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森の迷路 〜エリアボス、キラープラント〜

左右を密集した木が壁のように囲って通路のようだ。日の光は木々に遮られてほとんど入ってこない。僅かばかりの木漏れ日だけが頼りな迷路。そんな場所の入り口についた。


私はバイクを降りて辺津鏡にしまった。

ここを抜ければ、エリアボスで次の階層に行けるのだろうか?


私「疑似太陽はもうてっぺんを超えてて暗くなりかけてるけど?どうする?」


ホルド「明日、挑もうぜ。どれだけ続いてるか分からねーし。」


アニヤ「近くで、野営しましょう。」


グオ


私の体がアニヤに乗っ取られる。


アニヤ「……はぁー。どれどれ……?」


アニヤは近くの木々を選別するかのように見比べ始めた。


アニヤ「そうね、この木にしましょうか。」


私『お?』


ヒョイ、ヒョイ


私の体が慣れた手つきで木に登っていく。

木登りなんて、多分したことなんてないであろう私の体はまるで今はゴリラのようだ。


アニヤ「ゴリラとか失礼しちゃう!エルフなんですけど?」


四つ足のケモノ系モンスターに寝込みを襲われないよう、

上空から大型の鳥系モンスターに襲撃されないよう、

木の中ほど、葉に覆われた所、太い枝の根元あたりで、葉や枝を敷き詰めて寝床にする。


森の住人ならではの知恵だ。その手際の良さに感服する、お嫁さんにしたい。


私「ホルドのはキャットフードね。」


ザラッ


葉の床にお皿を置いて辺津鏡から取り出した猫餌キャットフードをもる。


ホルド「また、カリカリかよ。ちゅーるねーの?」


私「おやつので最後って言ったじゃない?ガマンしてよ、かつお節かけてあげるから。」


ホルドの味覚は猫のそれになっている。


ホルド「ニキータの店で仕入れないと。やつのことだこちらの状態は把握してるだろうし、たんまり仕入れてる、はず。」(ニャンニャンニャ)


でもまぁ、森に来てほとんど金作なんてしていない。ダンジョンを徘徊してるモンスターが外で流通してる通貨なんて持ってるわけないし。


枝葉の隙間から見える遠くの山を見る。


私「鉱山とかあるかしら?」


アニヤ「えー、鉄臭くない?」


ホルド「金作はここを抜けてからにしよーぜ?ダリーよ。」


エルフは極端に嫌がっている。洞窟ダンジョンはそうでもなかったが、

神代ダンジョンで機械モンスターとやり合ってる時とかすごく嫌な顔をしていた。


木属性のエルフは金属性が苦手だ。


私『陰陽五行ってやつかしら?エルフもドワーフも弱点属性のところには行きたがらない。極度に敏感なのだ。』


辺津鏡からシリアルバーを何本か取り出して食べる。もう残量はほぼないはず。寄り道してる余裕はなさそうだ。岩塩もない、干し肉なんで作りようがない。


とりあえず、今日は寝よう。葉の裏で歯を磨く。天然のミントか?


私「うえ、にが。エルフはみんなこうなの?」


アニヤ「そんなわけないでしょ?サバイバルスキルよ。葉のエキスに殺菌作用があるけど、飲んじゃだめよ?」


やば、ちょっと飲んだ。


私「う、飲んだらどうなるの?」


アニヤ「幻覚を見るわ。」(サラッ)


ぐわーん


私は歯を磨き終えると、倒れるように眠ってしまった。




おや?テーブル席に座らされている。夢か?

目の前に座る2人の女性は私の顔をのぞき込んで何やら話している。


一人は辺津鏡の管理人のマフ様。


もう一人は、

マカル返しの玉の管理人ターマさんだ。


どちらも縫い目のない、神代の服をまとっている。魔女っぽい。


戦略魔法の管理人達が私の夢に?


マフ「まぁ、確かにあのバカに似てなくもないわね。」


似てる?誰に?


