うつ向いた気持ちに光を
「これは違うかなぁ……」
「違うの?」
「そうだね、少し葉の形がちょっと……」
お昼ご飯の後、実験室に戻ってすぐ部屋にある本棚から薬草の本を適当に集めカメリアから貰った葉っぱをシアとライアが調べている
「これって、何に使うの?」
「話の感じから、たぶんお菓子とか作れると思うんだよね」
「美味しくないのにこれでお菓子が作れるの?」
葉っぱを指先でクルクルと動かし、本に書かれている葉っぱと見比べる
「ミコト、そっちはどう?」
二人から少し離れた場所で三人分のお茶を用意しているミコトにシアが声をかけると、お茶がコップから溢れそうになっていた
「ちょっとミコト!」
「……えっ?」
焦るシアの声に我に返ったミコト、お茶が溢れそうなのに気づいて慌てて注ぐのを止め、安堵からはぁ。とため息をついた
「セーフ、危なかった……」
「どうしたの?大丈夫?」
「うん、大丈夫……」
心配そうに声をかけるシアに笑って頷き返事をする。少し顔を上げお茶をまた入れ直そうとした時、ふと窓から日差しが入っているのに気づいた
「晴れてる」
「本当だ。いつ晴れたんだろう」
シアとライアも窓を見る。明るくなった空を見てライアがシアの服をグイグイと引っ張った
「クッキー買いに行ける?」
「そうだね、ちょっと気分転換に行ってみる?」
そう聞くと、ニコニコと嬉しそうにウンウンと何度も頷いた
「じゃあお茶を飲んでから行こうか」
「うん、行こう」
「ミコト。今の話し聞いた?」
「……うん」
シアの話しに小声で返事をしてまたお茶を入れはじめたミコト。その様子に心配したライアが隣に駆け寄り、じーっとミコトの顔を見る
「大丈夫?」
ライアにそう聞かれて、返事に一瞬戸惑い二人見つめ合う。シアも二人の様子をみていると、ミコトがお茶を入れたコップをライアに差し出し、ニコリと微笑んだ
「大丈夫だよ。また雨降る前にマリーおばさんのところに行こっか」




