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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第7章 近・江・乱・舞
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EPISODE136:よき週末を

 新藤との戦いに備え、健たちはゆっくりと体を休めていた。だが体がなまらないよう適度に訓練も行い、家に引きこもらず外出して気分を入れ替えることもした。


 そして――週末。決戦の舞台である大阪に向かうべく、健たちは電車に乗り込んだ。橋上知事の演説を見たいのか、あるいは彼に対して暴動(デモ)を起こそうとしているのか電車の中は人でごった返していた。窮屈でしかも蒸し暑かったが仕方がない。

 今から戦場へ向かおうというのにこの程度で悲鳴を上げてどうするのだ。そんなことでは人々を守ることなど出来やしない。ここは耐えて――体力を温存しなければ。やがて電車は大阪駅に停まった。人ごみに紛れて健たちは飛び出していく。

 外に出るもまだ準備中であった。とりあえずちょうど良い位置をキープできたので、そこでペットボトルを片手に待つことにする。この暑さと人数である。水分を十分に補給できずに倒れるものも出てくるだろう。


「暑い……」

「暑いのはみんな一緒さ。僕も汗びっしょりだよ……あ、暑いからって脱いだらダメだよまり子ちゃん」

「え? どして?」

「ダメなの! 子供の裸は児童ポルノに引っかかるから!」

「じゃあ、私は脱いでも良いのかの?」


 まり子に注意を促す健。隣にいたアルヴィーに脱いでもいいのか聞いたがもちろんダメだった。公衆の面前で裸を晒すような輩がいるものか。ましてや二人とも女性だ。その辺は注意しなければ――。

 ちなみに三人とも動きやすい服装をしていた。健は半袖の青い薄手の上着に白いシャツと半ズボン。ほぼいつも通りだ。アルヴィーは半袖の赤いワイシャツに黒いミニスカート。ブーツ等はいつも通りだ。まり子は気分転換か薄手のチュニックワンピースとその下にデニムの半ズボンを穿いていた。あの黒いワンピースが定着していただけに少し新鮮であった。


「しっかし、来るのちょっと早かったかなー。いま9時半、始まるのは10時から……」

「なんだ、もうちっとの辛抱ではないか。ところでトイレはすませたかの」


 「駅ですませた」と健は即答。まり子もそれは同じだった。「そうか、ならいいが」とアルヴィーは口を細めた。それからも人ごみの中で暑さにうだっていると――健の携帯に電話がかかってきた。相手は市村だ。


「もしもし!」

「おう、東條はんか! あんた今どの辺や?」

「今橋上さんが演説する辺りにいます。市村さんは?」

「わしあんたと同じとこの方におる。アズサと一緒や」

「あ、アズサ……? だ、誰ですか」

「ん、わしのガールフレンドや。あとで紹介したる。ほな」


 そう言って市村は電話を切った。「アズサさんか……どんな人だろうなー、きっとカワイイに違いない」と健は妄想を浮かべる。この場にみゆきがいたら、恐らくキレるか嫉妬するかしていただろう、ちなみにみゆきは来ていない。危険に巻き込まないよう、健が事前に連絡しておいたからだ。

 「鼻の下が伸びておるぞ」「もう、お兄ちゃんったら相変わらずスケベなんだから」と二人から釘を刺され現実に戻りしばらくすると――。スーツを着た四十代ぐらいの真面目で落ち着いた雰囲気の男が現れ、マイクの前に立った。彼がくだんの橋上鉄郎府知事である。スーッ、と息を大きく吸い込み橋上は心を落ち着かせる。


「――皆様、おはようございます。この猛暑の中わざわざ足を運んでいただけたことを、たいへん嬉しく思っております」


 少し微笑んで橋上が民衆にあいさつする。丁寧かつ明るい雰囲気を漂わせており、安心して信頼を寄せることができそうだ。人相もいいし、とても批判が多い人物とは思えない。あいさつのあとはしばらく世間話や新聞社の批評などが続き、正直言うと健たちは退屈だった。ただ、政治の話に関しては遺憾なことだと思っていた。適当に聞き流しながら備えていると、遠くで喋っている橋上知事の表情がより真剣なものへ変わった。


