今朝の目覚めに
翌朝、ザァと降る雨の音で目が覚めたライアが横に向いていた体をゆっくりと動かすと、すぐ目の前にミコトが寝ていて驚き飛び起きた
「おはよう」
ライアの様子を椅子に座って見ていたシアがフフッと微笑みながら声をかける。まだ頭が回っていないライアはボーッとシアを見ている
「何か飲めそう?紅茶でいい?ココアにする?」
「ココア……」
椅子から立ち上げりながら問いかけると、ライアが小声で呟き返事をした。その返事を聞いて手際よくココアの用意をするシアを見ながらベッドから降りて空いている椅子に座った
「ミコトは寝顔が悪いけれどちゃんと寝れた?」
温かいココアの入ったコップを渡しながらまたライアに問いかけ、さっき座っていた椅子に座り直す
。コップを受け取り、まだ少し湯気の出ているココアを見つめながらライアがゆっくりと頷く
「良かった。私は何度かベッドから蹴落とされたから心配だったんだよね」
昔の事を思い出しながらまだ少し温かい紅茶を飲むと、ライアも火傷しないように恐る恐るココアを飲む。体が少し暖かくなり、ふぅ。と二人のんびりとまた飲み物を飲む。二人の会話が止まり部屋には雨音がよく聞こえてくる
「ミコト、そろそろ起きないと。朝ごはん食べないの?」
シアがまだ寝ているミコトに声をかける。その声で目が覚めたミコトがゆっくりと体を起こし、目を擦りながら二人のいる方に顔を向けた
「シアだ。おはよう」
「おはよう、起きたの一番最後だね」
シアの言葉を聞きながら眠り足りないのか大きなアクビをすると、ライアと目が合い二人見つめ合う
「覚えてる?」
「覚えてるよ。ライア、おはよう」
「おはよう……」
コップをぎゅっと握りながらミコトに挨拶を返す。その声を聞いてミコトとシアがニコリと微笑むと、ミコトがうーんと両手を上に上げながら背伸びをした
「私も紅茶飲むー」
「はいはい。ちょっと待ってね」
机の上にコップを置いて、ミコトの分の紅茶を作るため椅子から立ち上がる。その空いた椅子に今度はミコトが座り、ココアを飲もうとしているライアの顔をじっと見つめる
「青い目、綺麗」
そうポツリ呟くと、ライアが不思議そうに少し首をかしげた
「何してるの?」
紅茶を持ってきたシアがミコトにコップを渡しながら問いかける。温かい紅茶にふぅ。と一息かけ、首を横に振った
「なにもしてないよ」
そう言うと甘めに作られた温かい紅茶を飲む。ミコトに座っていた椅子を取られたシアが机に置いていたコップを取り自分のベッドに座った
「そういや今日は休校だって。ご飯食べて部屋でゆっくりしよっか」
そうシアが言うとミコトが嬉しそうにシアとライアを交互に見た
「やった!じゃあ。ご飯の後、昨日の調合の続きをしよっかな」
「ダメだよ。また怒られるよ」
「大丈夫だよ、ねっ」
ライアに同意を求めるように話しかける。急に言われて、うんと取り敢えず頷き、シアが困ったようにため息をついて、少し残っていた紅茶を飲み干した。ミコトもまだ熱い紅茶を半分程飲んで、コップを机に置き、またうーんと背伸びをした
「よし。じゃあ、早くご飯食べて、カメリア先生に見つかる前に調合室に向かちゃおう」




