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同居人はドラゴンねえちゃん  作者: SAI-X
第1章:バイト君と白龍
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EPISODE8:知りたい男

 せっかくだからと記念に三人で買い物に行った翌日。みゆきを家族のもとへ送り届け、怪我もすっかり回復。健はいつものようにバイト先でコツコツ働いていた。

 仕事の合間の休憩時間でお茶を飲んだり、ケータイをカチャカチャと触ったり、パソコンでネットサーフィンをしたりしながら。


「めぼしい情報(ニュース)はあまりないね〜……うん?」


 それは昼休みの出来事だった。ある人物の名前が、健の目に留まったのだ。


大久保俊樹(おおくぼ としき)


 ――彼の名は、ニュースや新聞などで聞いたことはある。しかし詳細を知っているわけではない。この大久保のことが気になった健は、職場の先輩たちに聞いて回ることにした。


「大学教授の大久保さんって学会でも有名な人らしいですけど、どんなことを研究していらっしゃるんですか?」

「うーんと……何だったかなあ。確か、生物学だったと思いますよ」


 みはるからは、生物学の研究をしているということを。


「大久保教授ってなんで生物学をやってるんでしょうか?」

「それは本人に聞かなきゃ、わからないと思うなー。ごめんね、あたしもあの人のことはあまり知らないんだ」


 なぜ生物の研究をしているのかちあきに聞くも、情報は得られず。


「えーとネ……実はミーもあまりプロフェッサー大久保には詳しくないんだヨ。ユーの力になれず、アイムソーリー……」


 更にケニー係長も名前くらいしか知らないという。

 そもそも、突然こんなことを聞いても答えてもらえるわけがなかったのだ。自分が悪かった、ここは潔くあきらめよう。


「どうしたのかな〜」

「あの、大久保敏樹っていう学者さんについて知りたくなっちゃって。それで皆さんに聞いて回ってたんですが情報がまったく得られなくて」

「そうだったんですねぇ~」


 そうあきらめかけた時だ。ジェシーが優しく声をかけてきた。事情をまるまる説明すると、ジェシーは困った様子など見せず、むしろ喜んで健にこう教えた。


「確か大杉副事務長、前にその大久保教授にあったことがあるって言ってたわね~」

「……あっ、ありがとうございます!」

「いえいえ。困ったことがあれば何でも聞いてくださいね」



■■■■



「はっはっは。なーんだ、そんなことだったのかね。いやあ、聞きたいことがあるというから悩みの相談かと思ったんだが、そんなに大それたものでなくてよかったよ」


 退勤する前に、大杉に大久保教授の事を尋ねた健。すると大杉副所長は陽気に、豪快に笑いながら大久保との間に出来た思い出を話してくれた。


「確か前に京大で講演してたっけねぇ。たまたまその帰りにばったり会っちまってね。まさか生物学の権威に会えるなんて思ってもみなかった。別に興味があったわけじゃないんだがねぇ」

「ふんふん、それでどんなことを言ってましたか?」


 感慨深そうに大杉が語る。彼をもじもじと見つめながら話を聞いていた健の姿はまるで父親から昔話を聞いている子供のようである。


「講演の時も話しとったが――技術が進歩すればいずれ死んだ人間を生き返らせることも可能だ、と胸を張って言ってたね」

「死んだ人を生き返らせる……?」


 そんなことが出来るのか? ゲームや漫画じゃあるまいし――と、大杉が聞いたという大久保教授の理論を聞いて健が疑問を抱く。確かにそんな事は不可能だ。できたとしたらそれは神様仏様ぐらいである。


「本当にそんなこと出来るんでしょうか?」

「さあね、わからん。ただね、わしはそういうのはちょっと肯定できないな」

「どうしてですか?」

「人は死んだらそれっきり。どんなに生きてたっていずれは死んじまうもんだ。だからこそ今を精一杯生きることに意味があるんだと、わしはそう考えとるよ」


 この男、大杉逸郎(おおすぎ いつろう)。人当たりがよい彼は、部下たちからも頼りにされているよきチーフだ。面白いもの好きな一面もあり、とにかく話していて楽しいおっさんである。

なんか、先輩3人娘の中でジェシーさんが一番目立ってる気がします^^;

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