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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第16章 究極の選択!
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EPISODE304:決着・剣崎ビルの戦い


「絶望しろよ不破ルァァァァ~~~~イッ!! 絶望の悲鳴は俺にとってのサイコーの音楽でありグルメだあ!! とくに自分より弱いヤツをなぶり殺して悲鳴を聞くときは清々しい気分になれるねェェ!!」

「ぐあおおおおおおおおおうッ!!」


 あれだけいたぶってもまだ足りないというのか、シャドウマンティスはなおも執拗に不破に対して攻撃を続けていた。腹を延々と蹴り続け、それにも飽きたら壁に頭を叩きつけ――やり口はあまりにも残虐。救いようがない。


「しぶといヤツめ、これでもか!」

「うらぁぁぁぁ!!」


 そのとき不破はランスで攻撃を弾きながら立ち上がり、ランスを振り回しながら叩きつけてシャドウマンティスを後ずさりさせた。地面がえぐれるほどの勢いと威力だ。


「な……なにい……!?」

「死んでたまるか。まだまだ……粘るぜぇ!」

「こっこの死に損ないがあ!! まだなぶられ足りねーというのか!?」


 シャドウマンティスは猛り、両腕を交差して鎌を鳴らす。――ダークシュラウディングの予備動作だ。再びあれを繰り出そうとしている。今度一方的に攻撃を受けたら――今度こそおしまいだ。そうならないように不破はランスを両手に持ち、突っ込むような姿勢で身構える。


「ダークシュラウディ……「サンダーストライク!!」」

「うっぎゃあああああ!?」


 不破は、ヤツが技を出す前に突進攻撃を繰り出して潰した。ランスの穂先に電気エネルギーを集中させてから放つ突進攻撃――それがサンダーストライクだ。予備動作に入っていたとき、既にエネルギーをチャージしていたのだ。


「ウギギギ……、貴様ァ……コケにしやがって!! ブチ殺す!!」

「っ! てりゃ!」

「げはっ!?」

「たあっ! とやっ!」

「ぶへえ!」


 急所狙いで斬りかかってきたシャドウマンティスの攻撃をかわし、不破はハイキックをシャドウマンティスに浴びせる。更にランスで斬ったり突き飛ばしたりした。


「ギレェェェ! 虫けらがぁぁっっ!!」


 奇声を上げて、シャドウマンティスは鎌を光らせる。それを不破にめがけて投げつけると鎌が不破の肩に食い込んで拘束した。


「なにっ!?」

「キヒヒヒヒヒ、し、死ねえ……! 念入りにブチ殺してやるよお……!」


 怒るシャドウマンティスはどこからともなく禍々しい大鎌を取り出し、それを両手で持った。戦闘班はマシンガンで妨害に出るが、煩わしく感じたシャドウマンティスは「うるさいハエどもめ!」と、目から溶解光線を発してバトルスーツごと戦闘班メンバーを溶かした。宍戸は恐怖に怯え、村上は悔しげにしながら怖がる宍戸を気遣って彼女の目を手で隠した。


「貴様のしぶとさにはもううんざりだ、さっさと死んじまえ!! デスサイズクライシス!!」

「うっ、うわああああああああああ――――ッ」


 大鎌を握ったシャドウマンティスは空中へ飛び上がり、邪悪な赤い光を帯びた鎌で不破を一閃! 悲痛な叫びが上げられ血が飛び散った。


「不破ぁ!」

「不破さああああん!!」

「ヒャーッハハハハハァー!! や、殺った! 殺ったぞ!! これで不破のゴキブリ野郎もTHE ENDだあああああああああああああ~~~~!!」

「そんな……」


 不破を惨殺して高笑いを上げるシャドウマンティスの残虐な姿は、村上と宍戸に深い絶望をもたらした。ブーメランのように戻ってきた鎌をキャッチして両腕に戻したシャドウマンティスは、腕の鎌を折り畳むと狂った目付きで笑いながら二人に近付く。


「ヒャハハハハハ! あ、あとはお前たちをブチ殺してうまいこと辻褄を合わせるだけだ……」

「なに……」

「よ、よおーーーーしこうしよう。あんたたちはここで殺しあって死ぬ。さっきの脅迫は斬夜捜査官になりすました誰かの犯行ということにする。これで僕は無実だぁ」

「め、メチャクチャだ。話がおかしいぞ」

「筋書きがいかにいびつであれエンディングさえ良ければあとはどうにでもなるって、言わなかったっけぇ。さあ、不破が地獄で待っているぞ……ウヘヘへ」


 自分にとって都合の悪いことを押し付けて体よく逃れようとしていることを語り、薄気味悪く笑うシャドウマンティスは、大鎌を振り上げた。


「フヒャハハハハハッ!! 仲良く死ねえええええぇぇぇぇ――――ッ!!」


 もはや破滅あるのみか。死を覚悟して目をつむる村上と宍戸。しかし、シャドウマンティスに横槍を入れるように脇腹から全身に激痛が走りシャドウマンティスは苦悶の顔を浮かべた。衝撃で血ヘドを吐き出したほどだ。


