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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第14章 『光の矢』
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EPISODE253:穴をうがつ削岩鬼

 その頃の東京――都内のとある発電所。作業員たちが今日も懸命に作業に取り組んでいる最中に、突如轟音が響き地面が揺れ動いた。


「な、なんだ!? 今の音は……」

「ドォリドリドリイイイイィ!!」


 騒然となる中、それは勢いよく地面を突き破って唐突に姿を現した。モグラを直立させたような姿で、全身にドリルがついており、岩はおろか鋼鉄にすら穴を穿つことが出来そうだ。まさしく、歩くドライバードリルといったところか。


「ドリッ! 邪魔だあ!!」

「げべっ!?」


 うろたえる作業員を爪で薙ぎ倒し、モグラのシェイドはほかの作業員もぶっきらぼうに殺害しながら次から次へと発電設備に攻撃をしかけて破壊していく。内部だけではなく、外部に立っていた送電線にも手を出した。


「ドリドリイイイイィィィ!!」

「うわあああああーーッ!!」


 モグラのシェイド自慢のドリルにかかれば送電線を倒すことなど容易いこと。ガリガリと削っていきあっという間に倒してしまった。作業員たちが逃げ惑う中で、角材を持ったものが勇気を振り絞って立ち向かう。


「やめろおおお!!」

「ドリッ?」

「や、やめろバケモノ! そんなことしたらどうなるかわかってんのかぁ!!」

「ハァ? 邪魔すんじゃねえやい!!」


 モグラのシェイドは角材を持った作業員を殴り飛ばしてフェンスへ叩きつける。頭から血を流しながらも立ち上がろうとする作業員の前に包帯を巻き異常なまでに厚着をした男――辰巳が現れ、顔面を殴りそのまま胸を踏みつけて追い討ちをかける。


「どうなるかわかってるからやってるのさ。嘆くならあの世でやれ」

「うわあああーーーーッ!!」


 辰巳は海蛇の毒牙を模したサーベルを作業員の喉に突き刺して息の根を止めた。血しぶきが上がる中で建物の方を向くと、三つの首を持った海蛇の怪人の姿となり三つの口に光を集束させると大蛇の形をした光線を放って建物を爆発させ、崩壊させた。


「ふっ、最初はこんなところか」


 瓦礫の山と化した発電所を見て呟く辰巳。送電線をすべて倒したモグラのシェイドに近付くと、「ご苦労、モグドリラー君」


「こんなんじゃ足りねえ! もっと暴れさせてくだせえよォ!」

「落ち着け。これから思う存分暴れられるからな」

「ぜひともそうさせてもらうぜぃ!」

「ふっふっふっ……」


 モグラのシェイド――モグドリラーは非常に気性が荒く、残虐だ。しかも暴れるのが大好きときている。片っ端から発電所を破壊すればいいだけの今回の作戦は、彼にはピッタリだといえるだろう。


「さあお前たち、思う存分暴れろ! 人間どもの生命線を断ち切るのだあッ!!」

「そういうことだから暴れさせてもらっちゃるぜーッ!!」

「グラーッ!!」

「しぇ、シェイドだぁぁぁぁーーーー!!」

「おたすけぇ〜〜ッ!!」


 それから辰巳はモグドリラーやクリーパーから進化した雑兵タイプのシェイド・グラスケルトンたちを引き連れて各地で暴れまわった。あちこちで爆発炎上が起こり、市街地では停電が相次いで街は大混乱に陥ろうとしていた。


「一般市民からの通報だ! ベイエリア西の発電所がシェイドの群れに襲われている!」

「了解、ただちに向かう!」


 ベイエリアとは芝浦や横浜の辺りを示す。シェイド対策課は主任である村上の指揮の下、不破が率いる戦闘部隊がバイクにまたがってそこへ急行した。ベイエリア西――そこの海辺に建てられた発電所へと。


「シェイドッ!」

「ん……邪魔をしに来たね、警察の諸君」

「不破隊長、シェイドがしゃべってますよ!?」

「一部の知能が高いやつはこんなもんだ。そんなに珍しいことじゃない」


 バイクから降りて、不破率いるバトルスーツをまとった部隊がシェイドたちに向けて銃を構える。それに加えて藍色のバトルスーツを着たリーダー格――不破は背中に愛用のメカニカルなランスを背負っていた。