「……さて、皆様もご存知のように、この大阪に東京から首都機能を移設するという話が出ていますが……私はそれの一環としてあることを思いつきました。ここ大阪と首都・東京とをつなぐ大型ハイウェイを海上に建設しようという事です」

「橋上知事、大型ハイウェイを建設することに何かメリットはありますか?」


 マスコミの若い男性記者がマイクを片手に橋上へ尋ねる。少し微笑んで橋上は「交通がより便利になり、どちらもより発展して豊かになるでしょう」と自信を持って答えた。彼のこの発言に周囲は騒然とする。確かに利便性はあるが仮に立ったらハイウェイ周辺の海の生態系の変化などについてはちゃんと考慮したのだろうか? これには少し、健たちも首を傾げた。やがて橋上へ対する罵声や彼を擁護する声も聞こえ始め、会場内は混沌を極めた。「皆さん、落ち着いてください!」と橋上や警備員が呼びかける中、突然煙幕弾が投げ込まれ――爆発。


「ケホ、ケホ……な、なんだ!? 何が起こったというんだ……」


 動揺を隠しきれない橋上。彼が見つめる先で「邪魔だ! どけどけ!!」と市民や警備員をなじる声が聞こえたかと思えば、鈍器や凶器で殴られ力ずくで退かされていく。


「――あ、あいつらは、『近江の矛』ッ!」

「クッ、やはり来おったか!」


 健とアルヴィーが身構える。自警団『近江の矛』――市民の味方である彼らはこともあろうか、守るべき対象にさえも攻撃を加え乱暴かつ強引に人ごみを掻き分けていく。「ドッカンドッカン投げたれや!!」とメンバーの一人が叫んだのを皮切りに、他のメンバーは次々と手榴弾やダイナマイトを投げ込み橋上と周辺の護衛に攻撃を加える。突然の襲撃を前にして、市民たちは蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑っていた。だがメンバーの中に攻撃を加えていないものが一人だけ居た。祇園藤吾だ。彼は以前新藤の正体を見てしまった。もはや彼に協力する意志は持っておらず、一人だけ市民に「早よ逃げや! ここ危ないで!」と催促を入れてまわっていた。


「このままじゃヤバイ! 行かなきゃ!」


 健が人ごみをかいくぐりながら駆け出す。その後ろにアルヴィーとまり子が続く。手榴弾やダイナマイトを切らしたことにより爆撃は収まるも、リーダーの新藤は既に鉄パイプを引きずって摩擦しながら

橋上に接近していた。


「おい橋上ィ! テメェなに考えてんだ、あ゛ぁッ!? テメェが言うハイウェイ建設が本当に俺たちのためになると思ってるのか、どうなんだ!!」

「うっ、そ、それは……」

「ほら見ろ。所詮政治家なんざ口ばっかりの出来損ないなんだ。そんな奴らが俺たち府民のトップに立って府民の為になるようなことをしようとかほざいてやがるたぁ、臭すぎてヘドが出らぁ!!」


 ガシッ! と新藤が橋上をぶん殴る。そこから続けて殴る蹴るの暴行を加え遂には橋上に血を吐かせた。頭からも血を流しており、もはや死に掛けだ。


「あ、あかん! このままやったら橋上さん死んでまう!」

「くそぅ……あのアホッ! 早よう止めんと!」


 市村と一緒に来ていたアズサがおびえる。一刻も早く新藤を止めなければならないが、かといってアズサを一人にするわけにもいかない。そうしている間に暴徒と化した『近江の矛』のメンバーに殺されてしまうかもしれないからだ。二つにひとつの選択だ。どうすればいい――?