ターマ「私の旦那様ですよ?バカはよしてくださいよ。」


マフ「アナタも苦労してたじゃない。」


ターマ「う、確かに……もう、いいです!」


ぼやける視界と意識の中、眉間を指で押さえ揉む。


私「……葉の幻覚かな?」


マフ「あー、それでここに来たのね。」


ターマ「突然、現れたんですよ?アナタ。」


そうなんだ?ここは夢じゃない?あの世か?

変なところにトリップしたみたいだ。2人はコップで何かを飲んでいる。色からして紅茶か?


スンスン


匂いは……ない。


マフ「でも、寝てるようだったから。アナタの品評してたの。マオに似てるねって。」


魔王?似てるのか?それは人間史の始まりより存在してたらしい。詳しくは記憶が欠落しているが。

まぁ、魔王と呼ばれるだけあって人に良からぬ存在だったのだろう。


私『…………マーシェルとか言うのもそうだし。』


ターマ「あんなのと一緒にしないでください。」


マフ「そうよ、あんなのただの夢想家テロリストじゃない。」


ターマ「あら?」


視界がよどむ。


マフ「そろそろ帰るの?」


ターマ「またいらして?待ってるから。」




パチリ


目を覚ますとまだ夜中だ。変な夢。


私『また行けるように葉を辺津鏡に入れておこう。』


プチプチ


自分とは、アヌとは何なのか?いろんな疑問が浮かんできて寝れそうにないので、私はヘルメーカーの掃除メンテナンスをして過ごした。





ホルド「さ、今日こそ。」


アニヤ「迷路探索ね。」


私「左手の法則だっけ?」(ふわ~っ)


当てずっぽうで進んだら多分、アニヤに怒られちゃう。けど魔力はエリアボスまで温存したい。


私「嫌だろうけど、先行お願いね?ホルド。」


ホルド「おう!まかせとけ!」


あれ?なんか思ってた返事と違う。

最初は嫌がってなかったかな?そういえば、復活したあともこんな感じだったような?彼の中で何か変化したのかもしれない。


恋か?


薄暗い、迷路の中に入っていく、オークやスケルトンと違ってケモノ系モンスターは鼻は利くし、不可視インビジブルも見抜いてくるから接敵しないようにしなければ。


私『いたら、迂回できるならそうしよう。』


アニヤ「ちょっと待って、マッピングスキル発動するから。音波探知ソナー!」


コーン!


周囲にエルフにしか聞こえない音が反響する。


アニヤ「よし!いいわ。木の壁だから音が良く透過して広範囲をマッピングできた。そこを右ね。」


おっと、ゴブリンアーチャーだ。

ゴブリン系は不可視で横を通ればいい。奴らはオークとそれほど変わらないIQだし五感も人に近いからチョロい。


急に、曲がり角でホルドが立ち止まる。


ホルド『あ!リザードマンだ!』(ヒソヒソ)


リザードマンは知能は低いが嗅覚と視覚が鋭い。近接特化型のエネミーだ。


ホルド『厄介だな。』


アニヤ『不可視も見破ってくるわよ。』


私『アニヤ、ヘルメーカーにも消音移動スニーキングやってみて?』


アニヤ『いけるかしら?不可視インビジブル消音移動スニーキング!』


ビュゥゥゥゥ……ン


私は曲がり角からヘルメーカーだけを出した。


プシュッ!


ビシッ


私『やった!』


アニヤ『行けた!』


ボッシュゥゥゥ!


