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第22話:昇格

「えっと、これはどういうことかな?」




 マスタールームでモニターを確認していた僕は、思わず遥に尋ねてしまった。




「私もさすがにこんなことになるとは思っていませんでしたよ……」




 遥も驚きの表情を浮かべていた。


 それもそのはずで、一人、ないし二人だけ来ると思っていた冒険者組合の職員だが、実際に来たのはなんと4人。


 しかも、全員がレベル20以上というかなり高レベルの職員達だった。

 Fランクダンジョンにやってくるメンバーとは到底考えられない。

 もう一つ上のEランク……、いや、Dランクすら挑むことのできる面々がやってきたのだった。


 あの人たちを全員倒さないと昇格できないの?




「えっと、僕何か悪いことしたかな……?」


「レベル上げたいだけだと思いますよ? だから、ランクアップ試験は何もしなくても合格だと思います」


「本当にそうなのかな……」




 少し不安になりながら、職員の様子を眺めていた。



 まずは1階層。

 大量のスライムが職員に襲い掛かる。

 ただ、レベル1のスライムがどうにかできるような相手ではない。


 さすがにDランク級冒険者クラスならこんなところで苦戦するわけもなく、一撃でスライムを粉砕すると、そのまま奥のボス部屋へと進んでいった。



 1階層のボスは C ランクの魔物オークである。


 さすがに、このオークには職員の人たちも多少の苦戦は強いられていたようだ。

 しかし、さすがに4人パーティー。

 しかも、しっかりと連携が取れており、その強さはCランクのオークですら止められないほどだった。


 時間をかけ、オークを仕留めてると次の階層へ向かって行った。



 そして2階層へ。

 それまでは慎重に進んでいた職員たちだったが、スラ妖精を見た瞬間に驚いていた。




『噂には聞いていたが、本当にいるんだな……。しかも入れ食い状態じゃないか』

『ちょっと待って。そんなこと言ってる場合じゃないよ。早く倒しましょう』

『それもそうだな。時間が限られているんだ。さっさとレベルを上げるぞ』




 他の冒険者に混じって、職員もレベル上げに励んでいた。


 その様子を見ていた僕は、反応に困りモニターを指差しながら遥に尋ねる。




「えっと……、これは どうなんだろう……。試験……なんだよね?」

「みんな喜んでくれているから、それでいいんじゃないでしょうか?」

「うーん、うん本当にいいのかな?」




 不安しか感じないけど、それでも職員の人たちは気にすることなく、ひたすらレベル上げに励んでいた。

 その結果、1日でレベルを3も上げることに成功していた。


 あ、あれっ? 僕のダンジョン昇格試験は?




◆◆◆




『本当にいくら倒してもスラ妖精が湧いてくるんだな……』

『良くこれだけ持ちますね。スラ妖精と言えば、召喚ポイントが高めだから、あまり数が召喚できないと聞きますけど』

『それを可能にしているのが、あのダンジョンマスターの配信……なんだろうな』

『これなら冒険者が詰め寄ってくるのが良くわかりますね。レベルが高くなって、スラ妖精じゃ物足りなくなったとしても、ここ以上に効率の良いダンジョンがありませんから……』




 ダンジョンから出ると、組合に戻りがてらダンジョンの品評を行っていた。

 しかし、品評とは名ばかりに、思い思いにカナタダンジョンの良かったところを話していた。


 自身の能力を上げる上で、これ以上相応しいダンジョンは他にはなかった。

 継続して、このダンジョンを続けていけるなら、ランクを上げることは何ら不満がなかった。

 ただ、狩り場へと行く途中がかなりシケている。

 全てを二階層の狩り場に注いでいるからだろうけど、一階層ではまともにレベルを上げさせずに、Cランクの魔物であるオークを倒せるものにだけ、狩り場への道が切り開かれる。


 このダンジョンの真骨頂が二階層であることを考えると、最低限オークを倒せるメンバーが必須である。


 そのことも踏まえるとEランクではまだ足りない……というのが、メンバーの総意だった。




『そのことも踏まえて、カナタダンジョンのランクなのですけど――』




 少し異例のランクだったが、それでもメンバーに反対するものはいなかった。




◇◇◇




 ランクアップ試験の結果は次の日に来ていた。



 もちろん僕のダンジョンはEランクに昇格できた……。




「あれっ?」




 当然のごとく一つランクアップしていると思っていたのだが、 冒険者組合からの手紙には思いもしない言葉が書かれていた。




『カナタダンジョンをDランクダンジョンに昇格します』




 何度も何度も食い入るようにその手紙を見る。


 しかし手紙には誤りはないようだった。




「えっと、これはどういうことだろう?」


「ちょっとダンジョンを強くしすぎましたね……。 Eランク冒険者だとさすがに厳しいという判定を受けてしまったのでしょう。一気に飛び級で D ランクダンジョンになってしまったようです」


「飛び級…… なんてことがあるんだね」


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