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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第20章 果てしなき激闘の軌跡
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EPISODE391:オペレーション・スキュータム PART8

「お待ちかねっ。こっからがショータイム」


 市村はその手品師めいたマーガレットのエンドテクターに目を奪われ、衝撃のあまり瞳孔が開き手元が震え出した。怯えているのか強き者と戦える武者震いなのか――もしかしなくても前者だ。怖いもの知らずの彼にしては珍しいことだが――。


「わ、ワシらのパワードテクターと同じ!? いや……それをも上回っとるんか!?」

「今にわかるよぉ」


 破壊エネルギーが込められたトランプカードを投げると同時に炎の竜巻をいくつも作り出し、マーガレットは迅速かつ着実に市村を追い込もうと試みる。軽快なフットワークを活かし回避と防御、からの反撃に出る市村であるが思っていた以上に攻撃は激しく、かわし損ねたカードによって肌が裂かれると同時に爆発が起き、炎の竜巻によって吹き上げられ燃やし尽くされる!

 それだけにはとどまらない。ステッキ――ファンタジスタの先端からは稲妻がほとばしり、燃焼している市村をさらに焼き尽くして追撃を加えた! 試作型パワードテクターを貫くほどの高威力に市村は痛々しく叫んでその場に崩れ落ちてしまう。


「ブラボー。マーガレット様、流石のお手並みでございます」


 と、一部始終を見守っていたシベリウスが拍手をしつつ姿を現す。上司たるマーガレットに任せきりでも問題ないと判断し下がっていたのだ。少しひねくれた皮肉な笑みで返したマーガレットはその笑みを浮かべたまま倒れ込んだ市村に顔を向け見下す。シベリウスも同様に覗き込んだ。


「過度な評価サンキューね。さてと、このおニイさん」

「どうやってトドメを刺してやろうか?」

「うっく……ま、負けへん……」

「ダメなんだよ。オトコの人がしつっこく食い下がっちゃ。負けを認めちゃいなよ、ガンスリンガーのおニイさん」


 市村の咽喉にはファンタジスタの先端と、シベリウスが持つ魔笛に秘められた剣の切っ先が向けられ――今にも貫き、あるいは、搔き切らんとしていた。



 ◇◇◇◇



「くっ……ぐわあああああああ!!」


 その頃不破は、エンドテクター・ベヒーモスギアを身につけたオブシディアンの強烈なパンチを食らい、つかまれて投げ捨てられた。ダメ押しと言わんばかりに、ベヒーモスギアの力によって更に強化された大剣の一振りから放たれた衝撃波が彼を襲い、試作型パワードテクターの上半身を完全に砕くほどの大ダメージと衝撃を与えた。


「ハハハハハハハ! 生き延びるためにあがこうが、勝つためにオレの攻撃を躱し続けようがどっちみち……無駄だったようだな?」

「ヘッそうかよ。オレは、無駄なことなんかひとつもしちゃいねえぜ……」

「ほーう?」

「お前の攻撃は、ひとつくらいは、みきっ……!?」

「フン!!」


 トドメのパワーある拳が不破の言葉を遮り、彼を完全に黙らせた。パワードテクターを破壊された状態で食らってしまったばかりに不破は全身から血を吹き出し、無常にも瓦礫の中に埋もれた。巨体に見合ういかつい強化外骨格の奥でオブシディアンは笑う。


「貴様を倒すのに特別な技は何も必要ない。この拳とアダマンタインをただ振りかざすだけで十分よ……」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 市村が倒され、不破も倒され――新宿都庁付近に停泊中の対策課のトレーラー内にも、その光景はモニターにハッキリと映し出されていた。先刻、五戦騎がエンドテクターを装着した映像も一緒に。


「そんな、市村さんと不破さんが!」

「これが五戦騎専用のエンドテクターの力なの。ただでさえ強いのにその上にアレをまとうだなんて。ダブルパンチなんて生易しいものじゃないわ」


 オペレーターを務めていた宍戸と小岩井サツキは、あっという間に市村と不破を下してしまった五戦騎の力に脅威を感じ、恐怖を覚えた。そして不安が付きまとう――。そんな女性オペレーターふたりの背後で、白峯とばりとともに立っていた村上は指をアゴに当てて苦い顔をしていた。ピエールや葦原といったほかのメンバーが騒然となっている中で、落ち着いているように見えて内面では彼女たちと同様の脅威と恐怖を覚えていたのだ。


