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辺津鏡(インベントリ) 〜門の管理人と鍵〜

アニヤ「解析アーティファクトアナライズ!」


私に取り憑いている死霊のアニヤが私の魔力オドを使って、隠しボスからドロップしたアイテムを解析する。


不可視インビジブルと言い、これと言い。ほんとに僧侶?と思うような魔法を使う。昔はシーク系の職業だったらしい。


キィィィン……(解析中)


その当時の話は彼女はあまりしないので知る由もないが、こちらも詮索することではないだろう。

知らぬが仏、というのは、生きていくうえでよくあることなのだ。


ズヒュゥゥン!


私『おぉ?!』


慣れてないせいか、魔力消費が半端ないんだが?

仕返しに、今日は嫌と言うほど泣いてもらおう。ベッドで。


アニヤ「ふぅ……。魔砲タスラム?魔力を大量消費する代わりに威力倍増で撃てるみたい。」


先ずは、大口径銃、シングルシューターからだ。私の死霊が黒い大きな銃身を冷たい指先でなぞる。


そうだ、ピンクに塗装し直そう、これ。ソッチのほうがかわいい。


私「うんうん、それで?」


アニヤ「状態はAね。新品。」


ホルド「なるほど。」


アニヤ「わかったことは、以上よ。」


あ、そんだけか。もっといろいろ分かるのかと期待したが……


私「まぁ、つぎのエリアのボスで試し撃ちしよ。」


勇者(クリュソスの野郎がダンジョンを出たので、内部が再構築された。

アニヤが苦労して作った脳内地図マッピングも 今となっては、役に立たない。

もちろんそれに伴いボスもリスポーンしているはずである。


私は袋にあったポテチを口に流し込んだ。


ザララ……

ボリボリ……


うまい。


ホルド「……俺のは?」


私「あ、でもでも、猫にはポテチは塩分過多でしょ?」(アセアセ)


ホルド(グスン)


あ。


私「そういえば、コイツ(全身スーツ)は?」


アニヤ「まだやる?結構な魔力消費だったはずよ?」


知られてる。さすが、我が死霊。


アニヤ「もう、魄神シキガミっていうんじゃない?」


何それ?

私は旅に出る前はニートしてたからなぁ。

長年、各地を放浪していたエルフとは知識量が雲泥の差である。


アニヤ「しきは体っていう意味の言葉。あなたの体についてる私はアナタの魄神シキガミ。そのうち体のオドと混ざって実体化できるかも!」


私「それなら、私のお母さんがホムンクルスの研究をしてたんだ。アニヤの体なら何とかできるかもしれない。エルフ並みの寿命は保証できないけど。」


アニヤ「ほんと?!やった!これで毎夜毎夜泣かされずに済む!」


あ、気にしてるのか、控えたほうがいいのか?




ダンジョン下層


土の洞窟の様な最下層エリアを抜けて、今度は近未来的な作りの階層に来た。


また、隠し部屋とかあるのだろうか?淡い期待を胸に探索を開始する。


ホルド「とまれ。」


先行する猫が足を止め、後退りする。通路の向こう側から何かが駆動する音が聞こえてくる。


ウィーン、ウィーン。

ガション、ガション……


この階は機械系のモンスターが出てくるようだ。


私「食べ物はなさそう……。」


アニヤ「そこぉ?」


ホルド「……そこの部屋で休もう。」




ウィーン

(陽気な店内BGM)


通路の扉を開けるとそこには部屋に大きくゴザを広げてアイテムを並べている女性(?)の猫型亜人が居た。

胸がぺったんこで股間が多少プックリしてるが、そう言う女性はいる、はず。


ホルド「やった!雑貨屋だ!」


ニキータ「ようこそ!ニキータの道具屋へ!」


ホルド「ニキータ!俺だ!ホルドだ!」


ニキータ「あー、そのヒゲ!確かにホルドさんに似てますねー。すると、あなたたちはクリュソスさんのパーティの方たちだ!ずいぶんと変わられましたねぇ。」


アニヤ「だから、つけー」


ニキータ「ダメです!」


ホルドとアニヤは顔を見合わせている。

王に勇者パーティと認められてるから、その信用を担保にツケを要求するつもりだったらしい。


ホルド「王の信用でなんとか?!」


ニキータ「ウチはツケはやってません、前払いでビタ一文も負けませんから。下請け小売りは大変なんですよ?!」


大手物流会社の下請けで小売り業の苦労など知らん。

良心プライスダウンを所望する。我らは今、スッカラカンなのだ。


ダンジョン最奥のモンスターが外で流通してる貨幣を持っているわけもなく、辺津鏡インベントリが使えない今、かさばる敵の武具を収集もできるわけもない。


私「そうそう、コレ(全身スーツ)をさぁ、買ってくれない?」


ニキータ「え?それですか?神代のものですね。博物館に寄贈なさっては?まぁ、買い取れと言うなら買い取りますけど。適正価格とかは分からないんですよね。」


アニヤ「ちなみにいくらで買う?」


売って金を作ろうとしたが、黒猫はそれを止めた。


ホルド「おい!やめろ!せっかく見つけた隠しエリアのボスがドロップしたやつなんだぞ!」


えー?そこのご飯は?今の元手じゃ、足りないんですが……?


