最終話:配信で最高のダンジョンを
一矢報いることはできると思っていたけど、僕自身は一瞬で倒されてしまった。
「まだまだですね、奏さん」
「お兄ちゃん、最近訓練してなかったから……」
「まだまだ私の敵ではありませんね。まぁ、奏さんの強みはダンジョンそのものが奏さんの力で生み出されているってことですもんね」
「あ、あははっ……。うん、まぁ、こうなることはわかっていたよ。いたたっ……」
遥に傷を治してもらいながら、僕は苦笑を浮かべる。
この結果はある意味予想通りのものだった。
痛む体を労りながら、体を起こすと僕はダンジョンの中央に置いた宝箱を指差していた。
「僕との戦いに勝った人にはあの宝箱を渡そうと思ってるんだよ」
「いったい何が入ってるのですか?」
「わーい! エリシャが開けるね」
笑顔で駆け寄っていくエリシャ。
そして、宝箱を開けると中から一冊の本が出てきた。
「えっと、本?」
それを手に取ったエリシャは不思議そうに僕の方を向いてくる。
「うん、そうだよ。スキルブック」
「す、スキルブックですか!?」
遥が驚きのあまり目を点にしていた。
「そのスキルブックってなんなの?」
「うん、読んだらスキルを覚えられるんだって」
「えっ!? 本当に!?」
エリシャがいきなり本を開いて、中身を読んでいた。
しかし、すぐに不思議そうな表情を浮かべていた。
「……何が書いてあるの?」
「うん、僕も読めない」
「……なるほど。読めないから本当にスキルを貰えるかわからないって事ですね」
秋がエリシャから本を受け取ったあと、同じように開いて同様に首を傾げていた。
すると、今度は遥が手に取っていた。
「……なるほど。本当に読めませんね」
「でしょ? 変わったアイテムだなって」
「おそらくこれを読み続けて、意味がわかった頃にはそのスキルを取得することができる……ということなのでしょうね」
理由はわかったものの、宝の持ち腐れになる可能性がある。
それでも、お宝には違いないだろう。
なにせ、ダンジョンをクリアしたら、スキルを取得できる可能性があるのだから……。
「それで、このスキルっていったい何なのですか?」
「うん、それはもちろん、遥の持ってるスキルだよ――」
最後まで読んでくださってありがとうございます。
※新作も始めました。
【タイトル】
黒衣の聖騎士〜邪神の加護を受けし少年、聖女の騎士となる〜
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