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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第19章 終焉(デミス)への序曲
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EPISODE365:花が散り、剣が踊る!

 マスプロイドたちに葛城家の始末を任せたシラーズは、葛城邸周辺にある森の中へと逃げおおせていた。

 木漏れ日が射し込む、森の中のもっと遠くへ。葛城家の者たちの手が届かないほど遠くへ――。


(戦闘能力は我々より低いとはいえあの物量だ。あのマスプロイドたちと戦い続ければ奴らの消耗は著しいものとなる。そうなったときに戻れば奴らの抹殺など、フッフッフッフッ)


 策士を気取ったか悪巧みをして自分に酔いしれるシラーズ、しかし前線を引いたエリーゼがその身に秘めたる絶大な戦闘能力に恐れをなして逃げ出した事実に変わりはない。その上演技でもなく本気で尻もちまでついたというのに――。自分にとって都合の悪いことは忘れて勝ち誇る彼の姿は滑稽ですらあった。


「そこまで!」

「はっ!?」


 凛とした少女――葛城の声に呼び止められ、シラーズは立ち止まって振り向く。しかしそこに葛城の姿は見当たらない。

 「なんだ、気のせいか」と冷や汗をかくも、彼はあまり気に留めず走り出そうと――したとたんに殺気を感知し、ソーサーエッジで身を守る。

 ようやく姿を見せた葛城の剣さばきはなかなかに素早く狙いも正確で、シラーズは危うく急所を突かれるところだった。


「ヤァッ!」

「ううぅッ!?」


 葛城は突きを受け止められても怯まず切り上げ、ハイキックをかましてシラーズをたじろがせる。凛々しい顔がまたまぶしい。


「シラーズ、人の屋敷に土足で踏み込み荒らした上にわたくしの父を、母を、仲間を侮辱した罪――万死に値します! 覚悟はよろしくって!?」

「フン! くらえソーサー!」


 勇ましく啖呵を切った葛城に鼻を鳴らし、シラーズはソーサーエッジを投げた。葛城はそれをかわし、攻撃をかわされたシラーズは不快そうに舌打ちする。


「おイタがすぎるぜお嬢さん。その服脱がしてやるぅ!!」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 一方の葛城邸・敷地内では、エリーゼという頼もしい味方を加えて健たちが大量のマスプロイドを相手に奮戦していた。


「凍って砕けろ! ブリザードストーム!」

「ガガー!?」


 風と氷のオーブを同時にセットし、健が斬撃から激しい吹雪を伴う竜巻を繰り出す。

 マスプロイドたちは一瞬で凍り付き、健は回転しながら凍ったマスプロイドの群れに飛び込み次々に砕いていった。


「ハァッ!」

「ガ……ガガガァァー!」


 アルヴィーは近寄ってきたマスプロイド二体を回し蹴りで同時に撃破し、ほかのマスプロイドたちには手から青白い炎を放って攻撃。

 すさまじいまでの超高温に耐えられず、マスプロイドたちの体は焼き尽くされて爆発した。


「失せろ!」


 まり子は念動力でマスプロイドたちを空中に浮かばせ、次々に爆散させる。一体だけ残ったが、そいつは念力で頭の電子頭脳をショートさせ機能停止からの爆発に追い込んだ。やはり彼女にとってもこいつらは相手にならない。


「お見せしましょう、今もなお輝く葛城家の矜持を! 剣の舞を!」

「ガガガガガァ!?」

「ガァァァ!?」

「ガビーッ!!!!????」


 敵の一体から奪い取ったブレードをまるで自分の腕の延長のように、エリーゼは軽々と振り回しマスプロイドの群れを一閃。家の修復ならあとで出来る、今は戦うのみ!

 剣を振れば衝撃波が、その前に星々が飛び散り、機械の兵隊たちはしびれて圧倒される。エリーゼは容赦せずにその剣さばきと体術をもってマスプロイドたちをなで斬りし、爆散させた。

 ――娘のあずみをも上回る華麗な剣さばきを前に剛三も白峯も、ましてや健やアルヴィーにまり子も、ただ見とれるばかりだ。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 同じ頃、森の中での戦いも白熱していた。シラーズが真空の刃を投げれば周りに木の葉が舞い飛び、葛城が鮮やかにステップを踏めばまた木の葉が舞う。


「スロートカッター!」

「クッ」


 一瞬の隙を突いたシラーズは、必殺技のスロートカッターを放ち葛城を攻撃。命中すると同時に空気が渦を巻き、葛城は打ち上げられ彼女が着ていたワンピースの右肩から胸にかけての部分が破けた。

 しかし葛城は空中で体勢を立て直して華麗に着地。服が破けただけであり体には外傷はない。ただ、胸がまろび出て当然白いブラジャーも見えている。シラーズはそれを凝視した――。


「!?」

「お、おお……おおおおう!! なんてけしからん! いったいぜんたい何センチだ? 何カップだ!? 形といい大きさといい上玉じゃないか、とても高校生とは思えなーい!!」


