【第八話】【完結】七夕の日に勇気を出して
これで完結となります。
今日は、七夕の日。
空は眩しい太陽に照らされ、雲一つもない晴天だ。
心の準備はもうできている。
今日の放課後、体育館裏で四宮くんに告白をしようと思っていた。
昼休み、四宮くんに訊く。
「今日、部活ある?」
「あるよー、なんで?」
「そっか、じゃあさ……その…今日、放課後部活終わったら体育館裏で待っててほしいんだ。」
「ん…?わかった。でもどうして?」
「それは……その時のお楽しみ。」
「わかった、楽しみにしてるよ。」
今日の放課後、四宮くんに告白をする。
「体育館裏に来て」と呼び出した時点で、もう告白だということは四宮くんも察していると思う。
振られたときのことも考えた。
気まずくなったらどうしようかと思ったりもしたけれど、このまま告白をしないで卒業して、離れ離れになってしまうのは嫌だった。
気まずくなってしまったら、それはそれでもういいと諦めることにする。
期待はしないで、四宮くんに告白をしようと思う。
そして放課後、完全下校の十五分前、空は茜色に染まっている。急ぎ足で体育館裏へ向かった。
すると、四宮くんが待っていた。
「ごめん、待った?」
「少しね、でも大丈夫だよ。それで、どうしたの?」
「あ、えっと……」
「うん…?」
「わ、私、四宮くんのことが去年からずっと、す、す…好きなんだ。だから、私とよかったら、その…付き合ってほしい………。」
すると、四宮くんは首を傾げて言った。
「ん……?“好き”ってどういうこと…?友達としてってこと?つきあう…?買い物?買い物なら別にいいけど…。」
「えっ…?そ、そういうことじゃなくて…“好き”っていうのは、その…四宮くんのことが、“恋愛対象”として好きってこと…だよ。あと、“付き合う”っていうのは、買い物じゃなくて…“交際”するってこと…だよ。」
「んん?なんだかよくわからないな…。よく聞くんだよなそれ。“恋愛”とか。”好き”とか。一体どんな気持ちなの?それ。」
「もしかしてわからない……?うーん……なんて言えばいいのかな。なんか、“友達”として好きなのとはちょっと違うんだよね…。
なんかこう、友達よりも一段階上がった感じで好きって感じ。その“恋愛対象”として“好き”になってしまった時は、その人ことばっかり考えちゃうんだ。」
「そうなの…?俺そういうのまだちょっと分からなくてさ……。家に帰ったら調べてみるよ。」
「うん…よろしく。あと、その“付き合ってほしい”の返事、考えておいてほしいな…。」
「…わかった。家で調べて、土日明けたら返事するね。それまで待っててほしい。」
「わかった、ありがとう…!ごめんね、こんなのに付き合わさせちゃって。」
「まぁ、平気だよ。俺、ちょっとその“恋愛”に興味出てきたかもしれん。」
「マジ…?まぁ、返事待ってるね…!」
「おう!じゃあ、またな月曜日な。」
「うん!またね!」
どうやら四宮くんは、恋愛に興味がなく、よくわからないらしい。
「恋愛」について、家で調べたら返事をすると言われた。
でも、四宮くんは、そこまで嫌そうではなかった。少し返事に期待してしまう自分がいたけれど、期待したら、ダメだったときに落ち込んでしまうからあまり期待はしない方がいいと自分に言い聞かせた。
そして、土日が終わり、月曜日。
学校に着き、正門に入る。その時に四宮くんとすれ違い、四宮くんが私に話しかけてきた。
「おう、小川。金曜日のあの返事なんだけどさ」
「あ、うん…。」
「俺、色々あのあと家に帰ってから調べたんだ。そしたらその“恋愛”っていうのはどんなものなのか少しわかったよ。その、“好き”っていう気持ちもなんとなくわかった。
まぁ、小川と付き合うのは嫌じゃないし、むしろ嬉しい…かもな…。なんて…照れくさいけど…でも俺まだ恋愛の知識とか色々未熟だから、そこらへん教えてほしい。その条件で、付き合うなら俺、大歓迎…だよ。」
「え…!マジで?う、嬉しい……!恋愛の知識は豊富だから、いくらでも教えれる!」
「そうなんだ!ならよかったー。じゃあ、これからはお互い、名前で…?呼ぼう。」
「名前…?確かに!じゃあ…悠真くん、これから改めてよろしくね。」
「…よろしく、穂乃果。」
面白いなと思っていただけたら、ブックマークやイチオシレビュー、感想を書いてくださるととても嬉しいです!