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事故を起こさないダンジョン配信者は、なぜか世界の異常が見えてしまう   作者: 相馬カイ


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19/28

第19話 公式が、真似を始める

 異変は、配信の外から始まった。


【ダンジョン庁公式発表】

『天城恒一の検証手法を参考に、

 一部ダンジョンにて境界観測テストを実施する』


「……真似、されてますよね」


 スマホを見ながら、天城恒一はぽつりと呟いた。


「はい」


 黒岩は即答した。


「正式に、“天城式観測手法”として

 内部共有されています」


「名前つけないでください!」


「便宜上です」


「便宜が重すぎます!」


 その日の配信は、やや毛色が違っていた。


【探索配信:天城恒一(公式検証連動)】

 視聴者数:74,992


【コメント】

・公式テスト並走回?

・他の探索者も同じことやるって

・再現できるのか?


「今日はですね」


 恒一はカメラに向かって説明する。


「俺は通常通り探索します。

 同時に、別地点で――」


 画面の隅に、分割映像が表示された。


 別ダンジョン。

 別の探索者。

 同じ“境界観測”。


【コメント】

・同時中継

・公式ガチ

・比較地獄


 映像の中の探索者は、慎重に境界へ近づく。

 距離、角度、速度――すべてマニュアル通り。


「……異常、ありません」


 通信越しの声。


【コメント】

・出ない

・再現しない

・あれ?


 場所を変える。

 別の境界。


「……こちらも異常なし」


「……こっちも」


 次々と“何も起きない”報告が上がる。


 恒一は、思わず画面を見つめた。


「……俺がやらなくても、

 起きるわけじゃないんですね」


【コメント】

・それ

・本人トリガー確定

・代替不可


 黒岩が、静かに言った。


「天城さん」


「はい」


「公式内でも、

 同じ結論に達しています」


「……やっぱり」


「“手法”ではなく、

 “存在”が要因です」


 恒一は、言葉を失った。


 そのときだった。


「……あ」


 自分の足元。

 見覚えのある違和感。


【コメント】

・きた

・でも踏むな

・距離保て


 恒一は、すぐに立ち止まる。


「……境界、

 重なって見えます」


 黒岩が即座に確認する。


「……ログ反応あり。

 他地点には、反応なし」


【コメント】

・本人だけ

・比較えぐい

・これもう証明だろ


 恒一は、ゆっくり後退した。


 歪みは、消える。


「……消失確認」


 黒岩が言った。


 分割映像の探索者たちは、沈黙していた。


『……同じ手順なのに』

『こちらでは、何も……』


 その声に、責める色はなかった。

 だが、重みがあった。


「……すみません」


 恒一は、思わず言ってしまった。


「俺が、

 特別なわけじゃないんです」


【コメント】

・謙虚

・でも特別

・自覚しろ


 黒岩が、はっきり言う。


「天城さん」


「はい」


「あなたが特別かどうかは、

 問題ではありません」


「……?」


「事実として」


 一拍置く。


「**あなたがいないと、

 この現象は観測できない**」


 その言葉は、

 称賛ではなく、宣告に近かった。


 配信終了。


 控室で、恒一は深く椅子に沈み込んだ。


「……真似されたら、

 楽になると思ってました」


「でしょうね」


 黒岩は頷く。


「ですが、

 楽にはなりませんでした」


「……俺、

 逃げ道なくなってません?」


 黒岩は、少しだけ考えてから答えた。


「“代替”は、

 ほぼ不可能です」


「……」


「ですが」


 黒岩は続ける。


「あなたが

 **必ず現場に行く必要はありません**」


「え?」


「次は、

 “遠隔検証”の段階です」


 その言葉に、恒一は顔を上げた。


「……行かなくていいんですか」


「ええ」


 黒岩は、はっきり言った。


「あなたの判断は、

 もう“現場限定”ではありません」


 次回予告欄に、

 新しい文字が表示される。


【次回予告】

『検証枠、確立』


 世界は理解した。


 だが同時に――

 **代わりがいないことも、理解してしまった。**


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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