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事故を起こさないダンジョン配信者は、なぜか世界の異常が見えてしまう   作者: 相馬カイ


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26/27

第26話 歪みは、増えている

 異常報告は、もう「点」ではなかった。


【全国ダンジョン異常速報】

・関東北部:微小歪み観測

・中部地方:境界反応増加

・九州沿岸:構造不安定警戒


「……多いですね」


 天城恒一は、並んだモニターを見渡した。


「ええ」


 黒岩の声も、いつもより硬い。


「ここ一週間で、

 確認件数は約二倍です」


「……全部、

 俺が見られる数じゃない」


 ぽつりと漏れた言葉は、

 弱音というより事実だった。


 その日の配信は、

 珍しく“現場なし”だった。


【特別配信:天城恒一(状況共有)】

 視聴者数:68,903


「今日は、

 ダンジョンには入りません」


【コメント】

・最近多すぎ

・全国マップ怖い

・同時多発じゃん


「……正直に言います」


 恒一は、画面を指した。


「異常が、

 増えています」


【コメント】

・やっぱり

・偶然じゃない

・繋がってる?


「……俺も、

 同じこと考えてます」


 地図上の赤点。

 離れているはずなのに、

 妙に規則的だ。


「これ」


 恒一は、少し迷ってから言った。


「“別々に起きてる”

 感じがしないんです」


【コメント】

・同時進行

・同期してる?

・ネットワーク説


「……ネットワーク」


 その言葉に、

 背筋が少し冷えた。


 黒岩が、補足する。


「公式でも、

 “単体ダンジョン仮説”は

 見直されています」


「……やっぱり」


「はい」


 黒岩は、資料を表示した。


「歪み発生のタイミングが、

 不自然に近い」


 恒一は、画面を見つめる。


「……俺」


 ゆっくりと、言葉を選ぶ。


「最近、

 “感じ方”が変わってきました」


【コメント】

・感じ方?

・どう変わった

・嫌な予感


「前は、

 “ここは危ない”

 って点で分かってた」


「でも今は」


 一拍置く。


「……“どこかが揺れると、

 他も引っ張られる”

 感じがする」


 コメント欄が、静まった。


【コメント】

・連動

・波及

・世界ごと歪んでる?


「……あくまで、

 感覚です」


 恒一は、すぐに付け足す。


「証拠はありません」


「ですが」


 黒岩が、低く言った。


「その感覚は、

 他の観測データと

 一致しています」


「……」


「歪みは、

 局所的な事故ではない」


 その言葉が、

 じわりと重く広がる。


 配信終了後。


 会議室には、

 重い沈黙が残った。


「……黒岩さん」


「はい」


「これ、

 俺一人で

 見ていい量じゃないですよね」


「ええ」


 即答だった。


「もう、

 限界に近い」


 恒一は、苦く笑った。


「……ですよね」


 だが、逃げたいとは思わなかった。

 怖い。

 重い。

 それでも。


「……次は」


 小さく、しかしはっきり言う。


「俺だけで

 見るの、

 やめませんか」


 黒岩は、少しだけ目を見開いた。


「それは……」


「分かってます」


 恒一は続ける。


「完全には、

 分からない」


「俺の代わりには、

 ならない」


「でも」


 一拍置く。


「……補助には、

 なるはずです」


 黒岩は、しばらく考えてから頷いた。


「……正式に、

 提案しましょう」


「ありがとうございます」


 その言葉を言った瞬間。


 恒一は、

 胸の奥で何かが

 少しだけ軽くなった気がした。


 だが同時に、

 はっきりと理解していた。


 歪みは、増えている。


 そしてこれは、

 “始まり”に過ぎない。


【次回予告】

『選ばれたわけじゃない』


 それでも、

 ここに立っている理由を、

 言葉にしなければならない時が来る。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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これからもどうぞよろしくお願いします!

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