「き、君は……私を殺して何をしようというんだ……ウッ」

「革命だ! てめえをブッ殺して革命を起こす!」

「なっ……!」

「そしててめえみてぇな偽善者からこの大阪を守るんだ! 死んでもらうぜ……橋上ィィィィィイイ!!」


 雄叫びを上げて新藤が鉄パイプを振り上げる。橋上はおびえた目つきで彼を見上げ、市村は手を差し出して止めようとし、藤吾は「も、もうあかん!」と叫びながらあきらめかけ――もはや状況は絶望的だった。だが、そのとき――



 ガンッ! と鉄パイプを弾く音がした。



「ッ!? お、お前は……!」


 あともう少しだったのに! 目を見開き新藤は驚愕。すぐに歯ぎしりして激しい怒りを露わにした。そんな新藤の目の前にいたのは――橋上を守ろうととっさに間に入った健。前方には盾を構え、彼の後ろには腰を抜かした橋上や――腕を組んで新藤を睨むアルヴィーと腰に手をあて険しい目つきをしたまり子がいた。


「危なかった……」

「あ、ありがとう……君は?」

「市役所勤めのアルバイトです」


 礼を言う橋上に対して、凛とした目つきで爽やかに健が微笑む。恐怖にひきつっていた橋上は落ち着きを取り戻し安堵の表情を浮かべた。市村やアズサ、藤吾――彼らだけではなく他の人々も安堵の息をついていた。


「そ、そうでしたか……」

「速く逃げて!」


 橋上を逃すと、健は険しい表情で新藤と向き合う。新藤は邪魔をされたことに対する激しい怒りと健への憎悪が混じった複雑な表情を浮かべていた。


「このクソガキ……よくも俺の邪魔を!」


 健と睨みあい彼をなじると鉄パイプを振りかざして健へ襲いかかる。健は新藤の攻撃を盾で弾きあるいはかわしつつ、攻撃を入れていく。その最中、卑怯にも新藤は足元に鉄パイプを叩きつけ健を転倒させた。


「うっ……お前、卑怯だぞ!」

「ヘッ! 勝てればいいんだよ勝てればよォ!」

「がっ!」

「橋上の代わりに死んでもらおうか! どりゃあああああああ!!」


 転倒したのをいいことに新藤は健を蹴り飛ばし、踏みつけたりしては蹂躙する。もはやこれまでか――? だがそうはさせまいと市村が銃からビームを撃ち出し新藤を遠ざけ、飛び込んで間に割って入る。


「い、市村さん!」

「おい、クソッタレ! わしのライバルを殺そうとはええ度胸しとるやないかい!」

「ヘッ! 俺を誰だと思ってる! 『近江の矛』のリーダーだぞ! お前らみたいなクズなんかとは格が違うんだ」

「はいはい、そうでっか!」


 銃で新藤を殴りよろめいた隙に市村は足払いをかけ新藤を転ばせる。そして銃口を向け睨みつけると、


「わしは『浪速の銃狂い』の方が強いと思うけどなぁ!!」


 声高々に叫んだ。その声は威風堂々としており、『浪速の銃狂い』と呼ばれるほどの圧倒的な実力と自信、そして義理堅さと男気を感じさせる。新藤のような暴力だけが取り得の小悪党とは、何もスケールが違った。


「な、なに!? ってことはお前は……」

「気付くの遅いわ……新藤はんよォ!」


 得物である大型の銃で殴り、新藤を吹き飛ばす。足の痛みが治まったか健は立ち上がり「ありがとうございます」と礼を告げた。彼に対して「勘違いすんなや。ライバルに死なれるのがイヤやっただけやさかい」と照れながら答えた。


「きゃー、イッチー! かっこいいー!」

「え、いやあそれほどでも」


 そんな彼をアズサが大喜びで称える。向こうにいる金髪の若い女性――逢坂アズサを見て、やはり市村さんにも大切な人がいたんだな、と健は思った。「あの人がアズサさん……きれいでかわいいなあ」と呟きながら。



「ち、ちきしょう……ナメやがって」


 低く唸りながら新藤が立ち上がる。ハッと我に帰って振り向き身構える健と市村めがけて鉄パイプを叩きつけようとするがその時――急に新藤の動きが止まった。

 「か、体が動かねえ。どうなってんだ」とうめく新藤だが、彼には原因が分からなかった。そんな彼を嘲笑うように「どうしてそうなったか知りたい?」とまり子が声をかけた。彼女の目は紫色に光っている。