ホルド「ニキータここまでの地図あるだろ?見せてくれ。」


ニキータ「○千円です!」


え!金とるの?!


ニキータ「アニヤさんがマッピングする気ですよね?ちゃんと買ってくださいよ!」


アニヤ「ち、バレてる。」


猫達はあーだ、コーダ言って口論になっている、そこのパンが私は欲しい。


私「とりあえず、お金作ってくるから待っててちょうだい。」


ニキータ「ええ、そりゃもう待ちますとも。ちゃんと、商いさせていただきます!」




店の外の通路


ウィーン


店内から出て通路を行く。敵を探しに。


私「とりあえず、金作に行きましょう。」


アニヤ「ここの位置はマーキングしたから大丈夫よ。」


ホルド「お前らたくましいよな。この神代系ダンジョンなら機械どものドロップアイテムだけでもなんとかなるけど。辺津鏡インベントリが自在に使えないんじゃ不安だぜ。そんなに持てねぇし……」


私の存在意義ってそこなんだろうな。

他の次元にアイテムをしまっておけるから。パーティが身軽になれるし。


それをなんとか自在に使えるようにならないと。隠しボスの時のような一か八かだと今後、心もとないし。




ホルドのヒゲで敵を感知して、裏を取って、こちらに気づかれる前にヘルメーカーでぶっ壊す。


ドゥン!

バキョッ!


ドゥン!

ドカァッ!ボン!


私 ハァハァ


アニヤ「もういいんじゃない。だいぶ、魔力消費したわよ?リナ。」


ホルド「こんだけやりゃぁ、部品だけでもニキータの店のを買い占められるぜ。」


じゃあ、袋のアイテム欄を有効利用するために……


私「ホルド、あっち向いてて?」


ホルド「ようやくスーツ着る気になったのか?」


あれ、乳首とかアソコの筋もくっきりだから嫌なのよねぇ……

まぁ、背に腹は代えられないか。




擦り切れたぬのの服を脱ぎ捨ててスーツを履く。装着方法とかは、たぶん何とかなる。前も着たし。


アニヤ「解析しよっか?」


それ、私の魔力をごっそり消費するんだけど……


私「いいわ、要らないわよ。」


恥ずかしいので、みかわしのマントで体全体を覆う。夜な夜な近所を徘徊してた下半身露出オジサンになった気分だ。


私「もういいわよ?ホルド。」


ホルド「それじゃさっそく敵から部品を回収しちまおう。」


鉄や基板、ゴム類の焦げた匂いと白い煙の充満する通路で、ホルドやアニヤに教わりながら高価な部品を物言わぬ倒れた機械から取り出していく。


私「コレはゴミね?」


ということでゴミは辺津鏡インベントリの練習に収納していく。


どんどん、

どんどん。……




私「あれ?ここはどこ?」


目の前には大きな両開きの門がある。近くにホルドもアニヤもいない。呼んでも返事はない。


左右を見渡しても何もない通路が続いているだけだ。

不思議なのは光源がないのに明るいことだろうか。少し、視界が灰色がかっているが、なんでだろう?


???「何、あなた?迷い込んできたの?それとも、鍵でもなくした?」


近くで声がする。

いつの間にか丸いテーブル席に座ってコーヒーを飲んでいる女性が門の脇にいた。


私「アナタ、様は?」


なんで自分は彼女に様を付けて呼んだのかわからないが、それがしっくりするのだろうと何故か確信があった。


マフ「私はマフ。ここの管理人をしてるの。」


私「マフ様、ここは?」


マフ「辺津鏡へつかがみの門の前。いつしか、あなた達はインベントリとか呼んで便利グッズみたいに扱ってるけど。れっきとした由緒ある宝なのよ?」


宝?これが?門じゃん。


マフ「失礼ね、アナタ。アイツの親戚?とりあえず、何しに来たのよ。」


そうだ、私は辺津鏡インベントリが自由に使えるようにと練習してたんだ。


マフ「アナタも鍵をなくした系?」


仕方ないわねぇ。

そう言うと、彼女はパンツのポケットから鍵の束を取り出した。


私『入れてたの?鍵の束を?』


多分、あんな大きなものは入ってなかったはずだ。ここは現し世とは違うところなのだろう。


マフ「アナタはヘカテリーナだから……あったコレね?はい。」


私は彼女から一つ鍵を手渡された。

何の変哲もない鉄(?)の鍵。できることなら、そっちの光り輝く黄金の鍵とか銀の鍵が良かった。


マフ「こっちはだめ。アナタのはそれ。」


ちぇっ


マフ「万が一のスペアだから、今度は無くすんじゃないわよ?」


私「ありがとう。マフ様。それでー」


マフ「帰り道はあっち。アナタの付き人も出口で待ってるわよきっと。」


私は深々と頭を下げると出口の光の中へ入っていった。

後ろではマフ様はまたコーヒーを飲んでいた。




不思議な所に私は迷い込んでたのだろう。



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