【第三話】新学期が始まった
九月一日、今日から学校だ。
四宮くんの顔が見たい。
だけど、私は四宮くんの顔を知らない。
どうやって話そう?
そんなことを考えていたら、いきなり後ろから両手で肩を掴まれ、話しかけられる。
「ヤッホー、穂乃果!」
「うわ!びっくりした、なんだ藍香か〜。」
「えへへ〜、ちょっと驚かしちゃった!」
「もうやめて〜心臓に悪いよ〜」
そんな感じで、いつものように藍香と会話をしながら学校までの道を歩く。
「ねぇ、四宮くんってどんな感じの顔なの?」
「どんな感じ?そうだな〜…うーん…結構目がぱっちりで、髪が少し長めで、最近身長めっちゃ伸びてるよ。」
「そうなんだ、うーん…イメージ湧かないな。今度直接見せてー」
「いいよ、でもなんでー?」
「…顔がよくわからないからさー。」
「もしかして…ライン交換して好きになっちゃった?w」
「え…?そそそ、そ、そんなことないよーw」
「その反応…図星だな?」
「ち、違うよ〜!!」
「絶対にそうじゃんw だって今、顔赤いもん〜。」
「…も、もう…そうだよ。」
「マジか!うーん、私はあいつのどこがいいのかわからないけど…。まぁ応援するよ!私、悠真と同じクラスだしね〜。」
「ありがとう藍香…!なんかあったら相談するね!!」
ついに藍香にはバレてしまった。
だけど、藍香にならバレてしまってもいいかなと思った。
藍香になら、なんでも言えるしなんでも話せるから。
そして、藍香と一緒に学校に行き、校門に入るとき、
「あ、いた!悠真だー!」
「え、あれが四宮くん?」
「そうそう!悠真と話せるチャンスだよ!おーい!悠真〜!!」
「あ、おう。」
「見てー、この子が穂乃果だよ〜。」
「おう、おはよう。」
「あ、お、おはよう…!」
そう言って、教室へ向かう四宮くん。
新学期初日から四宮くんと話せて、舞い上がる気持ちを抑える。
「ねぇやばいって!!あれが四宮くんなの?!めっちゃイケメンで好みなんだけど!!最高!!」
「穂乃果、ちょっと落ち着いてw そんなにイケメンかな?w」
「いやイケメンでしょ!!声もかっこよかったんだけど!」
「声?普通でしょw まぁ好きだとかっこよく見えるけどねー。」
「うんうん!最高だよ〜」
「まぁ、休み時間とかちょくちょく私のクラスに来たりするのはいいけど、やりすぎると怪しい人になるから、ほどほどにね。」
「うん!それはわかってるよ〜。でも昼休みとか中休みとか、ちょくちょく三組行くから、その時は来てねー。」
「わかったよー。」
新学期初日から、最高にドキドキしていた。
私はこれからの学校生活に、胸を弾ませた。