言われた」
とっさに嘘を付いた。
でも、燐火を心配させたくはない。これは必要な嘘だと自分を納得させた。
「あたしもお礼言ってなかったね。奏介ありがとう。昨日の事、何も覚えてないんだ」
燐火は僕に抱き付いた!
いい匂いがする!女の子の匂いだ!しかも、柔らかい!頭のネジが外れそうになる!
「燐火!ここでそれは不味い!離れて!」
「あ!ご、ごめん」
慌てて燐火は離れた。
顎に手を添えて、顔は真っ赤となる。恥ずかしいなら最初から抱き付かないでくれ。僕も相当顔が赤くなっていると思われる。
「あの部屋、封鎖されちゃったね」
「そうだな」
相槌を打ち、話題を逸らしたくて窓の外を見る。
曇りか。もしかしたら、帰りは雨かもしれない。
「今日天気悪いな」
「だね。雨降りだったら、傘に入れてあげようか?相合い傘」
「僕を殺す気か!」
燐火はこれでモテるのだ。
性格も明るくて品も良い。見た目も可愛いし。入学して、もう3人に告白されたらしい。全員フッたみたいだけど。
そんな燐火と相合い傘をしたモノなら、男達に刺されても仕方無い。
僕はって?
そんなの皆無だ!フツメンが告白される訳ない!女の子と話すのも一苦労なのに!
僕は心の中で溜め息を付いた。
「あたし次、体育だから!」
燐火は自分の教室に戻った。
何故、ワザワザ言う必要がある?ブルマを履いてくれるならまだしも、今の季節では長ズボンだ。雲だけど、雨が降らなければ外で体育が行われるだろう。
授業中、窓の外を眺め、校庭を走る生徒を流し見る。
燐火がこちらに気が付き、手を振るので軽く手を上げた。
「あた!?」
僕の頭にチョークが直撃した!
投げたのは、吉田先生である。投てきの名手で、狙った獲物は外さない!
「寺師羽根!授業に集中しなくて、校庭の女子に集中してどうする!?」
どっと笑いが生まれた。
「す、すいません。吉田先生」
「分かればよろし!次、チョークが命中したら、放課後説教だからな!?」
また、どっと笑われる。
次はチョークを避けてやるぞ!僕は不真面目な事を考えた。
今日の授業が終わり、燐火と合流する。
生徒会へ行く為だ。何も言わなくても、燐火は僕を誘う。金魚のフンみたいだと思ったら、少し笑えた。
「何、考えてるの?」
「いや、何でも」
「あたしの活躍見てくれた?」
「あれ、本当に酷い目に合ったんだぞ!吉田先生にチョーク投げられた!額に命中して、ほら!コブになってるぞ」
僕は前髪を手で持ち上げ、額を露にする。
すると、燐火は不意に近付き、額に手を伸ばす。柔らかい手のひらの感触が伝わる。燐火の唇が僕を惑わす。
「あは♪結構腫れてるね」
燐火の声で、我に返る。
危ない!惚けてしまう所だった。こういう何気ないスキンシップが上手い。僕は慌てて後ろに下がる。
「もうちょいで、放課後呼び出しされる所だったんだからな」
「はいはい」
僕の苦情は軽く流された。
燐火は後ろに手を組み、僕の方を見る。
トントン。
「失礼します」
「どうぞ」
部屋に入ると、知らない人達がいた。
生徒副会長と会計と書記の人だろう。昨日入ったばかりで、顔を合わせていない。ここは自己紹介した方がいいのだろう。
「初めまして。昨日、生徒会に入りました。1年の寺師羽根 奏介と言います。宜しくお願いします!」
「は、初めまして!同じく生徒会に入れてもらいました!日比野 燐火です!えーと、あの、宜しくお願いします」
小声でアドバイスした。
燐火は緊張しいだ。こういうあらたまった場面では、ダメらしい。
「ご丁寧にどうも。副会長の長谷部 雪です。学年は2年生で、趣味は人間観察、と言った所ね」
メガネを掛けているのが特徴的だ。
優等生のいかにもインテリといった感じである。
「初めましてだよ!会計の田中 吉見!学年は3年で、趣味は………うーん。演算?」
天然キャラの様だ。
演算は決して趣味とは言えない。あれはプログラムに欠かせないデータの処理である。
「こんにちは。書記の国光 倉重です。自分は3年で今年卒業ですが、宜しく頼む」
一番まともな人だ。
清潔感のある人で、頼りになりそうな先輩である。
「俺が生徒会長の堂々 順だ!勿論、3年である!趣味はネットでのお買い物だ!寺師羽根君と日比野君は趣味を言ってなかったね!どうぞ!」
い!?
無茶ぶりをかますのですか?生徒会長!!
僕達は一発ギャグをかます必要があるみたいだ。




