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猫化の呪い

カチン!

カチン!


ホルド「リナ!もっと腰を落とせ!腕だけじゃ、すぐへばるし、ツルハシが深く入らないぞ!」


仕立て屋の魔女クチーテァに言われて魔石を掘りにハゲ山に来た。その中腹にある大岩の亀裂にツルハシを振るう。


もう、何時間になる?ダンジョンの天井の疑似太陽はてっぺんを過ぎている。


袋いっぱいに取ってくるよう言われたが、朝早くに出て昼前に到着してお昼もそこそこに掘り続けて、まだ、1/3ほどしか取れてない。


もうおやつの時間では?そんな気がする。私の腹時計は正確なのだ。


リナ「そんな事言われても!」(ぜーぜー)


アニヤ「大丈夫?代わろうか?」


変わっても私の体でしょーに。

あー、でも、アニヤに任せたら深く掘るコツとか疲れない体の使い方とか知ってるのかも。

試しにお願いしてみる。


(アニヤ「そーれ!」


カチン!


あ、一緒だわ。肩で息をする私は傍らで座ってみている猫に向いた。


私「こういうのはホルドの仕事でしょー?(多分。)」


ホルド「んなこと言われてもなぁ。俺、今、猫だし。」


カチン!


アニヤ「フゥ。あの魔女が解呪してくれないかしら?」


そうか。追加料金払えばいけるかも。もうこのくらいにして帰ろ。

私は辺津鏡からシリアルバーと取り出して、袋を開けてほおばった。


私「今日は帰ってホルドの事を相談しましょう。」(モグモグ)


アニヤ「そうね、女性が1日でやれる量じゃないし。」


ホルド「もしかして俺、もとに戻れるのかな?」




クチーテァの店


外はすでに暗く、虫が鳴いている。店からはいい匂いとしろい煙が出ていた。

猫のヒゲと死霊のスニーキングスキルのおかげで接敵せずここまで来た。


私が魔王のところまでぬのの服で来れたのは自分の辺津鏡のおかげ、というわけでもないのかもしれない。


私「今日はハヤシライスね!」(ジュルリ)


ホルド「帰宅したお父さんかな?」


アニヤ「リナの分あるかしら?」


アニヤとは私の味覚を通して一緒に味わえる。五感を共有してるから一体感がすごい、めちゃくちゃ親近感が湧く。


カランカラン


昔から彼女にはトキメキを覚えていた。多分。惹かれるところがあった、今は本気で嫁にしたい。


私「ただいまー。」


クチーテァ「あ、おかえり~、取れた?魔石?」


私「こんだけ。」


クチーテァは鍋をかき混ぜる手を止めて袋を手にとって、中身の重さを確かめた。


ザッザッ(フリフリ)


クチーテァ「ま、女手で一日でコレだけ取れればいいほうかしら?お疲れ様。また明日も頑張って。夕飯よかったら一緒にどう?」


彼女は鍋の火を止めて、大皿に炊いたコメをこんもりとよそっている。


私「いいの?!食べる食べる!」


温かいご飯は久しぶりである。アニヤのキャンプスキルがあれば、森ダンジョンなら火も起こせるのだろうが、

今まで、洞窟や神代ダンジョンで燃料がなかった。


クチーテァ「えぇ。こっちも久しぶりの団らんだもの。」


魔女は家庭を持つまで孤独、一人で研究やあきないにいそしむ。彼女もその口なのだろうか?


ボヨヨン


もったいない。

女盛りはもっと遊んだほうがいいと個人的に思う。まぁ、そんな私もニートやらで過ごしてたけども。


クチーテァ「ガーディアンも誰かに壊されたしね?ひとりぼっちなの。」


ぎくっ


私「そ、それはそうと、ホルドの猫化の呪いの解除ってできる?」

アニヤ「そうそう!」

ホルド「なんかないか?!」


私達は話をそらしながらテーブル席に座った。クチーテァとは丁度、対面する形だ。目の前には2つの大皿に盛られたハヤシライスがユラユラ湯気を上げている。


クチーテァ「あ!それって呪いなの?」


彼女クチーテァはホルドを使い魔の猫だと勘違いしていたようだ。私の胸の谷間から顔を出している猫をマジマジと観ている。


クチーテァ「ふーん、だいぶ、強力な術ね。今日はこれから、魔女集会に行く日だから、行って買ってくるわ?」(モグモグ)


私「私もついてっていい?」


何か思い出すかもしれない。辺津鏡へつかがみ、インベントリが使えるのは魔女くらいなんだし。


クチーテァ「あら、いいわね、ソレ!」




魔女集会場


私達は食べ終わるとさっそく合わせ鏡から幽世かくりよの魔女集会に足を運んだ。


ガヤガヤ


集会場は黒いワンピースや黒のマントを羽織った魔女がたくさんいて、それぞれにおしゃべりを楽しんでいた。


その手前のカウンターテーブルの所の受付嬢が参加者リストの空欄に名前の記入をするよう声をかけてきた。


私「彼女は魔女じゃない?」


クチーテァ「ホムンクルスよ。」


美しい赤い髪と瞳、透き通るような白い肌の受付嬢にお目当ての魔女が来てるかを聞く。


私『綺麗な人。』(ガン見)


クチーテァ「ねぇ?今日はマリサかリサは来てる?」


受付「道具屋のリサ様は来てますよ?マリサ様は今日はお顔を見ていません。何でも、新しい漢方のセリに行かれたとか?」


受付嬢からブレスレットをもらったクチーテァはそれを左の手首にした。


私「なにそれ?」『たまに、お母さんがしてたような?』


クチーテァ「魔封のブレスレット。魔女同士で喧嘩になった時、魔法を使わないようにって。貸し出してくれるの。」


あ、じゃぁ、私もいるのでは?

