【第六話】四月、クラス替えで…
桜の花がひらひらと地面に落ちる。
今日は、今年度最初の始業式。クラス替えをとても楽しみにしていた。
その理由はもちろん、四宮くんと同じクラスになるかもしれないという期待の気持ちがあるから。
でも、私の学年は七クラスもあり、人数が多い。そのため、四宮くんと同じクラスになる確率よりも違うクラスである確率の方が圧倒的に高かった。
だけど、私は今日のこのクラス替えのために、好きな人と同じクラスになれるおまじないや、日頃の徳を積んだりして、できるだけ四宮くんと同じクラスになれる確率を上げてきた。
でも、やっぱり同じクラスになれない確率の方が高いことはわかっている。
私は、最高にドキドキしながら新しいクラス表を見た。
まず、一組から順に見ていった。
隣には、藍香もいる。
藍香と一緒に、クラス表を見ていた。
そして、次の瞬間、藍香が叫んだ。
「…え!!ねぇやばいよ!!穂乃果、悠真と同じクラス!!」
「へ?!?!マジで?!」
藍香が、私と四宮くんが同じクラスだと叫んだ。
私は慌ててクラス表を確認する。
「え?!私何組なの?!」
「穂乃果、四組!!悠真も!!」
「マジ?!…本当だ…!奇跡じゃん!」
「よかったね、穂乃果!!」
「うん…!史上最高の喜びを感じる…泣きそう……。」
「そんなに?w …まぁ、穂乃果にとってはそのくらい嬉しいことか!w」
「…うん、マジでやばい〜泣けるって〜〜」
「嬉し泣き?w それで泣けるのピュアだねw」
私は、四宮くんと同じクラスになれたのが嬉しすぎて、思わず泣いてしまった。
そんなふうに、藍香の腕の中で泣いていた次の瞬間のこと。
「え?小川さん泣いてる…?大丈夫?」
四宮くんが来て、泣いている私に心配の言葉を掛けてくれた。
私はいきなり四宮くんに話しかけられて、驚きを隠せない。
「…えっ、あ、四宮くん…?だ、大丈夫だよ。ちょっと色々あってさ…。」
「…そう?それならいいけど…。泣いてたから、心配したよ。」
「…ごめんね、心配させちゃって。」
「まぁ、大丈夫だよ。大したことじゃないなら安心だけど…。…あ、俺と小川さん同じクラスじゃん。改めて、これからよろしく。」
「あ…うん!よ、よろしく…!」
「野崎、お前今年も図書委員やるの?」
「んー、まぁ自由に自分で本借りれるからね〜。ずっと図書委員会のつもりだよ。」
「マジかー、ま、ガンバー。じゃあな二人とも。」
「バイバイー」
「ねぇ!!やばくない?泣いてたらいきなり話しかけてきたんだけど…!」
「だね、んー…でも、どうでもいいって思ってたら、泣いてても心配の言葉を掛けてきたりはしないよね。もしかしたら穂乃果を好きになったかも?」
「え…そうだったら最高なんだけど!!」
「そうだといいね!応援してるよ〜、てかそろそろ行かないと、チャイム鳴るよ!」
「あ、やばい!行かないと〜。」
そう言って、私たちは小走りで自分の教室へ向かった。
自分の教室を、前の学年と間違えるなんて恥ずかしいミスはしないように気をつけなければと思いながら、三年四組へ向かった。
三年四組に着き、座席表で自分の席を確認する。出席番号は、去年と変わらず十番だった。
一番前の席の、教卓の目の前で嫌だなと思いながらも、そこの席に座った。
すると、隣には四宮くんがいた。そして、四宮くんが私に話しかけてきた。
「あれ?小川さんじゃん、隣の席なんだ。よろしくね。」
「…だ、だね!よろしく〜…。」
まさか、隣の席だとは思わなかった。
想定外の出来事に、頭が追いつかない。
好きな人が同じクラスで、そして、隣の席。これは夢だろうか?夢だと言われても、疑えない光景だった。
きっと、今私は、めちゃくちゃ顔が赤い。
赤面している顔を四宮くんに見られたくなくて、下を向いていた。
チャイムが鳴り、新しい担任の先生が来る。
だけど私は正直、新しい担任の先生よりも、四宮くんのことで頭がいっぱいだった。
始業式も、四宮くんのことで頭がいっぱいで、あまり内容が頭に入ってこなかった。