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78  作者: 珠洲
1.プロローグ
1/11

 火花の散る音が聞こえる。

 パチパチと暗闇に赤色が浮かんでは消え、浮かんでは消え―――。

 僕は剣を握り締め、佇んでいた。

 この火花と共に、上へと上ってゆく煙が父さんを天へと運ぶことだろう。


「父さん。」


 話しかけても絶えず煙は上るだけで変わらない。

 問いに答えてくれる者など後先独りも居らず、僕も変わらず佇む。


「さようなら、父さん。」


 僕の声は天に運ばれずに闇に消える。

 吸い込まれて、沈黙が再び訪れた。

 静寂が火と僕と父を包む。震える様な悪寒が走り抜ける。

 剣の鋒から血が―――滴り、落ちた。


「父さん。」


    「父さん。」


        「父さん。」

 繰り返し呼ぶ。

 やはり答えは帰って来ない。

 そう、父は灰と成って消えたのだから。


「さようなら、父さん。」


 あの世で

 また

 会おう。


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