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おののき、そして厄災へ  作者: ハロ
2章高校2年生 守護霊編
21/36

20話 始まりは突然に

この話は短いです。

僕達は、高校2年生になった。

燐火も無事、進級する事が出来たのだ。


夏休みが終わっても、退院は叶わなかったけど、燐火は頑張った。2学期はまるまる休みで、冬休み毎日補習を受ける事で、何とかして貰う。勿論、春休みも補習で学校に通っていた。


そのかいあって、僕と同じクラスになる。

学校側にお願いして、燐火と同じクラスにして貰った。まだ精神的に不安定で、癌の再発に怯えなくてはならないからだ。


定期検診は受けている。半年に1回。

それでも、半年では進行は早い。なので、不安になったら、検診を受けさせる事にした。


「お!後輩君だよ」


「新入生か。もうそんな時期なのか」


「初々しいねぇ♪」


そんな光景を流す。

燐火と僕は徒歩通学となった。膝の件で、燐火は自転車に乗らなくなっている。だから、僕もそれに伴い歩く。


「ねぇ、桜が咲いてるね」


「ああ、とっても綺麗だな」


「私は?」


「燐火は綺麗というよりも、可愛い、だな」


「えへへ♪嬉しい」


僕は違和感を覚える。

何だろう。分からないけど、モヤモヤする。


桜の花びらを踏み、上を見上げた。

桜坂と呼ばれるだけあって、壮大な光景である。桜の木が並び、風で桜の花びらが空を舞う。


桜の花びらに、燐火が飲まれる。

僕は慌てて、スマホを起動させ、写真を撮った。


「見ーせーてー♪」


「お、おう」


「すっごい桜の花びらだねぇ!スマホ貸して」


「いいよ」


燐火はスマホを弄ると、僕に渡した。

すると、待ち受け画面が、さっき撮った写真になっていたのだ!


「止めろよ」


「にしし♪嬉しいくせに」


僕はスマホをポケットにしまい、足早になった。


「ちょっと!待ってよ!?」


燐火は帽子を押さえて、追いかけて来た。

そして、隣にピタリとついて、笑う。


気のせい。

これ以上不安になりたくないのだ。


僕はここから、奈落の底へ落ちていく。

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