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特別養護老人ホームドーナツ窒息死事件

 今回は医療施設ではなく、ある意味で医療よりも過酷な現場にある福祉の現場で起こった事件です。


 例によって【事件】といっても、〝職員が利用者に無理やりドーナツをねじ込んで窒息死させた〟事件ではありません。〝おやつとしてドーナツを提供していたら窒息死が起こった。その場にいた看護師が業務上過失致死罪に問われた〟という事件です。


 結論から言います。起訴された看護師は無罪となりました。


 まず冒頭で福祉の現場が〝ある意味で医療現場よりも過酷〟と言ったのは、何と言っても人手不足でしょう。2019年度に発表された介護職員の有効求人倍率は14倍。


 14の施設が一人の〝介護で働きたい!〟という人間を取り合っている地獄絵図です。地方になれば20倍~30倍なんてこともザラ。当然現場で働く職員は過酷な労働を強いられます。


 そんな介護の現場に追い打ちをかけたのが今回の事件です。これまでの事例でもお話しておりますが、医療の現場も福祉の現場も慈善事業団体ではありません。営利団体です。そして医療も福祉も【根拠に基づいた医療・福祉の提供】を行います。


 今回の一件は各医療法人が防衛医療へシフトしていった事件たちと同じ轍を歩もうとしておりました。


・本来杖を使えば歩けるが、歩行は危険なので車椅子。本来は車いすに乗車できるが、危険なのでベッドで身体拘束。


・本来固形物を摂取できるが、窒息の危険があるので流動食。本来流動食を食べられるが、誤嚥の恐れがあるので経管栄養。


・本来トイレで排せつが出来るが、危険なので失禁対応。


 という【防衛】を行う必要が出てきます。


 ……当然ですよね?


 更にいいますと、今回起訴された〝おやつとしてドーナツを提供〟ですが、100%善意のサービスです。介護報酬において〝おやつ提供〟での加算は認められておりません。


 医療崩壊は既に浸透した言葉となっておりますが、2025年問題まであと3年ちょっと……。皆様の地域は、ご自身や愛する人、親御様やご親族が安心して介護を提供できる環境にありますでしょうか?


 ご一考いただければ幸いに存じます。

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