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時代次第次代

感想・ブクマ・ポイント・いいね・ランキング有難う御座います。


暇潰しにでも見てってくれたら幸いです。


エピソード33に頂いた感想について返信をどうすれば良いか悩んだ結果、取り敢えず誤字の時と同じ対応をさせて頂きます。たしか当時考えてた本能寺ルートの一つだと殺した事にして信長の血筋を残すノリでした。

 越後国頸城郡直江津は春日山より二里(約8㌖)にも届かぬ位置にある要港だ。


 佐渡や蝦夷に九州へと販路を持ち上杉軍の重要な港はバチクソ燃えてた。そらもう有り得んくらい燃え倒してエッグい事になっとる。もう有りとあらゆる所が燃えてて燃えてないトコのが少ない。


「……帰るか」


 織田右近衛大将信忠が言った。その顔は非常に複雑な表情である。織田右近衛大将信忠の要諦は実際のところは上杉水軍撃滅だ。


 それは速攻で終わった。何せ宮崎城の登り口にある堺海岸の浜に凡そ無人の状態で放置されていたからだ。その放置された上杉軍の羽賀瀬船は撤退用の物だったが此れ幸いと破壊及び鹵獲。


 残りの水軍戦力の捜索と敵の心を折る為に柏崎まで進み船舶の破壊と港町への攻撃、帰りの寄り道という恣意行為で直江津を攻撃したら全然敵が居なかったので攻撃。


 その結果として北陸最大の港は超絶燃えた。


 織田右近衛大将信忠の表情が微妙なのは良い意味で若いからだ。何せ理想像、これは織田家の若い者は大概そうだが勝三である。故に武家の本懐とは民に優しく強敵も多勢も薙ぎ払う脳筋ゴリラスタイルとなっていた。


 早い話が週刊◯年ジャンプ大好きである。友情努力勝利的な有りったけの夢かき集める船出かと思ったら弱い者イジメみたいな感じで何かなっていう。いや、戦いとしては至極真っ当なのだが。


 火薬や削り弾と素焼き弾が無くなった船倉に夢の代わりに有りったけの越後上布や佐渡金などを詰め込み魚津城へ向かい帰りしな見かけたら上杉軍に適当な嫌がらせで砲撃を加えて帰還した。


 何せ撤収を考えれば冬に入る前が望ましい。


「——と、言うわけでして面目次第も御座いません」


「いや十分だ。良くやったぞ奇妙。水軍が無ければ敵は動けん。これで十二分だ。と言うか大功だな」


 信長は略奪品の目録を見る。金半斤(300㌘)、銀千貫(3.75㌧)、銭数千貫、米六十石、鉄砲五十丁、越後上布五百端、塩、大豆、飼い葉は満載されて集計中な程だ。


 正味、上杉家への止めである。


 金銀も無く、荷役無く、兵糧も無い。


 越後府中青苧座も焼いた。


「右大将」


 信長が息子を呼ぶ。奇妙では無く役職で。大真面目な顔でだ。信忠は思わず深甚な思いで頭を下げ。


「は……」


 静かに、しかし仏生寺城に広がる声で返事を返した。


「滝川左近将監(一益)、河尻 肥前守(秀隆)および徳川 次郎三郎(信康)に加え柴田修理亮(勝家)、拝郷、前田、佐々、越前衆、飛騨衆。此の者達を用いて上杉を下せ。東の外交は好きにせよ」


「は!!」


 織田家は祝勝会を済ませて越中から段階的な撤退を開始した。論功行賞は未だ有るが一先ず信長は暫しの休息に入る。流石の信長も軍神の戦いに疲れ一息吐きたい心持ちだったのだ。


「勝三!!見たか!!」


「は、奇妙様は成し遂げました。事前の作戦通りに、作戦以上の結果を持ち帰る。引き際は天運もあれど完璧です。完璧なんて誰にも出来ませんよ」


「そうだ!!アイツはやったぞ!!凡そ軍神に止めを刺した様なものだ。全く気付いていないがな!!ハッハッハ!!」


 茶と菓子を気ままに飲んで食いながら信長は極めて嬉しそうに言う。軍神、上杉不識庵謙信とは言え威名なし、物資なし、人材なしではもう戦えない。いや、戦えはするが悪足掻きの類と称される規模でしか無理。


