ニューヨーク事件
あの結界を携えて、21階層に下りる。
全範囲探知で魔物の位置を探知。走って向かった先に40センチのハエが2匹も飛んでいる。
結界を試す為に来たのだ、ハエが向かって来るが、かわそうとする動作を我慢する。
何かが複眼から放出しているが、火花が発生して結界が防いでいた。
もう1匹が後ろからも放出してるが、それも防いで大丈夫だ。
右手に持った剛腕の刀で、狙いを定めて斬り上げた。
赤いスジが発生して、1匹を斬り裂いた。
結界のオーブの中からでも攻撃は出来るみたいだった。
攻撃が効かないと知ったハエは、それでも襲い掛かかるが見えない結界に邪魔されて、俺の体に触れることも出来ない。
手で掴めるかと左手で掴んでみた。
あ、簡単に掴める。それでも膜のような物がハエと俺の間にはあった。
不思議な感覚だ。
ハエを力一杯に地面に叩きつけてから、足で踏みつけてぐりぐりと捻り潰した。
潰した感覚もクッションを踏み潰した感覚であった。
しばらくはこの感触を楽しみながらハエを倒し続けた。
200匹近く倒したのに魔石しかドロップしない。
やはり俺のドロップ率は低い。諦めて帰る事にする。
レベルが110を超えたのに、ドロップ率にも期待した俺がバカだった。
20階層に戻り、結界のオーブをそのまま張らせておく。
ベッド一式を取り出して、地上でスマホにダウンロードした最新ニュースを見てゆく。
アメリカの【ファビラの鉄槌】が凄い大盾をドロップしたらしい。
バハムート大盾
物理攻撃耐性
魔法攻撃耐性
VIT+3
DEF+3
見るからに良さそうな装備品だ。
どんな魔物からドロップしたか情報には書かれていないが、名の通りのバハムートを討伐したのだろう。
何階での討伐かも書かれていない。
【ファビラの鉄槌】は白のダンジョンで活躍していたパーティーだ。
黒のダンジョンに比べて、対極と言ってもいい。
それに以前はインタビューにも気楽に答えていて、それを楽しみにしている人も多い。
何故か今回は口が堅い。俺と同じように深くまで潜ったのか?
そして、強い魔物を倒して秘密にしておいた方が得策と考えたのか?
色々と考えてしまう。
次のニュースもアメリカだった。
ニューヨーク市の地下鉄での殺人であった。
殺人なのかハッキリしない部分もあった。
何故なら死体が無いのだ。
ニューヨーク市の地下鉄は24時間営業している。
その真夜中に地下鉄内で悲鳴が聞こえ、駆け付けた乗客は血の跡しか発見出来なかった。
窓を壊された形跡もなく、血の跡しか残させなかった。
その血の量も大量で、意識を失う程の量と判明された。
それが20日間、連日続いているのだ。
死体は無いが血だけがあった。
その2日目の血がDNA検査で冒険者マイケル・トンプと判明。
アメリカでは、冒険者になった時にDNA登録が義務になっていた。
マイケル・トンプの消息は不明で家族とパーティー仲間は、記者会見で犯人に訴え掛けていた。
その動画を字幕入りで見たが、妻が涙を流しながら主人を帰してと訴えていた。
傍らには仲間が見守っていた。
10日に発見された車両内の血も冒険者の血と判明。
名はラサリン・モーリー21歳の女性だった。
20名の血液サンプルから、ようやく2名が判明。
捜査班は他の身元を必死に調べているが判明していない。
防犯カメラにも映っていない犯人を、【地下鉄の殺し魔】と呼ぶようになった。
14日目に留学生のハン・リークと血のDNAが一致。
学友の通報を受けた警察が、ハン・リークの部屋を家宅捜査して、くしの髪の毛からDNA検査して同一人物と判明。
俺は冒険者ハンターの情報を、色々と見ていた。
成る程、依頼は来ていないが募集はかけてある。
2日目が冒険者と判明して、ギルドもそれなりに動いたのだろう。
4日目に犯人探しの募集がされていた。
10日目でDNAの判明が出ると、募集内容が変更された。
犯人探しの際に、殺しても良いと殺しのライセンスが下りた。
募集の金額は日本円で800万円で、パーティー仲間が500万円を報奨金に出したみたいだ。
どうやら前回のK国の件が、アメリカの冒険者ハンターを恐がらせている。
犯人探しは出来るが、もしも戦闘向きの支援スキルだと、レベルが高くても負けてしまう。
そのせいで全然受ける素振りもみせない。
誰も、その話題を避けていた。
この件を受けるとアメリカのジバがどう動くか心配だ。
受けてアメリカに行くと、下手をすると捕まる恐れもある。
冒険者2人ならまだ弱いだろう。
もうしばらく様子見をしよう。
冒険者ハンターが動かないので、アメリカのジバの対応に問題がありと噂されている。
冒険者ハンターの情報サイトで、冒険者ハンターしか見れないようになっている。
アメリカのジバに対しての批判の書き込みが多い。
書き込んだのは世界各国にいる冒険者ハンターだった。
冒険者ハンターに対してのサポート批判であった。
アメリカの冒険者ハンターは、その間ジッと黙って見守っているみたいだ。
総本部のギルドサイトにもそのニュースが取上げられている。
色々と問題を抱えたアメリカのジバは、どんな対応をするのだろう。
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