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空色の恋文  作者: 夏歌
2/2

昔話と青い窓

誰かが言った



【言葉】は空から降ってくると


そして降ってきた【言葉】を拾い上げたら幸せになれると



どうして言葉が空から降ってくるんだろう


どうして拾い上げれば幸せになれるんだろう



たくさんのどうしてが頭の中を巡る


本に書いてある言葉の意味が解らずおばあちゃんに尋ねた


しかしおばあちゃんは笑いながら、いずれお前にもわかる時がくるよとただ優しく微笑むだけだった















何か聞こえる─────






薄く目を開けるとそこには見慣れた茶色い木目が見えた。

……木目?何でこんなところに?

だんだんと視界がはっきりしてくると、それは机の模様なのだと気付く。


重たい頭を持ちあげて顔を上げた。

どうやら今はホームルームの時間らしい。ながったらしい先生の話が私の耳元で心地好い子守唄にかわり私を夢の世界へ連れてってしまったようだった。


目が覚めた後もまだ先生の話は続いていた。

最初は聞いていたがまだまだ先生の話はまだ終わりそうにない。

このままじゃまた夢の世界へいってしまうと思い、私は窓へ視線を移した。


窓の向こうの空を見上げる。

空は以前として青くて、鯨みたいな入道雲がぽっかりと穴のあいた空に浮かんでいた。


まるで綿あめみたいだなぁ、と心の中で少し笑う。


昔は本当に綿あめでできてると思ってたんだよなぁ。


絶対に雲は食べられるものだと思っていた子どもの時。鯨みたいな雲を見たら手を伸ばさずにはいられなかった。


いつからだろう。綿あめできていると信じなくなってしまったのは。


小学校の理科の授業の時に雲は水蒸気でできていると知ってしまった時から?


いいや、違う。

きっと水蒸気だって知ってしまう前から気付いていた。


そんな都合のいい話この世界には存在しないんだって。

そう気付いてしまった時から私の世界にはもう何もなくなってしまった。


夢のあるおとぎ話をきいても、みんなが笑顔で語っている将来の夢の話をきいても何も感じなくなってしまったんだ。


夢なんて描いたって何の意味もない。

その先に待っているものは自分の思い描いていた未来でも幸せなハッピーエンドでもない。



待っているものは自分の思い描いていたものとは違う未来と残酷な現実だけだ。



だから私は思ったんだ。


そんな思いをするくらいなら

もう無駄な希望を持つことはやめようと。


無駄な希望を持ってしまったら持ってしまっただけ現実を目の当たりにした時、きっと深く深く堕ちていってしまうから。



だから私はもう無駄な希望なんか持たない。


笑いながら夢の話なんてできない。





夢なんて描いたって無駄なんだと、気付いてしまったから───────



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