私は受付嬢に魔封のブレスレットを所望した。


受付嬢「貴方様も魔女?」


ん?彼女と私は初対面なのか?私は過去に魔女集会ここに来たことがないってことか。

確かに魔女特有の目のクマはないが、お母さんにはあったはず。うろ覚えだけど。


受付嬢「あ、まだ成人されてない方でしたか。」


魔女の特徴的なクマが形成されるのは成人してからなの?

確かに私にクマはないし、下のお毛毛はまだ生えてないけど……

自分の年齢まで覚えてない。記憶が歯抜けだ。苦笑いするしかない。


クチーテァ「行くわよ?」


一応、男性のホルドは彼女の店でお留守番をしてもらっている。

まぁ、それでも私は汗っかきなので服のボタンは結構、開いているのだが。


サワッ


私&アニヤ『きゃっ』


突然、誰かにお尻を撫でられた。集会場内で痴漢(?)に会う。ここには女性しかいないから、痴女か?


アニヤ「びっくりした。あなた以外にもいるのね?」


うぐぐ


まぁ、自分が言うのもなんだが、同性愛者は居るだろう。性癖は人それぞれだからケチを付けるのは野暮ってもんだ。………触るんなら前にしてくれ。


クチーテァ「あ、いたいた。リサ!」


リサと呼ばれた黒髪の美魔女がこちらを振り向くとおしゃべり相手の銀髪の魔女もこちらを向いた。


私『うわぁ……無頓着。』


銀髪の魔女は血のシミの付いたエプロンを着ていて目つきが悪い。いかにも魔女ですと言った風だ。他の魔女は外行きの装いだろうに、この人は仕事着できているのか?


銀髪の魔女「なんだよー、私が値段交渉してるのに。」


リサ「リュプケの防腐剤と魔法の粉は仕入れとくから。」


リュプケ「えー?もっと負けてくれよ〜!」


なんか、続きそうなので強引に私とクチーテァは話を始めた。


私「すみませんお尋ねしたいことが。」

クチーテァ「リサの店で猫化の呪いを解くアイテムとか取り扱ってる?」


リサ「もちろん!言っとくけど、コレは値段交渉には応じないわよ?仕入れ価格が高いの。ほとんど原価なんだから。」


いや、そうなのか……


リサ「丁度、試供品サンプルを今持ってるわ。居る?」


黒髪の美魔女リサは透明な液体の入った小瓶をポケットから取り出した。


アニヤ「ド○ホルンリンクル?」


なにそれ?


クチーテァ「いいわね!効果があったたら、買うわ!」


リサ「使う時は霧吹きに移して、対象者にふりかけるのよ?」


私達はとりあえず、それをもらって帰ることにした。


???「……………………」




クチーテァの店


私はクチーテァに霧吹きを貸して貰って試供品サンプルの中身を移し替えた。


ホルド「どうするんだ?それ?」


プシュー


ホルド「わ!冷た!」


ボン!


ホルド「あ!もとに戻った!」


そこには、素っ裸の男性、ドワーフが立っていた。前のデカいのをブラブラさせて。


私『うわ!凶暴な見た目!』

アニヤ「早く!服着て!」(////)

クチーテァ「きやー!」


ホルド「おっと、すまんすまん。」




ホルドは向こうの部屋で服を着ている。運良くクチーテァのお父さんが過去に着ていた服があった。

扉の向こうから人間用の服に悪戦苦闘してるであろう、ドワーフの声がする。


クチーテァ「試供品だから、また猫に戻るかも?」


私「でも、コレで何とか解呪への道筋が見えてきたわね。」


アニヤ「魔石掘りも彼に任せられるかも?」


口に手を当てて何やら考えていた彼女クチーテァが口を開いた。


クチーテァ「……ねぇ?彼って独身?」


え?


アニヤ「そうですけど?」


クチーテァ「あ!いや!なんでもないの!」 


私&アニヤ「?」




その夜、クチーテァは私の寝室に来て、彼女と私とアニヤはホルドの話題で盛り上がった。


ドワーフの少子化。

胸の谷間に埋まってても無反応なのだ。そこら辺が原因なのでは?とか。

そのくせ、鉱物、武具には興奮した様子だった、とか。


彼の出自についてだと、昔話はアニヤが頼りだ。


アニヤ「まぁ、パーティに入ってからしか知らないけど、子供の頃から宝石の目利きをみんなでしてたとか、成人してからは炭鉱で働いてたとか?……」


クチーテァ「ふんふん。」


彼女は興味津々といった感じだった。

女子会は夜遅くまで続いた。


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