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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第8章 太陽とビキニと夏の陣
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EPISODE146:お食事はシーサイドで

「ねぇねぇ、みんな昼からどこ行くぅ〜?」

「うーん、どうしよっかなぁ。海では散々泳いだし……」


 突然襲いかかってきたカニの怪人――カルキノスを撃退したあと、健たちは海の家で昼食をとっていた。もちろんそれだけではなく、今後の予定も考えながら。ちなみに不破は今、近くの診療所で傷の手当てをしてもらっている。とはいえ、それほど深い傷ではなかったので診察はすぐに終わるだろう。


「この島って他に何か、観光スポットってありましたっけ?」


 カレーライスを食べながら、健が白峯へ問う。エビやイカなどの海ならでは具材を使った味がちょっぴり嬉しい。


「結構あるみたいよ。ほら、これ見て」


 白峯がそう言って観光客用のパンフレットを渡す。彼女は焼きそばを食べていた。白峯の右隣では宍戸が「おいしい! おいしーい!」としきりに感激しながらラーメンをすすっている。

 左隣では、健と同じくカレーライスを嬉々とした様子で食べているみゆきの姿。しかも何故か大盛りだ。なぜ大盛りなのだろうか? カレーが好きなのはイエローなのに。彼女は色的にはパープルあるいはバイオレットなのに――。


「ふんふん。水族館にロープウェイ、ハイキングに商店街で食べ歩きかー……」

「どこも楽しそうだの〜」


 この海の家の名物であるイカスミスパゲッティを食べながら、アルヴィー。はじめて食べた味だからかとても美味しそうに食べていた。


「わぁー! ここのカレーおいしいっ♪」

「……あれ? みゆきってそんなにカレー好きだったっけ?」


 みゆきの声を聞いて健がパンフレットを下ろす。自分も同じものをたいそう嬉しそうに味わっておきながら、何故か彼は戸惑っていた。


「健くん、もしかしてカレーが好きなのはイエローだけだって思ってない?」

「いや全然!」


 みゆきから問われたことを即効で否定する健。アルヴィーたちは思わず笑ってしまった。


「な、何がおかしいのさ!?」

「なんでもない、なんでもない。それより早よう食わねばせっかくのメシが冷めてしまうぞ?」

「……そうだった!」


 アルヴィーから指摘を受けてそのことに気付いた健はパンフレットを白峯に返却。カレーを食べることに専念した。割と早く食べ終われてしまうことから、時折カレーは飲み物だと比喩されるがあながち間違ってはいない。現に健は早くも完食してしまった。


「……お、お兄ちゃん? 大丈夫? よく噛んだ?」

「うっぷ……だ、大丈夫だぁ」


 食べかけのフランクフルトを手にしながら、まり子。彼女は普段食事に関して健からたびたび注意を受けていたが――まさか自分が心配する側になってしまうとは思いもしなかっただろう。周りがやや心配そうにしている一方、宍戸は相変わらず――。


「このラーメンおいし〜っ! おかわりしようかなぁ」


 相変わらずラーメンをすすっていた。



 ――食後に昼からどうするかを話し合った結果、白峯の提案により水着から普段着に着替えてから町の中を見て回ることとなった。そのときにお土産を買ってもいいらしい。

 なお、他には水族館に行く案やロープウェイに乗って山へ行く案も上がったがそれらは明日へ持ち越しとなった。



「よし、全員そろったわねー」


 ホテルのロビーにて。着替え終わった健たちを見て、白峯。薄手の白い上着の下には半袖の紫のシャツを着ていた。その下には黒いジーンズ。

 実に動きやすい服装だ。他のものも文字がプリントされたTシャツや袖を捲った薄手の長袖、涼しげなワンピースシャツなど各人思い思いの服装をしていた。


「準備はいいわね。それじゃー、町の中を探検しましょう♪」

「おーっ!」


 白峯の言葉を合図に呼応するように、全員手を上げてから出発。ホテルの外に出て太陽光を浴びると、楽しく快適なウォーキングが幕を開けた。果たしていいお土産は見つかるだろうか。新しい出会いはあるだろうか?



