30話 訪れ
ここから、かなりヤバイ話となります。
覚悟は宜しいでしょうか?
桜の舞う季節。
僕達は3年生となった。
高校では最上級生となる。
後輩への手本とならなくてはならない。
「えへへへへ♪」
燐火が隣でニヤけている。
頬は緩みっぱなしだ。こんな先輩では、示しが付かない。僕は燐火に指摘する。
「燐火、今日から3年生なんだぞ?もう少し、シャキッとしろよ?」
「うーん。こう?」
「それはただ馬鹿な顔だろ?こう!」
「奏介も馬鹿な顔なってるよ」
うぐっと僕は息を吐く。
こうして、間近で見る燐火は可愛い。
「奏介…………声漏れてるから」
燐火は顔を赤く染め、俯いた。
僕も恥ずかしくなり、下を向く。
バシーン!
「痛!?」
突然、背中を叩かれる!
振り返ると、伊集院さんが居た!
「後輩に示しが付かないだろ!シャキッとしろ!シャキッと!」
「すいません。伊集院生徒会長」
伊集院さんは今年から、生徒会長となる。
他に候補が居なかった訳ではない。彼女が適任だったからだ。
生徒会は役員が増えた。
長谷部先輩が卒業したが、新たに2人確保出来たのだ。
「初めまして!寿 茜です!1年生です。不馴れでご迷惑お掛けしますが、宜しくお願いします!」
礼儀正しい新入生だ。
ツインテールにしており、顔も可愛い。気立ても良く、性格も明るい。
「今回から生徒会に所属します。響楓です。2年で、バスケ部から転移しました。宜しくお願いします」
ポニーテールが特徴の、とても綺麗な顔をしている。しっかり者な感じで、生徒会長候補にしても良さそうだ。
「響さんは副会長をして貰っても良いかしら?」
「はい!その積もりです!」
「寿さんは庶務をして貰いたいのですが、良いかしら?」
「えーと、はい!」
生徒会長、伊集院 神無月、3年生
副会長、響 楓、2年生
会計、日比野 燐火、3年生
書記、寺師羽根 奏介、3年生
庶務、寿 茜、1年生
庶務を新たに役職として加え、今年が学生最後の生徒会が発足されるのだ!あ、これは僕視点の言い方ですね。
生徒会にはもう少しメンバーを加えてもいい。
会計がどうしてもネックとなる。頭が良くないと務まらないし、確認が疎かな人には向いていない。
「奏介!頑張ろうね!」
「おう!」
「でも、生徒会のメンバーってさ」
「何?」
「女の子だらけだよね?奏介、ハーレム狙いはダメだからね!」
「意味わかんね。僕はモテた事ないし」
「奏介はモテるよー。あたしに♪」
「燐火限定かよ!って、僕は燐火にモテればいい」
燐火は顔を赤く染めた!
モジモジとして可愛い。もう帽子も被っていないのだ。あの帽子が懐かしく思える。
「あ、あたし先生に呼ばれてるんだ。先に帰ってて」
「いいよ。待ってる」
「悪いよー。進路相談だから、時間かかるし。家で待っててよ!」
「分かった」
僕は浮かれていた。
帰り道、あの電柱を横切ってしまったからだ。
招かざる客を、僕はどうやら招いてしまったらしい。




