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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第15章 湯煙と大地の石とビキニふたたび
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EPISODE279:争奪戦のはじまり PART2

 採石場に響き渡る銃声とオオカミの雄叫び。冷たいメタルのボディにぶつけられる、鎖付きの鉄球。健たちが見ていないところで、ヴォルフガングらと二体の冷酷なメカ生命体との戦いが繰り広げられていた。


「ひゃははははははッ!!」


 高笑いを上げて機関銃を乱射するはデルタゴーレム。対するバサルタスには銃弾は命中していたものの、まったく効いていない。


「へっへっへ。俺の甲羅にゃそんなもん通じねえよ!」

「ほーう?」


 バサルタスは頭と手足を甲羅に引っ込め、高速で回転しながら突進。デルタゴーレムはひらりと身をかわす。

 頭と手足を出して着地し、今度は甲羅に備え付けられたバズーカ砲から砲弾を発射。爆風がデルタゴーレムを巻き込みながら周囲を周囲を焼き尽くす。


「やってくれたな!」

「チィッ!」


 だがデルタゴーレムは炎と煙の中を突っ切って、さながら弾丸のような速さで横に跳びながら銃を乱射。更にショルダーキャノンから赤いエネルギー弾を放ちバサルタスに当てる。しかしバサルタスはビクともしていない。


「バカだなぁ、効かねえっつってんだろ!」

「なんとも硬いヤツだ。貴様の防御力はダイヤモンド並か? カメ野郎」


「おんどりゃあああああ!!」

「フンッ! ハァッ!」


 キングウルフェンは、もう一体のメカ生命体――カイゴーレムと交戦中だ。どちらも加速して目にも留まらぬ速さで動き回り、拳や武器をぶつけ合う。


「ずあっ!!」

「ガルルルッ」


 両手を広げ、カイゴーレムは背中の電極から電撃を放ってキングウルフェンを攻撃。右腕のレールガンからも電撃光線を撃ち出して追撃しキングウルフェンを岩に叩きつけた。衝撃で岩は粉砕された。


「アオオオォーーン!!」

「グギッ!?」

「な、なんだ!? グヒャァッ!!」


 起き上がったキングウルフェンはけたたましいほどの雄叫びを上げて、その際に生じた強力な波動でカイゴーレムを攻撃。ついでにデルタゴーレムも雄叫びによってダメージを受けた。


「邪魔すんなぁあああああああッ」

「ぐっは! ぐはあああああああっ!!」


 怯んだところにバサルタスが鉄球を振り回しながら接近。そのままカイゴーレムへ力任せに鉄球を叩きつけ、岩壁までぶっ飛ばす。


「カイ! 貴様ぁ!」


 仲間を攻撃されていきり立ったデルタゴーレムは、バサルタスへ向けて銃を連射。だがあまり効果はない。


「効かねえよ!」

「これならどうだ!」


 デルタゴーレムが左の膝を曲げるとそこがスライドしてマイクロミサイルが飛び出し、バサルタスに命中し爆発。続けてショルダーキャノンから赤いエネルギー弾も発射して見事に大爆発させる。

 時間差をつけた強力な連続攻撃を受けてバサルタスは右腕を負傷し、更に右肩の亀甲型のプロテクターに亀裂が入る。


「なに!?」

「バカめ、俺の武器が貴様にかすり傷ひとつつけられないような安っぽいものばかりだと思ったか!」

「くそっ……」

「一発だけでは通じないなら何発でも当てればいい。それだけのことよ!」


 バサルタスの急所を狙ってデルタゴーレムは銃を乱射。胴体はダイヤモンド並の強度を誇る甲羅に守られている以上狙うだけ無駄だ。だったら露出している頭部や四股を狙えばいい。


「さっきは良くもォ!!」

「……ッ」


 ぶっ飛ばされたカイゴーレムが飛び出してきて、鋭利な形状のビットを射出。四股から電気信号を発して、「行け!」と攻撃指令を下す。

 指示通り、ビットはキングウルフェンとバサルタスに電撃光線を放ち痺れさせる。シェイド二体の全身に激痛が襲いかかり、悲痛な叫び声を発した。


「逝っちまいな!」


 デルタゴーレムの胸部ハッチが開き、キングウルフェンとバサルタスに向けて機銃を掃射。二体は怯んで動けなくなった。


「フン。カイ、遠慮はいらん。エスパーどもが来る前にこいつらを片付けてやろうぜ」

「合点承知ぃ!」


 二体のメカ生命体が並び立ち、キングウルフェンらをざっくりと片付けることを宣言。対するキングウルフェンは低く唸りながら、「シェイドをなめるなよ……!」とカイとデルタを睨み付けた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 神威島行きのフェリー・あかつき丸の甲板。健はタッグを組んで攻撃をしかけてきたヒュドラワインダーとワイズファルコンによって窮地に追い込まれていた。相棒(アルヴィー)は一掃してもなお襲いかかってくる大量の雑兵タイプと戦い続けている。


