表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/8

【第五話】ホワイトデー

今日は、ホワイトデー。

四宮くんからどんなお返しが返ってくるのか、とてもドキドキしていた。

もしかしたら今日がホワイトデーだということを忘れていて、お返しが無かったり……?そんな不安が頭をよぎる。

またいつものように廊下へ出て、三組へ向かおうとする。

そんな時、ちょうど藍香もこちらへ来る途中だったらしく、すれ違いざまに話しかけられた。


「あ、穂乃果!ちょうどいた〜!」

「あっ藍香、今三組行こうとしてたんだよね、どうしたのー?」

「そう、悠真がね!“今日の放課後体育館裏に来てって小川さんに伝えといて”って言ってた!!今日ホワイトデーだから、絶対お返しじゃん!」

「…マジ?え、やったー!めっちゃドキドキする〜!!」

「よかったね、穂乃果〜!!」


四宮くんに、体育館裏に呼び出された。

どんなお返しが返ってくるのか、さらにドキドキしていた。


そして放課後、カバンに教科書類を詰め込み、急いで帰りの用意をし、走って下駄箱を出て体育館裏へ向かった。

すると、まだ四宮くんは来ていなかった。

一分ほど経ったあと、四宮くんが来た。


「お待たせ、ごめんね待たせて。」

「大丈夫…!さっき私も来たばっかりだから。」

「そっか、それならよかった。あとそう、これ、バレンタインのお返し。」

「わぁ、ありがとう!中は何が入ってるの?」

「それは、箱を開けてからのお楽しみ。でも、チョコレートではないかなぁ。」

「そうなんだ〜…!楽しみー!家帰ったら開けてみるね!」

「うん!口に合えばいいんだけど…」

「私、甘いものは大好きだから、絶対口に合うと思うw」

「そうなんだw それなら大丈夫か!w」

「うん!」


それから、結構長い時間、四宮くんと話した。

気が付けば、三十分ほど経っていた。

そして、完全下校十五分前の予鈴のチャイムが鳴る。


「あ、チャイム鳴っちゃった。暗くなってきたし、そろそろ帰らないとだね。」

「確かに……。じゃあ、また今度ねー…!」

「うん、じゃあね!」


そう言って、四宮くんと別れる。

少し寂しくて、もう少し話したい気持ちもあったけれど、もうすぐ完全下校の時間なので四宮くんと別れた。

別れたあと、四宮くんの後ろ姿をまた見つめていたら、四宮くんがこちらを振り返った。

そして、目が合い、手を振ってくれた。

ドキッとしながらも、私は四宮くんに手を振り返す。

小声で、「また話そうね、好きだよ…」と呟いた。


そして四宮くんを想いながら帰路に着く。

家に着き、四宮くんからバレンタインのお返しで貰った、例の箱を取り出す。

四宮くんからもらったこの箱は、包装紙に包まれていた。その包装紙を取る。

すると、『小川さん、バレンタインでくれたチョコレート、おいしかったよ!ありがとう。四宮悠真より』

そう書かれたメッセージカードと共に、可愛いピンク色のパッケージの、長方形で片手に収まる程度の箱が出てきた。

ドキドキしながら、その箱を開ける。

すると、それぞれ色の違う、パステルカラーのマカロンが四つ入っていた。

「わぁ!!」

私は思わず声を上げる。

ここ数年間、食べていなかったマカロン。

そして、これは四宮くんから貰った大事な宝物。

少し…いや、かなり食べるのが勿体ない。

だけど、とても甘そうな匂いを発するそのマカロンの誘惑に負け、一番右にあった薄い黄色のマカロンを一口、口に入れた。

すると、頬っぺたが落ちそうになるほど甘いその感覚に襲われる。

こんなに甘くて、なんとも言えない甘味があるスイーツは今まで食べたスイーツの中で、最高と言っていいほど美味しかった。

マカロンを食べ終わったあと、このマカロンの値段は何円だったのか気になり、パッケージの後ろを見る。

すると、『1950円(税込)』と書いてあった。

かなり、高くて驚いた。

マカロンが四つしか入っていないのに、私が四宮くんにあげた、チョコレートとあまり値段が変わらない。

私のバレンタインのお返しのためだけに、そこまでお金をかけてくれたのかと考えると、とても嬉しかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