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アイドル執事は休憩する

ハルとフユの休憩中。

四人専用の部屋の食事スペースで二人は休憩をとることにした。



「フユ、ハーブティでいいかな?」


「ああ。ありがとう。」


ハルはキッチンでポットに水を汲み、火にかけた。お湯が沸くと手際良くハーブの入ったポットへと注ぎ部屋中を爽やかな香ばしい香りが包み込む。

 フユはその香りにッフと目を細めつつ、経済学の本を読んでいた。その光景はまさしく、美男美女の若夫婦の日常のようで大変絵になるのだが、間違えてはいけないのは彼らはどちらも男性である。男×男である!!



「はい、どうぞ。アキが休憩の時に食べてってクッキーをくれてるよ。」


「ありがとう。アキは、ほんと器用だな。」


「そうだね。このクッキーもサクサクで美味しい。」


ハルはクッキーを一口齧ると頬を緩めて嬉しそうに咀嚼している。その光景は本当に愛らしいのに男の子なのである。声はわりと低めなのである。



「そういえば、おにぃ...アル様が髪を切られていたな。」


 フユは四人の前だと少しだけ気が緩んで敬愛する二人の主人の呼び方を間違えそうになる。主人の前でしかしない「おにぃちゃん」「おねぇちゃん」という呼び方を他の人の前でする訳にはいかないと思っているので普段は絶対にそれをださない。けれど四人はフユの数少ない心を許している兄弟達だ。外ではクールなフユが気が緩んでしまうのも仕方がないのである。しかし、本人はバレてないと思ってるが皆気が付いて無視していることにフユは気がついていない。兄弟愛。


「そうなんだよ!フユも気が付いた?前髪を5ミリ程だったかな?どんなアル様でも素敵だけれど、髪が変わるとなんだか新鮮でドキドキするよ。」


「おにぃ...アル様はあんなに端正な顔立ちをされているのに無自覚だからな。簡単に人を魅了してしまう。」


おにぃちゃん大好きフユくん。


「ほんとだね。ライバルが沢山で大変だよ。」



何のライバルだ。



「ところで、この後はおね...姫様が公爵家の夜会へ行くお支度だったか。」


「そうだよ。今日のドレスも素敵なんだよ!楽しみにしてて。」


「ハルも器用だからな。羨ましいよ。」


「ありがとう。そう言ってもらえることは嬉しいけれど、アテナ様ご自身がとても美しいからね。ドレスやアクセサリーがアテナ様を引き立ててるのではなく、アテナ様が身に付けるからこそ、そのドレスやアクセサリーたちは特別な物になるんだよ。」


 なんやかんやアル様アル様言ってても、アテナも大好きハルくん

  


「そうだな。おね...姫様はほんとうに美しいから...夜会では皆見惚れてしまうだろうな。妬けてしまう。」



おねぇちゃん大好きフユくん



「そうだね。それなのにアテナ様も無自覚だから。ほんと困った方達だよ。」





「あーーー!ハルいた!」


穏やかにお茶を楽しんでいた空間に突如、バンッと勢いよく四人の部屋のドアが開かれる音が響いた。ナツだ!



「ナツ?どうしたの?」


ハルは大きな可愛いクリクリな目を見開いて驚いている。フユは大きな音に眉間にシワを寄せているが別に怒っているわけじゃなくびっくりしているだけなのである。


「最近、姫から花の香りが微かにすんだけど、ハルなんか知らないか?」


 ナツは爽やかな笑顔でハルに近づいた。

 


「ああ。それなら入浴の際に入れるアロマを差し上げたよ。たぶんそれのことかな?」


「そうなのか!あれいいな!姫自身の優しい香りとよく合ってる!この前の剣の稽古の後に汗を拭ったタオル本当にいい匂いだったんだよなぁ。本当は洗濯に出さず枕に敷いて寝たかったのにアキがダメっていうから仕方なく洗濯に出したんだ。あの匂いに包まれて寝たら絶対幸せだったのに!!」


 さっきまで笑顔だったのに今は地団駄を踏んでしまいそうなほど悔しそうに嘆いている。フユとは違い表情がコロコロと変わり元気いっぱいで爽やか好青年のナツだが、言ってることは変態である。変態!




「ナツもその香りのアロマいる?」


ハルはそんなナツの姿を見てクスクス笑いつつそう問いかけた。


「いるいる!」


「僕の分も頼む。」


ちゃっかり便乗フユくん



「いいよ。用意しとくね。それにしても、ナツはほんと鼻が利くね。今度香りの調合手伝ってもらってもいいかな?」


「おう!いいぜ!」


 




「なんで誰も何も突っこまないのっ!?!?!?」


突然聞こえた声に三人の視線は扉へと移る。


 そんな三人の姿を扉のところで目を眇めてジトーっとした目で見ている男の子が一人。



「アキもアロマいる?」



「・・・・・・いる」


要るんかいっっ!



みんなご主人様が大好き。


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