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女王と狼  作者: 狗山黒
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平凡は素敵だ!

 中学校時代、大層口の悪い同級生がいた。悪いのは口だけでなく、加えて人相も悪かったから、周りには怖がられていた。しかし設定としてはありがちな、優しい不良を絵に描いたような人物だった。実は面倒見がよく、動物好き。そこらへんの漫画を一冊手に取って読んでみると、おそらく高確率で出会えるだろう。

 だが、よく考えてみてほしい。こんな漫画の登場人物みたいな人間がそうそう周りにいるだろうか。

 俺は至って平凡だ。女子に人気な「やたらイケメンに好かれる平凡な女の子」でも、男子が好きな「なぜか美少女ハーレムをつくる平凡な男の子」でもなく、本当に可もなく不可もない人間だ。成績は中間、運動神経もまあまあ、顔も身長も平均的。特別嫌われてるわけでも、特別好かれるわけでもなく、そこそこ友達がいる。取り柄がまるでないわけではないし、とんでもない欠陥もない。漫画ならいわゆるモブ。

 そんな俺にはたった一つ、おかしなところがある。俺はなぜか同い年の変人を引き寄せやすい。十人知りあえば一人いる程度だから多いと思う。ただ、知り合うといっても同級生程度。せいぜい名前と顔が一致して、たまに業務連絡や世間話をするくらいだ。友達になったことも好かれていた記憶もない。

奴らは本当に様々で、王様からヤンデレ、ロリから電波までいた。二次元から飛び出てきたのか、それとも漫画の読み過ぎか、そんな感じだった。

 不思議なことに、彼らは現実になじんでいた。

 確かに勘違いしてる奴らとは違って、中身が外見に、あるいは外見が中身にそぐわしかった。だから誰も違和感を感じなかったんだと思う。違和感がないだけで、キャラが濃いのは事実だが。

 彼らを羨む奴もいた。変な言い方だが、烏合の衆ではないことに羨望を抱いた、って感じだ。その流れで大抵誰にでも思春期の黒歴史はあると思うのだが、俺にはそれらしいものはなかった。もし俺が中二病を発症したところで本物には敵わないし、なにより見ているだけでお腹いっぱいだった。おかげで俺はまっとうな人生を歩み続けてきた自信がある。その点だけは感謝してる。

彼らはその性格ゆえ珍妙な出来事によく巻き込まれ、本人達がどう思ってるかは別として、苦労を被っていたように思う。それにある日ふと目が覚めて、そんな強烈な黒歴史を抱えて生きるなんてごめんだ。その点平凡はいい。奇跡的確率で起きるトラブルには遭わないし、社会で浮くこともない。もちろん、平凡には平凡なりの悩みがある。しかし、それでも俺は断言しよう。

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