手紙
赤の未確認ダンジョン1階層では、スラの目の前で5匹のスライムがうろついている。
「スラよ、このスライムを強くさせてくれ。お前の後輩だからな」
『後輩ですか?おいらが勝手にやってもいいの』
「ああ、好きなように育ててくれ」
『親分、分かったよ』
真新しいスライムは、やはり知能はよくなかった。
命令しないと、このようにうろちょろしているだけの存在。
昔のスラを思い出してしまう。
スラのステルス機能は、絶対に地上での戦いで有利になると睨んだ。
その為に俺は、スラタイプのスライムを増やす計画を立てた。
スラは早速、スライムをスライム相手に戦わしている。
初めての戦いはやはり手間取っている。
ここは我慢して見守るしかないだろ。
半日かけて、5匹のスライムは光ってレベルアップを2回も果たした。
これで俺がこのダンジョンに居なくても、スライムは戦えるだろう。
従魔強化で強くなったスライムも、レベルアップしたことで一人前に戦える存在になった。
「スラ、後は頼んだぞ。何かあれば念話で伝えてくれ」
『分かったよ。何かあれば呼ぶよ』
「もし用事でこれない場合は、下の階層で戦っている従魔に助けてもらえ」
『親分、分かった』
相手を倒したスライムは、魔石を消化している。
魔石を食べさせることでステータス能力アップに繋がるみたいだ。
レベルが低いせいと、俺が成長したせいで何となく感じる物があった。
触ってやると、ぷるぷるして喜びを表現してくれるようになった。
知性の芽生えだ。
ステータスオープンを表示して、ダンジョンワープに切り替える。
行きたい所を触り決定する。
我が家に戻って来た。
最近買ったマウンテンバイクにまたがり、誠黒ダンジョンへ向かってペダルを踏んでひたすら走った。
そして急な坂道も足をつくこともなく、あのビルに到着。
すっかり顔見知りになった警備の人たちに、挨拶して駐車場でマウンテンバイクを置く。
ここからも見える誠黒ダンジョンに、5人の外人と風間さんが居る。
「また頼むよ。ビリー・キャサリン・ホッサム・ジニー・さおりが今回の受ける人達だよ」
「ヘイ、ユーがなでしこのお気入りか?」
まだ俺とたいして歳も変わらない男が、話し掛けて来た。
最初の言葉以外、英語をまくし立てるので意味が分からない。
風間さんが英語で話して、今度は風間さんにまくし立てる。
「風間さん、先に入ってますよ」
風間さんが止める前に、ダンジョンへ一歩を踏み出して姿を消してしまう。
中は外の気温から2度ぐらい下がっていてヒヤッとする。
2、3分待って、ようやくあらわれた。
そして入ってきた瞬間から、立ちくらみをする人が続出。
無理をさせずに座るように身振り手振りで、座らせてから1人1人にDEX強化カードで念じてゆく。
終わった者から四つん這いではって階段を上っている。
地上に出ると、すっかり元気な5人が話しあっている。
「風間さん、用事が終わったので帰ります」
「え!青柳君・・・」
そのままマウンテンバイクにまたがり、誠黒ダンジョンから離れてゆく。
風間さんは呆気なく見送るしかなかった。
あのダンジョン内でさおりが、必死に手紙を俺のポケットに押し込んだ。
俺が何か言いたそうな顔をすると、顔を振ってしゃべるなと片手をあげていた。
俺は手紙の内容が気になってしまった。
その為に素っ気無く、立ち去った。
我が家に戻った俺は、早速、手紙を開いて見た。
数字がびっしりと書かれていて、3枚も同じように数字が並んでいる。
裏側に暗号と書かれていて、日付も書かれていた。
その日付は明日だ。
明日まで待たないと、この暗号が解けないのか?
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