 まぁ相手が相手なんで五回も六回も攻められれば、普通は二回か三回で息切れするが、凡そ降伏を申し出てきて当然。


 天下に知れた名将を若くして下したと言う結果は次代の箔付としてこれ以上の物は無い。


「話を聞くに決起に逸っているが、一戦でもさせて落ち着かせてやるとして、さて」


 上機嫌だった信長の眉間がワッシワッシになった。河尻肥前守秀隆が苦笑いを浮かべ滝川左近将監一益が溜息を吐き勝三が青筋を浮かべる。津田大隅守(織田三郎五郎)信広が呆れた様に。


「これで将軍が諦めれば良いがなぁ……」


 と、辟易と皆の代わりに言う。マジで良い加減にしてくんないかなって感じだった。それは織田家の勢力下の者も同盟者も皆んな思ってる事だ。


 さて、その将軍こと義昭は船の上にいた。


「なぁんでぃやああああああああああ!!!」


 んで瀬戸内に絶叫響かせてた。まぁ何時も通りっちゃそうで有る。今回の状況の理由は毛利家の敗北だ。


 義昭の最後の挑戦は早い話が織田家の東西からの圧迫であり、上杉家と九州連合での東西からなる挟撃だ。雑な話だが無理は承知で九州と越後で影響力を残そうとしたので有る。


 上杉家は強いし九州連合は毛利家が切迫すれば足利と言う権威を用いるのは自明の理。タダ飯食いの将軍様が自主的に俺働くよって言えば無碍にはされないだろうと言う思惑。


 早い話が停戦などの交渉を行い織田家に対して九州および越後への発言力アピールをしたかったのだ。


 が、九州連合が噛み合っちゃった。


 そらもうガッチリと。


 大隅国と日向国併呑の大義名分を欲した島津家、毛利家と大友家の戦いに乗じて得た地の権威的保証を欲した龍造寺家、正味もう藁に縋る思いの大友家。これを義昭が繋いだのある。毛利家が九州を失うギリギリで停戦仲介をする気だった。


 勿論、島津家は近衛家を織田家との交渉の保険にしてたし、龍造寺家は島津家に接近して一緒に織田家に降ろうとしてたんで、義昭の仲介は不要だったのだが。


 まぁ兎も角だ。先ず龍造寺家が毛利家を裏切り兵を誘引、大友家が博多へ反転攻勢、島津家の援軍が毛利家の退路小倉城をチェスト。当主と毛利両川は撤退出来たが毛利家主力を撃滅してしまったのである。まぁ百々のつまり控えめに言って二度目になるが噛み合い過ぎである。


 今川家の様な大身の者の全滅こそ免れたが彼等の手足となる兵、これが船舶の搭乗人数と撤退不可能な位置にいた事で、救援出来た人数が限られ身動きが取れない。それこそ織田家の船が大砲積荷を放棄して毛利家の兵を収容したが凡そ半分程が討たれる結果となったのである。


 ンで義昭が連合の黒幕とバレちゃったらブッコロされかねないので逃げた訳だ。てかブッコロされるなら御の字って話でそら逃げる。


 ……義昭をフォローすると畿内での影響力と九州の影響力の差が勘違いと言うか想定以上の結果を生み出した所以だ。上杉家で嫌がらせをして織田家を引っ張り九州で影響力を残す。そんな博打でしか無い将軍としての無茶が九州の地で効力を残していた将軍権威で噛み合いレベルマックスな結果がコレ(ガチ逃亡)


