追憶
「どういう問題なんだよ。」
翔太が聞く。
「そこで2つ目。現在与党の民主党と、野党の希望党の一部の造反議員は、日本がロシアの属国になる事を望んでいる。」
「はあ? なんでだよ。」
雅弘は意味がわからないという顔をしている。
「それは本当か? そうとしたらなぜそういえるんだ?」
剛希の質問はいつも的を正確に突いている。
「これは確証がある。」
「だったら早く言え。」
雅弘はもう少し我慢と言うものを覚えたほうがいいだろう。
「一部の議員の私的パソコンにキーロガーを送り込んだ。」
「キーロガ-ってなんだ?」
良平が聞く。すると、俺が答える前に翔太が言った。
「相手のパソコンで打った文字や記号がそっくりそのまま、こっちのパソコンに記録されるんだ。」
ほお。翔太が知っているとは意外だ。こいつは世界最強のアホだとばかり思っていたが。
「こいつが言った通りだ。」
「それで、こっちに何の得があるんだよ?」
「議員間のメールのやり取りを全て記録した。 といったら分かって貰えるかな?」
「・・・ああっ! そうか!」
やはり一番に反応したのは剛希だった。
「じれったい。はっきりといえよ。ビブラートに包まず。」
雅弘は言った。が、こいつは馬鹿か?第一、ビブラートではなくオブラートだ。
「まあこういうことさ。議員との間での秘密の会話が全て俺に筒抜けってこと。」
「はあ。スゲ-な。」
きっとこれは分かったフリだ。この反応は。
「どうやって送り込んだんだ?並みのセキュリティじゃないんだろう?」
「そりゃあ今の時代内緒話よりメールのほうが安全だって言われるくらいだからな。」
「まあ、お前の腕なら可能かもな。」
剛希に褒められて少しうれしいな。
「ところで何がわかったんだよ。」
良平がそれた話を元に戻す。
「ああ、そうだったな。実は、あいつら裏でロシアと手を組んでるんだ。」
「どういう関係で?」
「そこは良く分からないんだ。こっち側に何の得があるのかが。」
「ソコが一番重要だろうがよ。」
雅弘に怒られた。
「でも会話に出てこなかったんだよ。」
「とにかくこのままだといずれはロシア軍が日本を占拠してしまう。」
「じゃあ、やっぱり戦争に・・・」
「・・・にはならない。」
翔太の言葉を俺がさえぎる。
「えっ!? なんで・・・」
当然の反応だ。そこで俺が説明する。
「言っただろう属国になる事を望んでるって。」
「じゃあ・・・・一体どうするんだよ?」
「無条件降伏だよ。」
「そんな・・・。」
「そう考えるのが話の流れとして妥当だろ?」
剛希が話の流れを断ち切るように言う。
「よし。まずその計画を中止するためにも国民に大々的に知らせるか、直接議員に訴えるしかない。」
「おい尚人、そのメールの内容をテレビ放送できないのかよ」
雅弘が言う。
「出来ない事も無いんだけど、メールの内容が暗号化されてるから読めないと思う。それに、誰の打ったか分からないメールなんて信憑性無いと思うぜ。」
「じゃあ、2つめだ。」
「ついに、永田町にきてしまった。」
「久しぶりだな~。国会議事堂は。」
「ふるくせえ。きったねえな。」
「内部はかなり科学的で近未来的だぞ?」
みな口々に喋ってみた。それでも緊張から来る体の震えは止まらない。
「本当に、本当にいくんだな?」
みんながうなずく。
「いざ参れ!」
次の瞬間俺達は国会の正門へと全力DASHしていた。
「うおオオおおおお!!!!」
どかあん!目の前に星が、星が見える・・・。
そして、俺達は5人そろって国会正門前に、仲良くおねんねするはめになった。
―――――十分後
「くっそ~まだいてえ。」
「ステルス迷彩の壁とはな~、やられたぜ」
「どうやって進入するよ?」
「悩むでござるw」
「う~ん」
―――――悩み続ける事30分
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「うーん、うーん、うーん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「うーん、うーん、うーん」
「・・・・・あのさあ」
「なんでござるか、尚人ざえもん殿?」
「日本の総理大臣の飯島得一って、民主党の議員じゃない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「そうだった。」
「よく考えれば分かったんだ・・・。」
「俺達は馬鹿か。」
「国会に言っても、そのリーダーが悪者じゃあな・・・。」
「俺達つくづくみじめだよ」
「はあ・・・・。」
彼らが落ち込んでいる頃―――― ロシア帝国首都モスクワ国王邸宅
「日本は我々の要求をのみました。」
「そうか。たかが常任理事の座に着くために、奴隷10000人をよこすとはな。」
中年太りの男が言う。
「落ちたものだな。馬鹿猿どもめが。のう、イヌフビッチよ。」
イヌフビッチと呼ばれた男がうやうやしく答える。
「はい。国王様。」
台風バンザーイ!