「あなた、念動力(サイコキネシス)っていうの知ってる? あれね、物体を動かすだけじゃなくてこういう金縛りにも使えるの」

「!? そ、そうか、お前は……」

「フフッ! そうよ、どこかで見たことあるでしょ?」


 いつもの明るい表情とはまた違う、冷酷で(なまめ)かしい微笑。彼女が言うように、以前新藤とまり子はヴァニティ・フェアの本部で顔を合わせていた。そのときにもまり子は念動力で自分をつまみ出そうとした新藤に痛い目を見せていた、というわけである。まり子を見た市村は「か、金縛りか……わしもこの前やられたっけな」と以前の廃倉庫での一件を回想していた。


「今よシロちゃん!」


 まり子が叫ぶ。言われずともシロちゃんことアルヴィーがダッシュしながら駆け寄り――以前戦ったときのように新藤にドロップキックをかまして吹っ飛ばした。華麗な見た目で豪快に技を決めてアルヴィーは着地。一方新藤は、血しぶきを上げながら地面へ無様に叩きつけられた。その血の色は紫色で、それを見た人々は「む、紫の血!?」「なんか変、どないなってるん……?」「まさかあの人は……!」と騒ぎ始める。いつの間にか攻撃をやめた新藤の部下たちも、だ。


「――みんな、騙されるな! こやつは、新藤はシェイドだ! 人に化けてお主らを騙して、世相に対する不信感を煽った。そして大阪を侵略しようとしていたんだ!」


 アルヴィーが叫びながら呼びかける。周囲は橋上が大阪の発展について述べたときと同じくらい騒然とし、新藤へ「これはどういうことやねん!」「ホンマのこと教えてください!」と怒りや疑問をありったけぶつけた。


「ヘ、ヘヘ、ウヘヘヘヘ……ウヒャーッハハハハハハハハハ!!」


 すると新藤は起き上がるなり狂気じみた高笑いを上げ――少し気合を入れて市民の目の前でイカのような怪人の姿に変貌した。


「ば、バケモノ……!」

「バレちゃあ仕方ねえなぁ! そうさ、俺ァのっけからお前らを騙していたのさ! この大阪を丸ごといただく為になぁ!!」


 後ずさりする市民たち。湿った足音を立てながら、新藤――いや、バイキングラーケンは市民に接近する。大きな目を光らせ鋭い歯牙をむき出しにしながら接近するその姿はきわめて不気味だった。市民の男性の首をつかむと地面に叩きつけ、血が出るほど強く顔を踏みつけた。


「侵略はあとまわしだ! 今からこの大阪を血の海にしてやる! 貴様らクズどもを皆殺しにしてなァ!! ゲーソッソッソッソ!!」


 荒々しく下品に雄叫びを上げ、バイキングラーケンは次に口笛を吹く。すると、地面の隙間から目と鼻がないゾンビのような最下級のシェイド・クリーパーの群れが現れて――次々と人々に襲い掛かった。このまま新藤を放っておいてはまずい。

 だが、人々を見捨てるわけには行かない。どちらにしても今は――敵に立ち向かわねば! 健たちは人々を襲うクリーパーの群れに立ち向かい、斬ったり撃ったりして蹴散らしていく。気付けばもう、クリーパーはいなくなっていた。新藤は唸り、不快感を露わにする。


「全員片付いた。あとはお前だけだ、新藤!」

「くそ、役立たずが! だがもういっちょ!」


 まだ余裕があるのか新藤は再び口笛を吹き、クリーパーを呼び寄せる。今度は大群だ。更にトンボ型のシェイドやキツツキ型のシェイドまで現れ、地上も空中も包囲されていた。流石の健たちも対処し切れそうにない。


「ゲーソッソッソッ! これだけいれば流石のお前らも手が付けられまい!」

「ま、待て!」

「こいつ! 逃がさへんぞ!」


 後ずさりして逃げようとするバイキングラーケン。健と市村はバイキングラーケンを追いかけようとするも、「俺は逃げるぜ! そいつらと遊んでな!」と口から墨爆弾を吐いて目くらましをしかけ逃走してしまう。


