真実
9月15日(ドラゴンが飛来した日) 午後1時30分
日本海佐渡島沖上空―――
「この部隊の指揮はこれより私がとる。命令には必ず従うように。いいなっ!!」
「了解!《ラジャ!》」
日本国空軍第七部隊はこの日、政府からの指令を受け飛来する未確認飛行体の撃墜に向かっていた。
「しっかし政府も大げさだな。わざわざ部隊丸ごとよこさなくたってな。」
「まったくだ。ミサイルの一つや二つ地上の対空ミサイルで十分だろうに。」
「お前達、私語はつつしめ。」
「すっ、すみません塩谷隊長!」
「しかし、なぜ我々が出動せねばならんのですか。」
「ああ。なにやら今回の標的はミサイルではないらしい。」
「ええっ!どういうことですか?」
「生命体らしいのだ。私も詳しくは聞かされていない。」
「隊長も聞かされていないとは・・・」
「それを撃墜するのが我々の使命だ。」
―――20分後
「2時の方向より未確認の飛行隊接近!数、1!」
「たったひとつ・・・よし各機位置につけ!」
「了解!《ラジャ!》」
「あれは、一体なんだ?」
その飛行体は速度をぐんぐん上げながら接近してくる。
「永山機、大破!」
「こいつ、やりやがって!」
「足立、隊列を乱すなーー!!!」
「くらえぇ!」
足立の放った弾丸も虚しく、ドラゴンはそれを容易に受け流す。そして――
「あ、足立機大破ー!」
「くそお!」
その間にもドラゴンは攻撃の手を休めない。
「なっ、火炎放射?!」
「水谷、よけろおおお!」
間に合わない。
「熱い、あついいいいいいいいいい!!!!」
「ちくしょおお!」
「部隊損壊率65%超!隊長、これでは・・・!」
「やむおえん。こちら第7部隊隊長塩谷。本部応答せよ。」
「―――隊長?」
「ふっ。我々はどうやら見捨てられたようだ。」
「そんな・・・。」
「ならば、我々の勇士日の丸に捧げようではないか。」
「・・・・・了解!《ラジャ!》」
塩谷順平は、手元の写真を見ながらつぶやく。
「良平、父さんはお前を・・・・。」
そう言いかけた瞬間。炎が彼らを包み込む。
順平の目には、光るものが一筋走っていた。
9月16日午前11時 東京
「あれっ?」
「どうした。良平。」
剛希がたずねる。
「いや、ちょっと誰かが俺を呼んだような気がしたから・・・」
「気のせいだろ。」
翔太が言う。
「そうだな」
「早く、あの二人見つけねーとな」
「どっかで迷子んなってんじゃねーの?」
「そうだな。あははは」
こうして少年達の知らぬ間に彼らは大切なものを失っていくのだ。
―――「尚人君、み~つけた~♪」
さあ、最後の言葉は誰のものでしょう♪