 責任取ってカッコよく切腹ならするつもりだったけど縊り殺されるのは、厳密に言えば鎌倉将軍みてーに幽閉暗殺コンボとか怖い。


 さて義昭のご先祖さまは九州まで逃げて捲土重来を果たしたが、果たしてって感じではあるが。


「もうイヤや!!信長に降伏しとけば良かった!!おおおおおおおおおおおおおん!!」


 ……義昭は無理そうである。


 そんな義昭に柳沢新右衛門元政から(文書などの)証拠隠滅完了と九州へ交渉に向かった事にしたと言う手紙が届くのは豊後国大分郡府内城に腰を落ち着けて数日後の事だ。勿論だが状況証拠的に毛利家はバチクソ切れてるとは言え物的証拠の有無は大きい。


 さて、信長達がそれを知ったのはとある相談の最中であった。


「主上の御名を以て天下泰平を宣言し、それを破る者を超敵として太子殿が征伐する。うんうん、ええ考えや」」


 前関白近衛前久が嬉しそうに頷いた。早い話が信長が天皇の権威を用いて泰平をする事で朝廷の権威の増強と保護を考えたと言う話である。確認入るが主上み非常に満足するだろう話だ。


 そしてハタと思う。


「どう言った形で発布する御積もりやろか?」


 信長は何故そんな事を聞くのかと思いつつも真っ当に凡そ思い付いたままを述べる事にした。


「上杉が降った後に息子に開かせる幕府の最初の命令としたく思います。捻りはございませんが平たく私戦停止令と布告しようかと」


 信長の至極真っ当な答えに前関白近衛前久がは頷きつつも非常に惜しいような顔で。


「私戦停止令、分かりやすい。けど折角の織田はんの出発点やし朝廷の権威にも勢い付かせたい思います。せやから、もうちょっと、そうハッとする様な言葉で発布してみては如何やろ。折角の良い案やから是非」


 言われて信長も確かにってなった。


「ふむ……。勝三、なんか案ないか?」


 だから問う。信長の期待に勝三の目が泳ぐ。初めてのバタフライくらいのバシャバシャぶりだ。


 少し考えてから。


「天下惣無事……何て如何でしょう」


「成る程、天下か。良いぞ勝三。それで行こう」


 信長は二、三頷いて言った。


「ほんまエエやないですか。主上の願いやとすぐ解る。それが織田はんの府で告知されるんや。誰が聞いても幕府と朝廷の連帯は分かりますやろ」


 勝三は心中で木下藤吉郎秀吉に謝った。


「失礼致します!!!」


 そこに伝令。件の始終が通達され信長はキレたのである。尚、主上もキレた。


 あくまで意訳だが主上曰くアイツ朝敵にしない?いや割とマジで。


 と、の事である。その結果であるが九州には勅使が派遣される事になった。勝三も毛利家への使者として権大納言山科言継と共に向かう。早い話が状況確認だった。


「さて、一先ずは御苦労様でした官兵衛殿」


「いやぁ……疲れましたわ」


 勝三は吃驚した。この良く喋り過ぎる男が二言しか返してこない。相当な事があったのだと確信した。


 黒田官兵衛祐隆は状況を詳細に語る。それは心身の疲労故に多弁では無い。だが故にこそ端的で要所を押さえた物。


「殿、十中八九は公方が九州で再起を図ろうとしとりますわ。じゃ無きゃ九州の連中が手を携える何ぞありえん事じゃろう思います。意図が何処にあるとしても俺は危険じゃと思うよ」


 んでこんな事を言われれば危機感も覚える。


 更に毛利家への聞き取りと九州勢への詰問となり義昭が大友家の元にいた事で最悪の事態と判断。筑前と豊前の二国返還を通達と言う半ば宣戦布告をするに至り九州征伐が決定された。室町幕府の権威失墜を狙ったってか朝廷と織田家のマジ良い加減しコノヤロウテメェって理由である。


 後の事であるが義昭は朝敵認定され言った。


「何ッデュああああああああああああ!!!」


 訂正する。


 絶叫した。


 因みに一連の流れは全て天正五年(1577)の晩秋から正月にかけての事である。


 だが先ず勝三が戦うのは備州だった。

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