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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第2章 敵は非情のセンチネルズ
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EPISODE24:そんなウワサ

 不破と仲直りした翌日……。


「東條クン、カップ麺はあまりボディーによくないネ。それとパンだけでダイジョブですか? アフタヌーンの仕事はベリーベリーハードね、甘くないヨ」

「だいじょーぶです! たぶん……」


 その日の昼休み、健はケニーらと談話して盛り上がっていた。カップ麺をすすりながら。


「ま、それはそーと……ナウなハナシしまーす。なんでも、最近この街にヒーローがいるトカ、いないトカ。そんなウワサ、巷で話題になってるそうデース」

「えっ、ヒーロー? それって何レンジャーですか? それともお面ライダーですか?」


 職場では、最近現れたこの街のヒーロー的存在の話で盛り上がっていた。

 そんな中で健が発したとんちんかんな発言が、周囲を爆笑の渦に巻き込む。


「NO,NO,NO,違いマース。何でもそのヒーローはヤングなエスパーで、我々シチズンのピンチに颯爽と現れて、強くてハートフォー。おまけに甘いマスクだそうデス」

「それって、まるで東條さんみたいね」


 にっこりと暖かく微笑むジェシーからそう聞いて、健が顔を真っ赤にした。


「ハハッ、違いないネー。PERFECTネ……PERFECTな……ムカつき野郎ネェェェェェェェェェ!!」


 やきもちを焼いたのか、頭を抱えながらケニーが唸った。当分は狂ったように唸り声を上げ続けるだろう。

 こうなってしまうと少々うるさいので、ちあきからケニーを除くメンツに耳栓が配られた。


「あぁ、ありがとうございます。助かります~。僕、なんか悪いことしちゃったみたいですね……」


 とりあえず、健はカップ麺をすすった。それも全速力で。

 そうでもしなければ食事が止まったまま、せっかくの昼休みが終わってしまう。


「いーや、東條くんは何にも悪くないよー。どう考えてもあなたより、ひとりで勝手に怒ってる係長のが悪い!」


 ちあきのその言葉に納得して頷いている頃には、健は既にカップ麺を片付けて惣菜パンに取りかかっていた。チョココロネとカレーパンだ。


「NOOOOOOOOOOOOOOOOOO!! ミーは悪くないネ! ユーのことみたいに思ったミスター東條がツケ上がるのが悪いんだYO! NO BAAAAAAD!!!」

「やだ、今日の係長……ちょっとヘンだわ。怖い……」

「ちょ、ちょっと、係長! ひとまず落ち着いてください。今井さん怖がってるじゃないですか!」


 あさっての方向へ爆走し続けるケニーを健が制止。

 ケニーを一度外へ出して落ち着かせたところで、楽しいお昼休みを再開した。


「ああ、怖かった。係長はいつもテンションの高い人だけど、突然大声出して暴れられたらびっくりしちゃう……」

「まったくです。あんなダメ上司は副署長に言いつけて、窓際に追い込んでやります!」

「東條さん、それは言いすぎじゃないですか」


 拳を握って間違った方向に意気込む健を、サッとみはるが止めた。


「でもさっき言ってた、若くてかっこいいエスパーさんって本当にいるのかしら。一度会ってみたいな~」

「えっ?」


 健はこの状況に少し困っていた。話題に上っていたヒーローは恐らく、いや確実に自分の事を指している。何故なら不破は強いが態度も印象も悪く、せいぜい奥様方のヒーローが関の山。

 だが、自分はどうだ。自分で言うのもおこがましいが、少なくとも不破よりはやさしいし、シェイドからみんなを守るために必死になって頑張っている。

 ちょうど、そろそろ噂ぐらいにはなるだろうとも考えていた。なので自分のことだという可能性は十分ありうる。

 しかし、自分がエスパーであることを明かして、余計な迷惑をかけたくない。シェイドとの戦いには巻き込みたくない。それが本心なので非常にツラいところだ。言ってしまえば、すぐ近くにジェシーが会いたがっていたヒーローがいる。ああ、いったいどうすれば――。


「東條さん?」

「あうぇ、なんでもありません。それと、ジェシーさん。さっきの若いエスパーさんがどうこうって話ですけど……あなたの方が若くて優しくて、きれいです!」

「えーっ、大げさよ~。でもそう言ってもらえて嬉しいわ。ありがとう♪」

「えへへ、いやぁそれほどでもー」


 ジェシーを褒め称える健。その鼻の下は、笑えるくらい伸びていた。


「あらあら、二人ともいい雰囲気じゃん。こりゃあ、こっから先は見逃せないわね」

「ですね」

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