 恥じらい、顔を赤くして胸を隠そうとする葛城。豊かな胸を見ただけで葛城のスタイルの良さを感じ取れたのかシラーズは大興奮し、鼻息を荒くいまにも鼻血を出しそうだ。


「よ、よーし、君を始末したら次は東條健のパートナーと君の母さんを脱がしてやろう。と、とはいえ君ほどの将来有望な美少女を殺してしまうのはもったいないしなあ……」

「女の敵……!」

「やかまし〜〜いッ! 人の趣味を否定するもんではない! 罰として下半身も脱いでもらうぞ!」

「黙ってなさい! 変態! 変態! へんたぁ~~~~い!!」


 バカげた野望を語り出すシラーズを非難する葛城。彼女にいちゃもんをつけられたことが気に入らなかったか、

 怒ったシラーズは再びソーサーエッジを投げてスカートのすそを破いた。


「!?」

「し、下はシロ(・・)か……」

「もうっ!」

「ブヘッ!?」


 恥じらうあまり葛城はシラーズの顔に拳を叩き込んだ。平手打ちなどでは気が済まなかった。続いて盾で殴ってシラーズを突き飛ばしたが、シラーズはにやけている。


「フッフッフ、しょせんはお子さまだな。そんな攻撃はこのシラーズには通じない!」

「ッ!」

「通じないったら通じないの!」

「うぁああッ」


 葛城をスロートカッターで発生させた空気の渦でぶっ飛ばし、慢心したシラーズは勝ち誇って腰に両手を当てる。


(……通じない、か。それならダメージを分散させる意味はない)

「おとなしく服を全部脱いで投降したまえ! そうすればわたしのほうからさるお方に取り合おう!」

「要するに見世物になれってわけ? お断りします!」

「ぬわっ! むむむむむむ!!」


 何か思い立ったか、葛城は連続で斬撃と突きを繰り出す。挑発に乗って逆上したように見えるが、そう見せかけているだけだ――。

 シラーズはかわしたりソーサーエッジを盾にしたりでガードしたが、それでも狙いが正確なあまり何発かは防ぎきれなかった。しかし体に外傷はあれどダメージはあまり与えられていないようだ。


「フッフッフッフッ、いくらアザをつけたところで無意味さ。なぜならわたしの肉体はエンドテクターという究極の防具に守られているからだ! エンドテクターに守られている限りわたしの前に敵はいない! いかに散発的にダメージを与えても無駄な労力となるだけだぞ!」

「だからといって引き下がるわたくしではないわ!」

「ああそうですか! 無駄だとわかるまで突くなり斬るなりやるがいいさ!」


 すっかり自分に酔いしれているシラーズが葛城の意図に気付く由もなく、今度は防御の体勢すら取らずに激しい斬撃と突きを受け続ける。


「うらあああああああああ!!」

「無駄骨、無駄骨。究極の防具たりえるエンドテクターの前には何も通じな――」


 必死に突き続けて、斬り続けた。狙いは急所。急所を集中して攻撃すれば確実にダメージを与えられる。一点に集中すればより大ダメージを与えられるが、ここはエンドテクターを破壊してしまうのが先決だ。


「なあああああにいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」


 やがて、エンドテクター全体に亀裂が入り余裕をぶっこいていたシラーズは青ざめ、叫び出す。葛城の作戦は見事成功、決して無駄ではなかった。


「し……信じられん! 究極の防具であるエンドテクターがなぜ……?」

「散発的にダメージを与えても無駄なのはわかりきったこと。ならば急所に集中攻撃してダメージを与えるのみ」

「う……ぐぐぐぐ……!!」

「女の子ばかり脱がした罰として、今度はあなたにも脱いでいただきます!」


 逆転の兆候が見えた。シラーズは動揺して汗をダラダラとかき、手足が震えている。対する葛城は殺気立っており、シラーズに対する怒りと闘志をたぎらせている。


「ほざけぇぇぇぇ! 脱ぐのは君だ、エアリアルソニック!!」

「……ヴァイオレントブロッサム!!」


 余裕が残っていないものすごい形相で次々に真空の刃を放つシラーズ、だが葛城は無数の茨を地中から突き出す技――ヴァイオレントブロッサムで反撃し真空の刃をすべて打ち消す。


「ンゴおおおお――――っ!?」


 そしてシラーズ自身にも茨のトゲが迫る! 目を丸くして身を守ろうとするシラーズの体を茨のトゲが打ち上げ、エンドテクターを、左目についていた電子スクリーンを破壊!

 そして顔面から地面に落下し、血ヘドを吐いて気絶した。これでようやく女の敵を倒せた。葛城は「はぁ、やれやれだわ。クリスタローズ!」とため息を吐きながら、パートナーであるバラの女騎士のような姿のシェイドを呼び出した。



「シラーズはうんとキツく縛っておきました。警察が来るのも時間の問題かと」

「そうね。もうしばらくお灸をすえておかなきゃ。それより……お母様たちが気がかりだわ、急ぎましょう!」

「はい!」


 クリスタローズによってシラーズは刺々しい茨に縛り付けられ、敗れたシラーズのことなどどうでもよくなった葛城はクリスタローズとともに屋敷のほうへ疾走した。


【デミスの使徒紳士録 #3】


◆【烈風の円盤闘士】 シラーズ

◆階級:ブロンズクラス

◆所属:ロギア軍団配下

◇緑色のイタチ型エンドテクター【ウィーゼルギア】を装着するデミスのエスパー。エスパー組織『光の矢』主要メンバーのひとりであった葛城エリーゼ及びその一家の抹殺任務を遂行すべく葛城邸を襲撃した。

 元々、風の力を操ることが可能だったが、長年の修行で円盤状の武器【ソーサーエッジ】の心得をマスターしたことにより更なる強さを手に入れた。

 遠近両用のソーサーエッジに風の力を乗せて戦うスタイルは実際相手にとっては驚異的であり、並の実力ではまず歯が立たない。

 ――ここまで書けば悪ながら立派な戦士に見えるが、実は女性に目がなく、下着姿及び裸になった女性の姿を見たいがためにソーサーエッジの操作技術を高めその結果肉体を傷付けず衣服だけ切り裂く術を身につけたのである。

 そんな性格ゆえエリーゼとその娘であるあずみを始末しなくてはならないことを心から名残惜しんでいた。

◇技:スロートカッター、エアリアルソニック

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