「偶数班はオレの援護をしてくれ。奇数班は逃げ遅れた人の救助を頼む!」

「了解!!」


 奇数班と偶数班を分けて、不破は三つ首の海蛇の怪人――ヒュドラワインダーに近付く。右腕と右の首が紫色で左腕と左の首が緑色、真ん中の首と胴体は水色。極彩色の体が目に留まる。


「これ以上、お前たちの好きにはさせん!」

「ふっ……自信に満ちているな。果たして止められるかな」


 激しく怒っている不破に対してヒュドラワインダーは余裕を崩さない。まるで、勝敗は常に顔で決まるのだ――とでも言いたいかのように。


「食らえっ!」


 間合いを取り、不破はサブマシンガンの引き金を引いてヒュドラワインダーに弾丸の雨をお見舞いする。しかしヒュドラはニヤリと笑い傷を再生させた。


「そんな程度か?」

「なにッ!」


 ヒュドラは配下のグラスケルトンたちに「撃てぇ!」と命じ、不破率いる戦闘部隊にビームの弾幕を浴びせる。彼らを吹っ飛ばすとヒュドラ自身も背中の頭から燃え盛る火炎の息を吐いて追い討ちした。


「みんな怯むなッ! 撃てー!」

「このバケモンがぁ!!」


 不破率いる戦闘部隊は怯まず、続けて攻撃する。援護射撃を受けてグラスケルトンたちが怯んだところで不破はランスを抜いて放電。更に激しく振り回して殲滅した。


「よくも私の部下を! クワアアアッ!!」

「ぬおおおっ!?」


 真ん中の首を下げて、ヒュドラワインダーは口から高圧の水流を吐き出して不破たちを押しきる。だが不破は起き上がり、ヒュドラワインダーへ連続突きを仕掛ける。ことごとくサーベルの刀身で弾かれたが、最後の一発で防御を切り崩してそこに渾身の一撃を叩き込んだ。


「ヘビ野郎、貴様は何者だ。答えろ!」

「ヴァニティ・フェアの幹部とだけ言っておこう」

「なにっ!」

「詳しくは友達にでも聞くんだな!!」


 ランスがサーベルを弾き、サーベルがランスを弾いて火花を散らしながら攻防が繰り広げられる。


「ぜぇぇぇぇいッ!!」

「ぐわあああっ」

「死ね!!」

「ぐっ……うおああああああァ!!」


 一瞬の隙を突いて辰巳は不破を切り上げて怯ませる。更に左の首を伸ばして鋭いキバで噛みついた。


「ぬううううううんッ」

「うぐぐぐ……はああああああっ!」

「ぐぬううああああッ!」


 ところが不破はランスをかざして放電し、ヒュドラワインダーをしびれさせて首を振りほどく。そこへ隊員たちが援護射撃をしかけ、更に手榴弾も投げ込まれヒュドラワインダーを吹っ飛ばした。


「やるじゃないかァ……」


 深いダメージを受けたヒュドラワインダーは口から流れた紫の血を拭き取る。しかし傷はすぐに再生し元通りとなった。


「てめえ、何度再生すりゃあ気が済むんだ!!」

「バカめ、私は不死身だ!」

「なにをおおお――――ッ!!」


 不破はランスを激しく振り回して、ヒュドラワインダーを切り刻む。やはりダメージを受けても再生してしまい、ヒュドラワインダーから腹部にパンチを食らって不破はよろめく。


「うおおおおおおお!!」

「ドリドリイイイイィ!!」


 それでもなおヒュドラワインダーに立ち向かう不破の前に地面の下からモグドリラーが現れ、彼の行く手を阻む。腕についたドリルで不破をぶっ飛ばし、更にヒュドラワインダーがその隙に左腕に手甲をセット。

 この手甲――ハイドラアームは鋼鉄のように硬い海蛇の鱗で出来ており、多少の攻撃など弾いてしまいそうだ。大きさも二の腕までを覆うほどだ。素手での格闘戦はもちろん、ヒュドラ愛用の魔剣ハイドラサーベルと併用して使うことも可能だ。そのときは攻撃ではなく防御に使われるだろう。


