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黄金の夜明け前~畏歴二千年前史~ 上  作者: ノウェル・ウィチタ
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アルビオ共和国

 アルビオ共和国は、1115年にカルルギニョン帝国から独立してできた国家である。


 大小アルビオ島は、それ以前は全土がカルルギニョン帝国の領土であった。

 さらに以前はクスルクセス神衛帝国の領土であり、属州アルビオと呼ばれていた。

 カルルギニョン帝国が属州フリューシャにて独立・成立した際に、ほぼ同時に同国に組み入れられた。


 当初はさして問題もなく、カルルギニョン帝国の一部として成り立っていたアルビオ島であったが、第一次カルカソ戦争の折から事情が変わってくる。

 第一次カルカソ戦争で行われた戦時増税がアルビオ島の島民の生活を逼迫したことにより、島民の心はカルルギニョン帝国から離れはじめた。

 彼らにとっては、第一次カルカソ戦争は文字通り対岸の火事であり、切実な問題とは感じられなかったのであろう。


 第二次カルカソ戦争が起こると、戦争の劣勢を眺めつつ、最も独立心旺盛な大アルビオ島北部の住民が蜂起した。

 これは、はじめ非常に小規模なものであり、また蜂起の主導者は貴族でもなんでもない村長であったので、彼らはアルビオ酋長国を名乗った。

 

 その後、第五次まで行われたカルカソ戦争のたびに、カルルギニョン帝国から領土を切り取り、彼らは小アルビオ島全土を掌握した。

 その時から、酋長国から名を変え、共和国と名乗り始めた。

 アルビオ酋長国は、酋長国といっても専制形態ではなく、市長同士の合議制で成り立っていたため、これは本当に名前を変えただけであった。


 領土が広がると、アルビオ共和国の目標は、自然と大小アルビオ島の統一になった。

 だが長いこと大アルビオ島の南部の平地地帯は攻略できず、第五次カルカソ戦争で帝国が大陸を追われ、大アルビオ島に篭ると、南部の防御はさらに強化され、手出しが難しくなった。

 その後の斑火戦争において、フリューシャ王国が大アルビオ島南部を総攻撃すると、もちろん彼らは便乗し、平地地帯に寸土を切り取ったが、結局はフリューシャ王国に追い出されてしまった。


 彼らはカルルギニョン帝国に反目はしたものの、宗教的にはカルルギ派を信仰したままであり、斑火戦争でカルルギニョン帝国が滅んだ後は、世界で唯一のカルルギ派国家となった。

 そのため、カソリカ派国家と表向きの国交はなく、ほぼ常時交戦状態にある。

 しかし、実際には密貿易が横行しており、経済封鎖は穴だらけで、まったく効いていなかった。


 また、この時代、彼らは海賊としても有名であった。

 彼らが海賊となったのは、単純に略奪で得た財貨で懐を潤す目的が殆どであったが、平時における海軍の維持という軍事的側面も大きかった。

 カソリカ派国と比べ、人口比率で圧倒的劣勢にある彼らは、防衛に海戦を利用するほかなく、海軍戦力を蓄える必要があった。

 だが、海軍の維持にはカネがかかるので、海賊を兼任させていたのである。


 後に、戦争のどさくさでユーフォス連邦が成立すると、ユーフォス連邦は大アルビオ島南部のフリューシャ王国地域を攻めた。

 その時、フリューシャ王国は本土を侵されてはいなかったものの、大量の援軍をペニンスラ半島に送り込むために、大アルビオ島には最低限の防備しか残していなかった。

 ユーフォス連邦からしてみれば、ただで領地を奪ったようなものであった。

 このときは、アルビオ共和国にとっても好機であったが、不運にも共和国は政争の渦中にあり、効果的に軍を動かすことができなかった。

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