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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第8章 太陽とビキニと夏の陣
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EPISODE151:何にしようかな

「へへっ。最初はちょっとヤだったが、結構楽しかったな」

「でしょでしょー♪ たまには楽しまないと」


 遊海廊のお土産屋。フードコートのすぐ近くにあるそこでは先に遊海廊を見て回った不破と宍戸が品定めをしていた。余韻に浸りながら。


「ここで買いもんしたらお昼にすっか」

「はい! 賛成です!」


「よし! それじゃあどれにしようかな」


 おみやげの定番であるクッキーにチョコクランチ、海洋生物をモチーフにしたスプーンやフォークなどの食器、可愛らしいぬいぐるみにジグソーパズル――品物は多種多様だ。流石の不破も少しばかり悩んでしまうというもの。


「うん? なんだこりゃ、マペットか……」


 ふと不破の目にマペットやぬいぐるみが入ってくる。サメを模したマペットを手にとると、「おっ、こりゃあいいな!」とマペットをはめて嬉しそうに手を動かす。


「おーい、宍戸ー!」

「なんですか、不破さん?」

「ガブッ」

「キャー! や、やめてくださいよ〜!」

「はっはっは、わりぃわりぃ」


 童心に帰ってちょっとばかりイタズラを仕掛けてみる。なんとなく悪ガキだった頃の自分を思い出していた。たまにはこういうのも悪くない――。マペットを戻して、不破は再びなにを買うか探し出す。


「あっ、不破さん!」

「ん!? おまっ……東條!!」

「あっ、東條くん♪ ここどうだったー?」

「はい、すごく楽しかったです! また来てみたいなぁ」


 その矢先、二人は同じ目的でここを訪れていた健とバッタリ出くわす。買い物カゴの中は、既に職場でいつも世話になっている人々や実家の家族へ配るお土産が入っていた。更にジンベエザメのぬいぐるみもある。

 これは恐らく自宅アパートに飾るか、或いは彼の姉の綾子に買って帰るためのものだろう。事実、綾子は女の子らしくぬいぐるみが大好きだった。以前ウミガメのぬいぐるみをプレゼントした為、今度はジンベエザメを買って帰ろうというわけだ。


「しっかし早いなぁおい! もうそんなに入れやがって……」

「はい♪ 職場の先輩方や家族に買って帰ろうと思って」

「えらいなー♪ あたしも村上主任たちに何か買ってかなきゃ」

「それで他のみんなも一緒なのか?」


 驚いたまま、不破は質問を続ける。彼の問いに対して健は「ええ、一緒ですよ」と答えた。


「そうか。じゃあ、メシは?」

「さっき外のフードコートで食べてきましたよ」

「そうだったんだ。結構早いのねー」

「はーい。何しろまり子ちゃんがね、おなか空いたおなか空いたってしきりに言うものですから、ほっといたらちょっと可哀想かなぁーって」

「あ、あのチビ……お前にそんなこと言ったのか。迷惑かけるだけかけやがって」


 眉をしかめ唇を噛み締める不破。やがて目をカッと見開いて右手の拳を握ると、「あのわがまま娘を早く連れてこい! オレが根性叩き直してやるッ!」とひとりで勝手に燃え上がった。彼の隣では宍戸が「あ、熱い……三度ぐらい気温上がったかも」と呟いていた。ちょっと面倒くさい事態になった。何とかしてこの場を抜け出したいが――。いい方法がないか考え始めたそのときだった。


「健ー、何しとるんだー? 早く買わんと置いてくぞーっ」

「わあっ! あ、アルヴィーが呼んでる!」


 ハスキーな女性の声が健を呼ぶ。アルヴィーだ、他のみんなは既に買い物を終えていたのだろう。これはまずい。急いで買い物をすまさねば――。


「すいません、そういうことなんでそれじゃ!」


「あっ! こ、こら、待てッ!」


 こんなところで置いてけぼりを食らうのはは嫌なので、さっさと不破の下から抜け出してレジへと向かう。会計はピッタリ3000円。うちジンベエザメのぬいぐるみが1000円で、遊海廊クッキーが1200円、チョコクランチの缶が800円だ。結構金を使ってしまったが、実はまだ余裕がある。無駄遣いをしない限りは大丈夫だろう。



「みんなー、楽しかったー?」


 興奮冷めやらぬ中、水族館を出る健一行。意気揚々と、嬉しそうな白峯が全員にそう訊ねるとみな口々に「楽しかった!」「来てよかった!」と答えた。にっこり、と白峯は笑顔を浮かべる。


「……ふぅ。あと1日だけか。楽しかったなぁ」

「ねぇねぇ、水族館行ったんだから次は動物園行こうよ!」

「いいアイデアだの。賛成!」

「そっか、確かにいいアイデアだ! また考えておくね」


 楽しそうに会話を交わす健とアルヴィー、まり子。仲睦まじい様子で何よりである。だが、みゆきはそんな三人を見て健から遠いような近いような――そんな微妙な距離感を感じていた。彼女としてはこのまま離れたくはない。故に――いつかは一気に仕掛けなければなるまい。そう、今日健に抱きついたように。


「(いい気になっちゃって。見てなさいよ、まり子ちゃん……あ、あんたなんかに健くんはあげないんだからねっ! 絶対にッ!)」

「ちょ、みゆきちゃん……あんまり熱くなりすぎちゃダメよ」


 心配して気にかける白峯の隣でひとり、みゆきは嫉妬に燃えるのであった。



「ん……?」

「どうした、健?」


 ふと健の懐から音が鳴る。ポケットの中に手を入れて発信源を取り出す。――以前白峯に作ってもらった専用のシェイドサーチャーだ。反応が出ているのは――町の中のようだ。


「なんてこった、シェイドが出た!」

「そうと決まれば共に参ろうぞ!」


 駆け出そうとする健とアルヴィー。だが――寸前で何かを思い出したように止まる。そう、荷物だ。手荷物が邪魔だったのだ。これではいざというとき、サッと動けないではないか。


「しまった! これじゃ身軽に動けない……」

「迂闊だった!」


 ――仕方がない。ここは誰かに荷物を預けよう。手の空いていた白峯へ「すみません、荷物預かってもらえませんか!?」と必死の形相で頼み込む。幸いにもお土産はアルヴィーの分も含めてサブリュックの中に何とか収まっていた。


「もう、仕方ないわねぇ。持っててあげるから、パパッと蹴散らしてちょうだい」

「ありがとうございますっ! 行こう、アルヴィー!!」

「ああ!!」


 白峯は快くそれを承諾してくれた。これで気兼ねなく戦いに挑める――。健とアルヴィーはレーダーの反応を頼りにしながら、全力で疾走した。


「あんな調子で大丈夫かなぁ……」

「大丈夫じゃない? お兄ちゃんもシロちゃんも強いから」

「とりあえず待ちましょ。いまあたしらに出来るのはそれだけよ」

Q:健のお姉ちゃんってどういう人だっけ?

A:割とサバサバしてて明るい人。英会話学んでたりギター弾いてたりと多趣味だよ


Q:イッチーは?

A:いまプールだと思う


Q:アズサは?

A:イッチーとイチャイチャしてると思いますよ


Q:ぬいぐるみ高くないですか?

A:おみやげ屋の商品はそういうもんですって


Q:まり子行かなくてよかったの?

A:正直なところ、彼女は強さとかその他諸々がブッ飛んでいるので行かなくて正解だったと思うんだ。だからどうしたって話ですが

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