1/11
火花の散る音が聞こえる。
パチパチと暗闇に赤色が浮かんでは消え、浮かんでは消え―――。
僕は剣を握り締め、佇んでいた。
この火花と共に、上へと上ってゆく煙が父さんを天へと運ぶことだろう。
「父さん。」
話しかけても絶えず煙は上るだけで変わらない。
問いに答えてくれる者など後先独りも居らず、僕も変わらず佇む。
「さようなら、父さん。」
僕の声は天に運ばれずに闇に消える。
吸い込まれて、沈黙が再び訪れた。
静寂が火と僕と父を包む。震える様な悪寒が走り抜ける。
剣の鋒から血が―――滴り、落ちた。
「父さん。」
「父さん。」
「父さん。」
繰り返し呼ぶ。
やはり答えは帰って来ない。
そう、父は灰と成って消えたのだから。
「さようなら、父さん。」
あの世で
また
会おう。