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おののき、そして厄災へ  作者: ハロ
1章高校1年生 悪魔編
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5話 いつの間にか増えている

「ゲームをしよう」


堂々先輩が言う。

これはまさかと思うが、口に出して言えない。多分、取り憑かれている。


コックリサンの帰還に失敗した。

その皺寄せがこれだ。女の子達に危害がなかったのは、僕達が引き継いだからである。


帰らせてなくても、1週間以内にこの遊びをすればいい。


帰ってないのだから、降ろす必要も無いのだ。


しかし、弱った。

堂々先輩に取り憑かれたのが、だ。


優秀な人程、操りやすい。

しかも、今回のはかなり厄介な相手だ。霊というより悪魔だな。僕は分析する。


ゲームをふっかけてきた。

ならば、それに乗るしかない。そして、そのゲームで負かせば帰るだろう。


悪魔とは律儀な相手だ。

絶対にルールを守る。そして、勝負するのだ。


負けたら・・・その事は考えない。

必ず勝つ!僕に言えるのはそれだけだ。


「では、部屋の角に向かってくれ。そう、俺と対角線にな」


堂々先輩と対角線に並び、部屋の角で待機する。


「では、始めよう。目を瞑り、真っ直ぐに歩いて壁に手が触れればOK。そして、左に曲がり真っ直ぐ移動する。すると、俺の肩にぶつかる。そしたら、止まって待機だ。肩を叩かれたら、また同じく事をする」


「分かった」


「あるタイミングで俺が質問する。それに正解すれば君の勝ち。間違えれば俺の勝ちでいいか?」


「質問がある」


「なんだい?」


「時間は無制限か?」


「いや、7回までには質問しよう」


「答えを言う時間は?」


「それは無制限………だと、厳しいから、朝までならいいよ」


そうして、このゲームが始まった。


僕の肩が叩かれる。

両手を突きだし、壁に当たるまで進む。壁に手がついたので、左に曲がる。堂々先輩の肩にぶつかったので、僕は待機した。


何回背中を叩いたか分からない。

目を閉じているからだ。心の中で数えていたが、背中を叩かれると忘れてしまう。


背中を叩かれたので、真っ直ぐ移動する。

ここで違和感を覚えた。曲がっていないのに、背中に触れた。


僕はゾッとする!

おかしい!もしかして、増えたのでは!?


すると、早いタイミングで背中を叩かれた!


「い!?」


嘘だろ!?

2人でやっているのだ。最低でも2回移動しなくては、相手に触れる事は出来ない!なのに、1回分の時間しか経っていないのだ!


怖い!怖いけど、前に進む。

肩に触れると、背中を叩かれた!!


「え!?」


「さぁて、問題です。何人増えたでしょうか?」


僕は後ろを振り返えれなかった!

もし、後ろを振り向いたら帰って来られなくなるからだ。


考えろ!

何人増えたか?















「答えは一人です」


「へー、何で分かったの?」


「燐火が戻って来ましたから」


「やるねぇ。君。面白いよ」


答えはこうだ。

目を瞑れば方向感覚もなくなる。足音は堂々先輩が出せばいい。戻ってきた燐火が肩を叩く。そうすれば、沢山の増えた様に見せられるからだ。


「燐火も取り憑かれてたのか」


「うふふ。やるね」


「二人を返して下さい」


「勝負に負けた。だから、返そう」


堂々先輩と燐火は脱力し倒れた。

僕にはまだやる事がある。儀式の紙を破り、外にまいた。


風と共に、紙吹雪は流される。

これで帰還命令は完了だ。僕は燐火と堂々先輩を壁際に寝かせた。


悪魔は厄介だ。

僕はそう呟いた。

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