「な……な……な……なにい~~~~!?」

「まだ天国にも地獄にも行くつもりはないぜ……」


 シャドウマンティスが冷や汗をかいて振り返ればそこには――死んだはずの不破が立っていた。その目、その姿勢からはまだ戦う意志を失っていないことがうかがえる。驚くあまりシャドウマンティスはたじろぎ、村上や宍戸には希望が満ち溢れた。


「し、信じられん! デスサイズクライシスを受けて死んだのではなかったのかあ!?」

「悪いが死神に嫌われてるらしいんでね!!」

「不破さん!」

「不破!」

「お前らな、簡単にあきらめてんじゃあねーよ! あんたらにあきらめられたらな、こっちは死んでも死にきれねえからよ!!」


 不破は笑顔でうしろの二人に話しかけると、振り向いてシャドウマンティスを睨む。


「シャドウマンティス! オレたち警察の信頼と絆は貴様らのようなウジ虫に砕けはしないッ!」

「ボケカスが! ここまで来てまだそんなくだらないものを信じているのかぁ? ならば今度は貴様ごとそのくだらない絆を断ち切ってくれる!!」


 いきり立つシャドウマンティスは大鎌で不破に斬りかかるも弾かれ、顎を切り上げられる。シャドウマンティスは唸り声を上げ反撃するが、不破はとっさに近くにあったノートパソコンで攻撃をガードした。――それはシャドウマンティスが宍戸から受け取ったデータを閲覧し警察に『Y』を要求する際に使用したものだった。


「!? し、しまった。せっかく手に入れたデータが!」

「そりゃすんませんでしたねえ、そぉれっ!」

「ブボッ!!」


 不破が盾にしたノートパソコンでシャドウマンティスを殴り付けたことで、ノートパソコンは火花を散らしながら爆発した。


「よくも僕の計画をおおおお……ブチ殺すッ!!」

「死ぬのはお前だッ!! ゲス野郎ッ!!」


 発狂したシャドウマンティスは大鎌をブンブン振り回して不破に襲いかかる。不破は攻撃を弾いたりかわしたりし、一瞬隙を突いて鋭いキックをかました。シャドウマンティスは転倒し、起き上がって高い跳躍力でドラム缶まで移動するとそれを投げつけた。

 不破は一瞬怯んだが、すぐに加速してシャドウマンティスに追い付きぶっ飛ばした。金網に叩きつけられてシャドウマンティスは金網ごと倒れる。


「う……う゛う゛~~ッ、貴様なんかにイイイイ」

「次でとどめだ!!」


 膝を突くシャドウマンティスに不破は容赦なくランスを振るう。地を走る稲妻を帯びた衝撃波でシャドウマンティスをしびれさせ、そこから連続で斬撃や突きを叩き込む。名付けてスパークルコンバインだ。


「終わりだーっ!! ギガボルトブレイクッ!!」

「うびゃあああああああああああああああああ゛ッッッッ!!」


 とどめは激しい稲妻をまとった必殺の一撃――ギガボルトブレイクを縦一文字に叩き込んだ。吹っ飛ばされた壁をぶち抜いて、剣崎ビル外部で爆発。5Fの高さから地上へと落下した。


「……へへ、ざまあみろって……」


 不破は、片目をつむりながら笑った。シャドウマンティスと激しい戦いを繰り広げたために疲弊しきっており、ランスを杖がわりにして立っているのがやっとだ。


「不破……斬夜は死んだのか?」

「いや、まだだ。サーチャーに反応が残ってた。あの野郎……、今度会ったらとどめを刺してやる」


 サーチャーにはかすかにシャドウマンティスの反応が残っていた。そんなことよりも今は宍戸だ。不破はまごまごしている宍戸に近寄り、肩を置いて微笑む。


「宍戸、大丈夫か? ケガなかったか?」

「……大丈夫です。ヒドイことになるまえに村上主任が来てくれたので」

「ヘヘッ!」

「私はいいんです。問題は……」

「『Y』のことなら君が心配することはないよ。悪いのは君じゃない、あのカマキリだ」


 談話の最中、陥れられたとはいえ警察の最高機密を外部に漏らしてしまったことから罪悪感に苛まれる宍戸に村上は優しく声をかけた。


「え……でも、私のせいでみんなが」

「いいんだ。責任は僕が取る」

「気にすんなって。あんなカマキリ、オレがやっつけてやるからさ!」


 落ち込む宍戸に二人はフォローを入れ、立ち直らせる。宍戸には笑顔が戻りいつもの彼女となった。


「はいっ!」

「さ、救急車を呼ぶぞ。もしみんな死んでたら僕たちだけでも帰ろう。彼らは僕たちの心の中で生き続けているからね――」


 ――その後、不破と村上が警察幹部らに必死で頭を下げたのと宍戸のオペレーターとしての能力を高く評価していた警視総監の鶴の一声によって宍戸はクビにならずに済んだ。


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