「うっぐ……」

「ただでは殺さん。苦しめて、苦しめて、苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめてッ! 同胞たちの無念を晴らすッ!!」


 二体の上級シェイドの連携攻撃を受け続けて健は転倒。

 現在のヒュドラワインダーを動かしているのはエスパーたちとの戦いで失った部下への思いと、エスパーたちへ対する――憤怒だ。

 それは表情によく出ている。ワイズファルコンも、冷静に振る舞っているが心の中は怒りで煮えたぎっていた。


「まだそんなことを……執念深いなッ」

「悪いがヘビとはそういう生き物なのだ。生まれが陸だろうが海だろうが関係ない」


 うめく健を斬って怯ませ、更に首を掴んで床に叩きつける。ワイズファルコンは高速で飛んで鋭い足の爪で追撃。鷲掴みにして悲鳴を上げさせる。


「健ッ! ふんぬうぅうううううッ!!」

「グラァァァァッ」


 このままでは健が危ない! 早く助けに行かねば。アルヴィーは超低温の吹雪を吐いて雑兵タイプのシェイドたちを凍らせ、一気に粉砕。健を助けに向かうも――ワイズファルコンがとっさに駆け付けて行く手を阻んだ。


「邪魔はさせない!」

「どけ、どかぬか!!」


 すばやい動きで爪を振りかざすワイズファルコン。アルヴィーはファルコンの攻撃を龍の手甲で弾き返し、キックを叩き込むも翼で防御される。――世にも壮絶なキャット・ファイトの始まりだ。

 ワイズファルコンは目にも留まらぬ速さでアルヴィーを切り裂き、アルヴィーは龍の爪を叩きつけて反撃。いきり立ったワイズファルコンは回し蹴りを浴びせてアルヴィーを宙へ打ち上げる。


「バルバリティレイヴ!」

「うあああああぁぁ――――ッ!?」


 打ち上げたアルヴィーを狙ってワイズファルコンは高速で空を飛び回りながら何度もアルヴィーを切り裂く。赤い血を流しながらアルヴィーは甲板に落ちた。


「そりゃあッ!」

「でえええッ」


 健はヒュドラワインダーに対して反撃を試みるもことごとく攻撃を相殺され、挙げ句の果てにエーテルセイバーを弾き飛ばされてしまった。


「ッ……!」

「さあどうする。海の藻屑となって腐り果てるか、この場でナマスにされるか。どちらにしてもお前には死あるのみだ!!」


 血を流している健の胸を踏みつけ、ヒュドラワインダーは喉元に魔剣をあてがう。


「地獄へ行け東條ッ!!」

「も、もうダメだ」



「……聞き捨てならねえな!!」



 ――すべてが終わってしまうと思われた、そのときだった。低音で勇ましい男性の声が甲板に響きヒュドラワインダーを一閃。


「加速能力……? タアッ!」


 アルヴィーと交戦していたワイズファルコンには声の主の動きが見えた。その理由は声の主より速く動けるからだ。攻撃を相殺するとそこにいたのはメカニカルな槍――イクスランサーを左手に携えた不破だった。


「不破ライ、あなたでしたか。やぁ――ッ!!」

「えぇえええいッ!!」


 攻撃を相殺された不破は、アルヴィーと健の視線の先に立つ。彼の姿を見た健とアルヴィーは一筋の希望を見出だした。不破が来てくれた、これで百人力だ! ……と。


「不破さん、来てくれたんですね!」

「お主今までどこにおった?」

「なんか乗客が騒がしいから来てみたんだが、こういうことだったようだな!」

「余計なことを……。貴様、また海に沈められたいのか?」


 頼もしげな不破の背中を見ながら立ち上がる健とアルヴィー。対するヒュドラワインダーはゴーグル状の器官に守られた鋭い目を光らせる。


「そんなのこっちから願い下げさ。それにオレは決心したんだ。もう誰も死なせやしないってな!!」

「ご立派なことで!」


 イクスランサーを構えて健やアルヴィーとともに臨戦態勢に入った不破と、身構えて迎え撃とうとする二体の上級シェイド。エスパーとシェイド、両者が並び立つときが来た。



「行くぞォ!!」

「来い、エスパーどもおおぉ!!」


 果たして勝者は――!?


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