「これであとは健くんとあずみさん、伊東さんや神田さんだけになってしまったな……。このままで終わってはいけない。何か打開策があればいいのだが……」

「頼むわよ、東條くん、あずみちゃん、伊東くん、マサキさん。……みんな……」


 戦っているエスパーたちの身を案じたとばりが目を閉じ祈った。――その祈りは、既に倒されてしまったふたりの分も捧げられた。そのとき、トレーラーのハッチに鋭い金属音とともに切り口が入れられた。そのままハッチが切り裂かれ、夜の月明りを伴って不気味に笑う敵エスパーが乗り込んだ! 村上たちは一斉に銃を構え、その敵エスパーに向けた。――敵の正体は、ジャッカルの特性を秘めたエンドテクターを身につけたカールトンだ。平常運転でゲスに笑っている。


「ギャハハハハハハハハハッ! 思い出すな~、『光の矢』のヤツらをこんな風に襲ってブチ殺してやったんだっけか。俺様が隙だらけのおたくらを狙わねえわけねえっしょ?」

「それ以上近寄れば撃つぞ!」

「オメーらカスどものカスみてえな銃が俺様に通じるわけねえだろがッ!」

「ぐッ!!!!」


 村上らは、関節などに向けて威嚇射撃を行うもカールトンにはまるで通じない。守りの薄そうなそれらの部分でさえ銃弾程度はかすりもしない。嘲笑うカールトンは、手始めに自分へ発砲してきた村上と葦原を張り倒し両者のその首をつかんだ。オペレーターたちも銃を向けながらも戦慄して、体も恐怖に震えて動けないでいた。


「フツーに殺しちゃつまんねよなあ。どうせなら生け捕りにして、そのあとに拷問しまくって殺したほうが楽しいよなあ~~~~クーックックックッ」

「汚い手を離せ、デミスのエスパーめ……!」

「うるせぇなァ! 親や先公はこぞって『自分がされて嫌なことを他人にやるな!』ってくっせえお説教かますもんだがよォ、俺様は他人から俺様自身がされて嫌なことなんざ一度もされたことなかったぜぇ」

「き、貴様は……何を言っているんだ」

「つぅ~、まぁ~、りぃ~、だぁ~。俺様はな、テメエらがされて嫌なことをするのが大好きってことだよオオオオオオオオオオオ!!」


 両手で握る力を強くしたカールトンはそうやって村上と葦原の首を絞めた! 健もあずみも、不破も市村も、神田も伊藤も、それぞれが戦っていて手が離せないタイミングを狙っての卑劣極まりない凶行――。命令されてやったのではなく、すべて彼が手柄を立てるための独断だ。


「騒ぎに乗じてテメエらを殺せばシェイド対策課は機能しなくなって一石二鳥。いや、テメエらの死を知って気が動転した『光の矢』のバカチンどもも殺せば一石三鳥」

「! どうかな、世界中には、『光の矢』のエスパーはまだまだ存在している……貴様らなんかにカンタンに滅ぼされるような人たちではない!」

「そ、そうだ! 村上警視の言う通りだ、悪党め! この手を離して投降しろっ!!」

「減らず口聞くんじゃあないの。寿命が縮まっちまうだけだぜ、えェ!? 警視さんよォ!!」

「うぐわあああああああああああ!!」


 ほくそ笑むカールトンだったが強がる村上と葦原の言葉に苛立ちを感じたらしく、絞める力が更に強められた! このまま一思いに殺されてしまうのか――と、カールトン以外の者たちがあきらめかけたときだった。カールトンの腕や両肩パーツに搭載されていたブーメラン、そして全身に――しなやかだが超硬度の糸が絡まり、動きを封じたのだ。突然絡めとられたことにより動揺したカールトンの全身に激痛が走る! そのダメージからカールトンは村上と葦原を手離した。足がすくんでしまうも、ふたりは両手で銃を握って構えた姿勢を取り続ける。


「だ、誰でい……!? ふぁっ!?」


 カールトンが恐る恐る振り向けば、そこにいたのは――青紫の髪を膝下まで長く伸ばし、暗く落ち着いた青色のコートを着た女性であった。カールトンを含む全員が恐怖したが、しかし、その直後にカールトンひとりを除いた全員が謎めいた安心感を覚えたのだった。


「き、君は誰だ……!?」


 村上が突如現れた謎の女性に驚き、思わず問いかける。すると彼女はカールトンを取り押さえながらこう答えた。


「私は重い罪を犯した。これがあなたへの償い(・・・・・・・)になるかはわからない。けど、あのときの責任(・・)は絶対に果たす……!」

た、たいへんながらく

お待たせいたしました……ごめんなさい!!

で、でも、今後日常シーンでお色気300%増しにするから許して!!


謎のお姉さん……いったい何居何子なんだ……(すっとぼけ

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