「逃げられてもうた……」

「ど、どうするんイッチー……シェイドがいっぱいや!」

「それはわかっとる。一掃したいんやけど……うーん」


 市村の腕をつかむアズサ。市村に迷いが生じた。ここで契約しているシェイド――ブルークラスターを呼び出して一斉に砲火すれば敵を一掃することは造作もない。だが、周りには一般市民がいるし巻き込んでしまう可能性が高い。だがやらなければやられる、どうすれば――。


「……あ、あの、市村さん。この前みたいに一斉砲火すれば……」

「それ考えたけどあかんわ! みんな巻き込んでまう!」

「た、確かに……じゃあどうすれば」

「それが思いついたら苦労せえへんがな、東條はん!」


 健も市村も苦い顔を浮かべる。もはや万策尽きたか――と、その時。空中にいたシェイドの群れを何者かが薙ぎ払いぶった切った。その者は若い男性で髪は緑がかった黒い短髪で、袖をまくったデニムのジャケットを着て下には白ズボンを穿いていた。その両手に握っていたのは――自身の身の丈をゆうに超えるほどの長さを誇る『剛剣』。


「なんや、どえらいことになっとんなぁ」

「お、お前は……伊東!」

「ひっさしぶりやな~市村はん! それにアズサちゃんも!」

「この前の用心棒さん!? ご、ご無沙汰してますー」


 この男――伊東英機。以前、旧市街(ゴーストタウン)で新藤の用心棒として不破と市村の前に立ちはだかったエスパーだ。変幻自在に形を変える金属・トランスメタルを武器として襲いかかって来た伊東と激戦を繰り広げた末、市村達は彼に勝利してアズサを奪還したのだ。元々敵同士であったためか、市村は少し警戒していた。


「……市村さん、この人は……」

「話と自己紹介はあとや、あと! あんたらは新藤を追うんや。行くなら早よした方がええ」


 伊東が健の言葉を遮って健たちに呼びかける。


「せやけどアズサを一人にはでけへん……」

「安心せい、アズサちゃんやったら俺が守ったる」

「え?」


 伊東のその言葉に市村がきょとんとした表情を浮かべる。そもそもこんな狂犬のような目つきをした男に預けてしまっていいのだろうか?


「……ま、ええわ。アズサのことはお前に預ける。その代わり……ヘンなマネしよったら、ただでは済まさんで」

「任しとき!」


 伊東が笑顔で親指を上に突き立てる。これでもう大丈夫だ、新藤を安心して追うことができる。と思った矢先、伊東は――。


「しっかしアズサちゃん、相変わらずべっぴんやなぁ」

「え? あ、ありがとうございます」

「それにしてもあんた、ええチチしとるやないの! いっぺんもませて……」


 指をいやらしく動かしながら伊東はアズサに急接近。アズサの豊かな胸を揉みしだいてやろうとしているのだ。アズサは当然嫌がり、彼女を助けるべく市村がとっさに「なに晒しとんねんこのボケが! やめろや!!」と叫びながら割って入り伊東のおでこにチョップをかました。

 伊東は頭を抱え「痛いやないかぁ~~!」と情けないうめき声を上げて後退していく。これには思わず、健たちも笑ってしまった。まり子にいたっては腹を抱えてケラケラ笑っていた。


「ま、そーいうことや。早よ行き! わいもなるだけ頑張るさけぇ」

「ありがとうございます、伊東さん! それじゃ、あとはお願いします!」


 伊東にアズサを預けてひとまず礼を告げ、健たちは走って新藤を追う。彼らが去った事を確認すると、伊東は両手に剛剣を持ってニッと笑った。


「さて……と。わいも一仕事せんとな!」

「伊東さん……がんばって!」

「おうッ!」

Q&Aコーナー、はっじまーるよー


Q:藤吾は新藤がシェイド読んでから何やってたの?

A:市民の皆様に避難勧告を出しつつ、シェイドの群れと戦っていました。


Q:不破さんまだ入院中なの?

A:はい。それだけ新藤にやられた傷は大きかったのです。


Q:橋上知事は?

A:あのままとんずらしました

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