「……ッ」

「ドリドリィ! 拡散ドリルミサぁぁぁぁイルッ!!」


 モグドリラーが両肩から生えたドリルを撃ち出し空中で分裂させた。無数に分裂したドリルミサイルが不破たちを襲う。


「ぐおおおおおおっ!?」

「た、隊長ォォォ!」


 爆風で吹っ飛ばされた不破はそのまま壁に激突。顔から地面に落下した。


「ちぇぇぇぇやぁっ!!」

「のがあああああッ!?」


 サーベルを仕舞い代わりに手甲を装備した辰巳が俊敏に動きながら不破を激しい攻撃で畳み掛ける。手甲によるパンチやキック、左右の首による噛みつきや炎に高圧の水流――。それはもう凄まじいものであった。


「はあっ、はあっ……」

「どうした不破ライ、もうスタミナ切れか?」

「まだだァ……警察を、なめるなあッ……!」

「弱者が張る虚勢ほど見苦しいものはないぞ、政府の飼い犬」

「ッ……」


 窮地に立たされた不破に対して、不破の目の前で拳を合わせているヒュドラワインダーは強者(つわもの)特有の余裕に満ちていた。その傍らでモグドリラーやまだ生きていたグラスケルトンたちも笑っていた。不破を倒せば、残るは指揮官を失い途方に暮れるザコばかり。もはや勝利したも同然だ。


「COOLだねぇ〜、お兄さん。俺にとって一番いけ好かねえタイプだァ!!」

「待て」


 早くトドメを刺したくてウズウズしていたモグドリラーが腕のドリルを轟かせながら接近する。が、辰巳から止められた。


「ドリッ。なんでダメなんですかぁ、殺らせてくださいよォー!!」

「君たちは先に次の発電所を攻撃しに行け。こいつらは私が片付けておこう」

「させるか……みんな、あのモグラ型シェイドを追え」

「しかし隊長……!」

「オレなら心配いらない!! 早く行くんだッ!!」


 辰巳が、不破が、それぞれ部下に命じて先に行かせる。これで敵味方ともにひとりずつとなった。ふと、辰巳は思い出したように不敵な笑みを浮かべる。しかも不破にあてがっていた魔剣を再び仕舞った。


「これで一対一だな」

「何の真似だ……!」

「相手がひとりになったからといってやりやすくなった……とは限らんよ?」

「へっ、そっちもオレひとりだけなら相手しやすいと思ってもらっちゃ困るな!」

「ふっ、笑止な! たった一匹の小ネズミが大蛇を前に粋がるとは」


 ヒュドラワインダーは立ち上がった不破をハイドラアームをつけた左手でぶん殴る。更に口から高圧の水流を吐き出して押し流した。装備したハイドラアームを外してヘビの鱗に戻すと、「まぁだまだ……海蛇(ヒュドラ)の底力はこんなもんではない」


「く……!」

「ハアアアアアア……!!」


 ヒュドラワインダーの眼がゴーグル越しに不気味な閃光を放つ。背中の左右の首も眼を光らせ、全身がおどろおどろしい黒いオーラに包まれた。


「あぁあああああああああアアアーーーーッ!!」

「ぜあッ!」


 解き放たれたオーラは凄まじい衝撃波となって不破を吹き飛ばし、不破の体は壁をぶち抜いて一気に海中へと落下した。不破を追って黒いオーラをまとったヒュドラワインダーも海へとダイブする。そして再度黒いオーラに覆われてその姿を――巨大な三つ首の海蛇へと変化させた。頭は胴回りほどもあり、一口噛まれただけでも体の大部分が損傷することは容易に想像がつく。それにこの巨体にぶつかっただけでも大ダメージは免れない。


(な……なんだと……!?)

「貴様のすべてを噛み砕いてやる……そして海の藻屑となるがいいッ!!」


 巨大化したヒュドラワインダーはあまりにも強大だ。不破は目を見開くほどに驚愕し、全身に恐怖の衝撃が走る。自由に身動きが取れない海中で不破はどう立ち向かうのか?

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