「……あいつら、ずいぶんノンキに過ごしてるよなァ」


 その様子を陰から見ているものがいた。先程ビーチで健たちに襲いかかるも撃退されたカニのシェイド――カルキノスだ。


「でもああ見えて結構手強いんだよなぁ。辰巳さん、いかがいたしましょうか」


 心配そうなカルキノスが後ろを向くと、ウミヘビのような姿をしたもう一体の怪人――辰巳が姿を現した。両肩が蛇の頭になっており、首がいくつもあるその姿はまるでギリシャ神話に登場する無限の再生能力を誇る不死身の毒蛇――ヒュドラを彷彿させる。胴体が水色、右腕が紫で左腕が緑という極彩色の体が何とも毒々しい。


「功を焦るな、バイトくん。何も無理して連中がこの島にいるうちに倒す必要はない。今は待ちたまえ、奴らが本土に帰ってからでもチャンスはいくらでもある」


 辰巳がゴーグルのような目を光らせながら、渋い声でカルキノスに助言を授ける。


「え?」

「へへへ……そうッスよねぇ」


 これはいいことを聞いた――。今は力を蓄えておくか、とカルキノスがほくそ笑む。だが二人はまだ気付いていなかった。たまたま近くにいたちびっこにその光景を目撃されていたことに――。


「……およ?」


 ツンツン、と木の枝で小突かれたような感覚がカルキノスに走る。辰巳に今触ったかどうかを聞くが、辰巳には身に覚えがない。じゃあ誰がと振り返ると――そこにいたのはちびっこ二人。どちらもいたずらが好きそうな男の子だ。


「あ、兜ライダーの怪人みたい!」

「ホントだ〜、こいつらみたいなの出てきたよね」


 どうやら二人は、辰巳とカルキノスを特撮番組の怪人と見間違えているようだ。しかも全然怖がっていない。二人ともベクトルは違えど、結構威圧感のある外見なのだが――。


「(……どうします?)」

「(いや、私に聞かれてもな……)」


 ひっそりと話し合うカルキノスと辰巳。どうやら少し反応に困っているようだが――。


「(とりあえず追い払っておくか)」

「(はい、賛成です)」

「あれ、なんか話し合ってるぞー」

「世界を侵略するための作戦でも立ててるんじゃない?」


 まったく物怖じしないちびっこ二人。だがしかし――。


「ウガーッ! 悪い子はいねえがぁ〜!」

「悪い子は食っちまうぞーーッ!!」


 突然手を上げて唸り出すカルキノスと辰巳。面倒くさくなったので泣く子も黙るなまはげの真似をしてみただけだが――効果は絶大。


「ひえええええ!! ご、ごめんなさーーーーい!!」


 ちびっこ二人は怖くなって逃げ出した。



「やっべー、みんなまだいるかな。早く行かなきゃ怒られちまう」


 その頃、手当てをしてもらった不破は健たちがいるはずの海の家へ大急ぎで向かったが――。


「あれ? みんないないぞ……」


 不破は目を丸くした。そこに健たちはいなかった。既にどこかへ行ってしまったあとだったのだ。


「どこ行っちまったんだよ、おーい……」


Q&Aコーナー


Q:南来栖島に雪は降りますか?

A:一年中夏なので降りません。冬になっても少し涼しくなるだけなのでとても過ごしやすいですよ。


Q:健たちが寄っていた海の家のおすすめメニューは?

A:イカスミスパゲッティがおいしいそうですよ。個人的にはシーフードカレーもおいしいので、一度お召し上がりになってはいかがでしょうか。


Q:イッチーは?

A:そんな人知らん


Q:伊東さんは?

A:伊東四郎さんなら今頃モヤッとボールを…いやなんでもない。

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