リザードマンは声も上げることなく首から上が破裂してなくなった。


私「ふぅ、新しいスキルは静音サイレンサーとでも呼びましょうか。」


ホルド「でかい音鳴るしなぁ、銃は。失敗してたら敵が集まってきてたぞ?」


アニヤ「創意工夫って大事だわ。」




その後は、

より、消費MPの少ないインビジブル、スニーキングを多用しつつ、避けられそうにないケモノやリザードマンは静音状態のヘルメーカーで排除していった。


アニヤ「ホント、暗殺拳だわ。」


ホルド「気づいたら、死んでいる、だもんな。」


私「ここまでで半分以上MP残せたのはでかいわ。」


アニヤ「マップ的にソロソロ抜けれるかしらね?」


アニヤの便利スキルの脳内マッピングは終わりの角と先に広がる広い空間を認識しているらしい。


ホルド「いいね。猫のデバフも意外と役に立つな。」


猫のヒゲによる早期警戒で先制攻撃とれるのはでかい。ヘルメーカーで一撃すれば、反撃は皆無だ。


エリアボスまであと少し。

まだ木漏れ日は少なからず差し込んでて進む先を照らしている。私たちは余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)で出口を探して進んだ。




エリアボスの間


ホルド「ついた!」


アニヤ「ようやく迷路を抜けたわ!」


私「けど、ここ何もいなくない?」


直ぐに戦闘に入るかもと身構えていた私は拍子抜けだったが、ホルドのヒゲがピクリと動く。


ホルド「上だ!」


その声と同時に食人植物キラープラントが天井から降ってきた。


アニヤ「4体?!」


私「うわ!後ろ取られないようにしないと!」


ドゥン!


挨拶がてらに一発。


バキッ!


大きな音とともにモンスターの体を構成する枝が弾け飛ぶが、


ホルド「わー!すぐに回復しやがるぞ!」


床に乾いた木片が散らばる。


ワラワラ


キラープラント「ギッ……ギッ!」


キラープラントのつるをムチのように使った攻撃。


ビシィ!

バシィン!


私「ひぇ!」


アニヤ「掴まれないよう回避して!」


ドゥン!ドゥン!


床に乾いた木片が散らばる。


ホルド「無駄なんじゃねぇ?!」


私「牽制よ!」


私たちはキラープラントの群れから距離を取りつつ戦った。奴らは歩くスピードが遅く、散開することもなく、こちらを追いかけてくるだけだ。脳がないから単純な動作しかできないのだろう。


それを無限回復と数で補っているのだ。


しかし、こちらのMP残量が心もとないのも事実。


このままではやられてしまう。キラープラント触手プレイとかゴメンだ。


アニヤ「そうだ!リナ!火炎瓶買ってたわよね!?」


ここに来て、ニキータの店で買い占めていた火炎瓶の存在を思い出す。

私は早速、辺津鏡インベントリから火炎瓶を1本取り出した。


あ、火種、火種……火種がない!


ホルド「バッカ!ヘルメーカーを使ってみろ!」


カチン!

ボッ!


ヘルメーカーの撃鉄の火花で布に火を付ける。


私「投擲とうてき!」


ガッシャァ!


瓶がキラープラントのつるのムチで空中で砕かれ、かえって火がやつらを包んだ!


落ちてた床の木にも燃え広がり部屋は火の海と化す!


私「ラッキー!燃えろ、燃えろ!」


ゴォォォー!


キラープラント「ムィ゙ギー!」


木属性のエネミーには火属性が有効。

しかし、


ワラワラ(メラメラ)


ホルド「うわ!まだ追ってきやがるぞ!?」


キラープラントは火炎状態でも向かってくる。


私「この野郎!」


ドゥン!ドゥン!


バキッ!バッキョォ!


キラープラントの体を構成する枝は燃えているせいか再生できない。


アニヤ「今よ!たたみかけて!」


おっし!


私はヘルメーカーを腰に固め持つと撃鉄を素早く手で弾いて連射した!


ズドドドドドドド!


火の海に半壊したキラープラント達の影が沈んで動かなくなる。


私「やった!」


アニヤ「見て!先に通じる階段が出てきた!」


アニヤの指さす方をむくと、部屋の壁を構成していた木々が左右に広がり、そこに登りの階段が出てきた。


ゴォォォォオォォ……!


燃え盛る炎は迷路の方にも燃え広がっている。戻れそうにはない。


ホルド「行こうぜ!」




私達は次の階層を目指した。


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